3歳から12歳までピアノ教室に通っていました。その後は中学・高校でコンクールや行事で伴奏をしていました。現在は趣味で弾き語りや基礎練習を続けて、兄弟に教えています。 音楽の楽しさと壁の乗り越え方を、経験をもとに伝えていきます。
目次
「ピアノが弾けたらかっこいいよな」と心を躍らせ始めたは良いけど、左手が全く動かない状態になっていませんか。
練習をすればするほど、左手の楽譜を見るのも嫌になってきますよね。
今回は実体験から、初心者でも早く上達できる練習法を紹介します。
ピアノでの左手の重要性を知って、より魅力的な演奏をしちゃいましょう。
ピアノの左手の基本とは?
まずは左手の基本をおさらいしましょう。
左手の指番号と正しい位置を見ていきます。
左手の指番号
指番号とは、音符の下に描かれている数字のことです。
「運指」とも呼ばれており、最も負担なく滑らかに弾ける指使いを示しています。
これは手の大きさに関係なく、子供から取り入れられています。
指使いに慣れてくると楽譜を読みながら鍵盤を弾くことが同時にできるようになるので、早い段階で覚えておきましょう。
左手の指番号は、小指から親指に向かって5・4・3・2・1です。
両手とも親指が1になるようになっています。
これを頭に入れたうえで音階に当てはめると、ドから高いドに向かって5・4・3・2・1・3・2・1です。
ラで薬指が親指を跨ぎます。
音で跨ぐタイミングを覚えておくと、焦った時も何とか乗り越えられます。
合わせて覚えておきたいのが、左手に出てくるヘ音記号の読み方です。
ヘ音記号の黒点の位置がファになるように記載されています。
そこから五線を1つずつ下がって、下から2本目と3本目の間がドとなります。
実際に自分で五線譜に書いていくとすぐに覚えられます。
ドとファ、高いドの位置を覚えておくと、吸収も早まり気が付いたら音をメモしなくても読めるようになっている場合が多いです。
加線が出てきたら1つずつ数えるのが確実で、右手の方が近い音でも左手で弾くようにしてください。
これは作者が「高い音でも左手で弾いてほしい」という意図で書いているのです。
反対のパターンもあるので覚えておきましょう。
左手の位置は?
左手のホームポジション、基本の位置はラに親指を置きます。
「これでは小指が低いシになってしまう」と思いますが、あくまで位置確認なので曲によって臨機応変に対応してみてください。
手の置き方も、包丁を持つ時によく聞く「猫の手」を意識すると細かい音を正確に弾きやすいです。
また、手の位置だけでなく座る位置も重要です。
左手の高いドが顔の中心に来るように座りましょう。
この位置なら、演奏中に両手の可動範囲が同じ位になり、強弱も付けやすくなります。
ただし経験上、左手の方が動きや強弱が激しい場合は気持ち左寄りに座ると腕が疲れにくく楽に演奏できます。
お尻の3分の1だけを乗せ、浅く座ると姿勢も良くペダルの調整もしやすいので覚えておきましょう。
近さは腕が直角より少し伸びている状態が理想です。
左手と右手の役割は?
ピアノの左手と右手の役割、知っていますか。
左手は基本的に副旋律、伴奏の役割があります。
メロディを引き立てながら、しっかりリズムを刻み強弱を付けることで演奏が引き立ちます。
右手の方がメロディになることが多いので目立ちにくいですが、実は左手の方が重要なのです。
実際私も、合唱や部活のコンクール時には左手が雑だと指摘されたものです。
低音が正確にリズムを刻めていると、曲の安定感が全く違います。
稀に低音がメロディになることもありますが、10秒程度の場合が多いです。
右手は主旋律、メロディの役割があります。
歌で言うところの「ハモリ」を表現する和音も多いです。
音がずれることなく同時に弾くことで響き方も変わり、より伴奏と調和します。
このように基本的には高い音が主旋律、低い音が副旋律となります。 左手はメロディより少し弱めに、しかし強弱とリズム感は正確というのを意識しましょう。 右手は左手に比べて、強く叩きすぎると音割れが起こりやすく、タイミングや音が正しくても和音が綺麗に聞こえません。 自然にしっかり音を鳴らせるように、基礎練習を積み重ねていきましょう。
どっちから練習するといい?
