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音楽留学を考えている方必見!受験する大学や音楽院の選び方◎

Written by
2024.08.28
dilella
【執筆・監修】dilella

日本の音楽大学声楽科を卒業後、イタリアに留学。現在、イタリア在住18年目になりました。自分の留学経験を生かし、これから留学をされる方にとって、本当にためになる情報を発信できればと思っています。 現役の留学生や国立音楽院の教授の声も積極的にご紹介させていただきます!

この記事では音楽留学を考えている方に向けて、受験する大学や音楽院の選び方を解説します。
音楽留学をする際、音楽大学や音楽院への入学を希望する方がほとんどでしょう。
そんな方にとって、最初の一歩は、留学する国や大学や音楽院を決めることです。
本記事では、留学先の国を決めるポイントや音楽院や大学のリサーチ方法から、おすすめの音楽大学や音楽院をご紹介します。
あわせて、受験に必要なポイントや入試のための練習法なども解説しますので、ぜひお役立てください。

〜事前準備〜音楽留学に行く前に決めること

〜事前準備〜音楽留学に行く前に決めること

音楽留学をしたい方は、まずは留学先の国を決めないことには、音楽院や大学は決められません。
そこでまずは、留学先の国を決めるポイントや、音楽院や大学のリサーチ方法を解説します。

留学先の国を決める際のポイント

留学先の国を決める際のポイントはいくつかあります。

  • 師事したい先生の居住国を選ぶ
  • 掘り下げて勉強したい分野で選ぶ
  • 奨学金が充実した国を選ぶ
  • 公立の音楽大学・音楽院がある国を選ぶ
  • 治安の良い国を選ぶ

それぞれ詳しく解説していきます。

師事したい先生の居住国を選ぶ

留学する国を選ぶ人の中には、師事したい先生の居住国を選ぶ人もいます。
この場合、その先生が音楽大学や音楽院で教えていらっしゃるなら、必然的に志望校も決まります。
師事する先生選びに関しては、以下の記事で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

【体験談も紹介】音楽留学成功のカギ!先生選びのコツ◎

掘り下げて勉強したい分野で選ぶ

留学する国を選ぶ際は、自分が掘り下げたい分野で選ぶのも一つの方法です。
例えば、フランス物を掘り下げたいのであればフランス、イタリアオペラを学びたいならイタリア、ドイツリードであればドイツやオーストリア、という具合です。
好きな作曲家や作品を研究したい場合は、その作曲家が生まれた国や活躍した国を選ぶのもよいでしょう。

奨学金が充実した国を選ぶ

留学する際に、切っても切り離せないのがお金の問題です。
留学には、学費、生活費、渡航する際の飛行機代、保険代など様々なお金がかかります。
しかし、国によっては奨学金制度が充実しており、学費だけでなく、生活費の一部を補助してくれます。
留学資金が限られている方や、毎月の固定費を少しでも抑えたい方は、奨学金が充実している国を選びましょう。
例えば、音楽留学先として、もっとも人気のドイツは留学生のための奨学金も充実しています。
DAADの奨学金データベースで奨学金一覧をぜひ参考にしてください。

公立の音楽大学・音楽院がある国を選ぶ

留学先の国を決める際は、公立の音楽大学・音楽院の数が多い国を選ぶのもおすすめです。
留学費用のうち大きなウェイトを占めるのは学費ですが、一般的に公立の音大や音楽院は学費が安価です。
しかし、ポーランドのショパン国立音大や、ロシアのモスクワ国立音楽院などは、自国の国籍を持つ学生とそれ以外の学生の学費が大きく異なります。
外国人学生は学費が高額になるケースもあるため、公式HPでしっかり確認しましょう。

治安の良い国を選ぶ

海外生活に不安がある方は、治安の良い国に絞って留学を検討しましょう。
また同じ国であっても、州や街によって治安は異なります。
とは言え、日本人が多く留学している国であれば、特に心配することはないでしょう。

侵攻や紛争が続いている国は、留学すると、状況が悪化した時に一時帰国ができないなどの状況に陥てしまう可能性もあります。
十分にリスクを考えた上で選択しましょう。

音楽院や大学のリサーチ方法

行きたい国が決まったら、次は音楽院や大学のリサーチです。
リサーチ方法には以下があります。

  • 師事している先生や留学経験のある人に聞く
  • 留学エージェントのHPを参考にする

それぞれ解説していきます。

師事している先生や留学経験のある人に聞く

海外の音楽院や大学では、師事している先生にまずは相談してみましょう。
先生自身に留学経験がなくても、有意義なアドバイスをしてもらえる可能性が高いでしょう。
また、周りに留学経験のある知り合いがいる場合は、その人に聞いてみるのも一つの方法です。
ただし、音楽大学や音楽院のシステムなどは、変更されることもあるため、最新の情報は学校の公式サイトで確認しましょう。

留学エージェントのHPを参考にする

音楽留学専門