正直、練習の順番はその人の相性で決まります。
音楽的には、伴奏にメロディを乗せる方法が良いとされています。
そのため左手から練習を始めましょう。
ではなぜ伴奏からなのでしょうか。
皆さんはカラオケの時、自分の声に伴奏を合わせて歌いませんよね。
多くは流れてくる伴奏に合わせて歌います。
それと同じで、指揮者や伴奏に合わせた方がリズムや拍数などをより正確に意識できるんです。
とはいえ、私は幼稚園の頃から今も変わらず右手から練習しています。
深い理由はなく、メロディを聞けないと飽きるからです。
本当に飽きやすくて、常に裏方だと嫌になってしまって全く楽譜が進みませんでした。
1,2周右手でメロディを弾いたら、数回に1度の頻度で左手を入れていました。
これなら飽きやすくても続きましたし、どちらかだけ動きが鈍ることも少ないです。
右手と左手の合わせ方は?
まずは定められているテンポの3分の2程度から始めましょう。
テンポ120の曲なら80から合わせます。
早く進みたいと思うほど遅いテンポで合わせることを、必ず練習の最初に行います。
正確なリズムを刻み込み、元のテンポでずれに気が付けるようにするのが目的です。
間違えずにスラスラ弾けるようになると、実は裏拍で伴奏が入っていたなんて事が頻繁に起こります。
なかなか上達できない時は、数小節やワンフレーズに分けて練習してみてください。
間違えずに遅いテンポでできるようになったら次に進むようにすると、気が付いたら1ページ終わっていたりします。
習得するまでは指の動きに無駄はないか、誤ったリズムになっていないかに目を光らせることが重要です。
どんなに上手な人でも、癖になってから修正するのはかなり難しいです。
中にはメトロノームを使うと、より分からなくなるという人がいます。
そういう時は、ある程度弾けるようになってからメトロノームを取り入れましょう。
この方法を使う場合は必ず、音の重なる部分と微妙に入れ違う部分をしっかり把握しなければなりません。
少し気疲れしそうですが、私は上記の2つの方法を交互に行い曲を覚えています。
自分に合う練習方法をうまく活用しましょう。
初心者向けの左手の基礎練習法3選
左手は右手に比べ穏やかな動きが多く、1音を的確に出す必要があります。
また、たった一瞬の強弱がカギになる曲も多いため、基礎をしっかり身に着けておきましょう。
では早速、初心者向けの基礎練習法を紹介します。
音階を複数のパターンで弾く
黒鍵も含めたドから高いドまでの1連を音階と言います。
この音階をテヌートのみ、スタッカートのみ、2つを1周や数音ずつ交互になど複数のパターンで弾いてみてください。
ちなみに、テヌートはやや長く繋げるように、スタッカートはやや短くはじくように弾くことを言います。
この時に注目するのは音の強さにバラつきはないか、ペダルを踏まずに音は繋がっているか、スタッカートの時に音が強くなっていないかです。
中でも音の強さにバラつきがある場合、その指が弱い可能性があります。
私の場合は小指の力が弱く、音がぼやけがちでした。
反対に人差し指と薬指は音が強く出て、演奏中に不自然な強弱が生まれてしまいます。
これを発見し改善しながら、徐々にテンポを上げれば上達速度も上がること間違いなしです。
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両手のケアを怠らない
直接関係なさそうに見えて、実は重要なポイントが2つあるんです。
1つ目は、手が疲れたまま固まると可動域や弾き方が変わってしまいます。
そのため毎日ピアノに触れる前後でマッサージを行いましょう。
指1本ずつをじんわり反らして、最後に手首からゆっくり回しましょう。
これを両手2セット行うと、毎日5時間以上弾いていても疲れが残りにくいです。
2つ目は、爪のケアについてです。
爪が伸びていると割れてしまうだけでなく、鍵盤も傷ついてしまいます。
さらにピアノを弾いているときにカチャカチャと雑音も入るんです。
「ピアノの音も出てるし聞こえないでしょ」と思いますが、意外と目立ってしまいます。
爪は手のひら側から見て、常にはみ出さない長さに整えましょう。
手で叩き口で歌う
左手に関わらずうまくリズムや手が動かない人は、脳の理解が追い付いていない場合が多いです。
指の動きと楽譜に集中するのは良いですが、1度リズムを歌ってみると意外とついてこられない自分を見ることになります。
また、口で歌うだけでなく手で机やひざを叩いてみてください。
細かい音符は指で連打しても良いです。
指を動かすことばかりに意識がいき、本当のリズムを見失ってしまいます。
1度頭を整理するつもりで行き詰った時に試してみてください。
慣れてきたら音程は取らずに、ドレミといった音で口ずさんでみると頭に刷り込めます。
おすすめの左手練習曲4選
左手の練習曲に使ってよかったものを紹介します。
好みの練習曲が1つでもあれば参考にしてみてください。
紡ぎ歌/エルメンライヒ
私が実際に幼稚園の頃、初めての発表会で弾いた曲です。
発表会後からは基礎練習として取り入れています。
スタッカートやスラー、強弱も多くて楽しみながら練習ができ、ひたすら遅いテンポの曲は苦手という人におすすめです。
この曲のメロディを両手で弾き、音のズレやミス、どちらかの方が極端に弱いなどチェックしています。
慣れてきたら動画のテンポよりも早めるのも楽しいです。
ぶんぶんぶん/ドイツ民謡
「ぶんぶんぶん蜂が飛ぶ」というフレーズ、誰もが聞いたことありますよね。
これを練習曲にするのは簡単すぎると思いますが、譜面を見ると分かるように左手は全て和音です。
一定のリズムを刻みながら、3つの和音を変えていくのは譜読みと鍵盤の位置を覚えていないとできません。
また、指の動きに無駄があると雑音が入ります。
本当に基礎をそのまま曲にしたようなものなので、譜読みに慣れてきた人におすすめです。
アラベスク/ドビュッシー
CMにも使われることの多いこの曲は、最初のフレーズでピンと来る人もいるのではないでしょうか。
ほとんどが同じリズムで、右手とタイミングをずらした入りやスラーで滑らかに弾く練習ができます。
ただ弾いているだけでは飽きてしまう人もいますが、録音して滑らかさを聞き比べると練習するほど心地よくなるので楽しいです。
波の流れのように、寝られるような心地よさが好きな人におすすめです。
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オー・シャンゼリゼ/ピエール・ドラノエ
聞いているだけで元気になるこの曲、今度は元気を与える側になってみませんか。
4拍子に慣れてきて新しいリズムに挑戦したい人におすすめです。
譜面を少し見ただけでは理解ができないかもしれませんが、ほとんど同じリズムで短いため比較的ハードルが低いです。
片手ずつ覚えて、ゆっくり両手を合わせていけば案外簡単に習得できます。
左手トレーニングの注意点とは?
左手をトレーニングすると、演奏に安定感が出て聞き心地も格段に上がります。
また、独特なリズムをしっかり刻めれば簡単な曲でも上級者のように聞こえるんです。
これを知ると左手の練習を強化しようと思いますよね。
では、せっかくの向上心が裏目に出ないためのトレーニングの注意点を紹介します。
いきなりハードな内容にしない
やる気があるうちは、つい最初から飛ばし気味になってしまいます。
しかし、ピアノの動きに慣れていない時に詰め込んでしまうと腱鞘炎や手の筋を変に捩じってしまいます。
毎日弾く人は3日ごとに練習回数を上げていくと、徐々に手の可動域も広がるのでおすすめです。
もちろん、基礎練習がしっかり弾けるようになっていることが前提となります。
練習方法の紹介時にも言いましたが、時間がある人はピアノに触れていない日も両手のマッサージを行ってみてください。
片手だけの練習はしない
ピアノの練習は必ず両手を鍛えるようにしましょう。
苦手だからと言って左手だけ練習してしまうと、反対に右手が鈍ってしまったりつられてしまい効率が悪いです。
苦手な方を多めに練習するのは良いので、7:3までの比率で取り入れるようにしてみてください。
特に初心者は、すぐに成長が見えるものではないので気長にコツコツ積み重ねて行きましょう。
ピアノは左手の練習方法で決まる!
いかがでしたか。
ピアノ初心者が必ずと言っていいほどぶつかる壁ですが、左手を攻略してしまえばどんな曲でも簡単に弾けるようになります。
是非この記事を参考に、ピアノのある生活を楽しんでください。
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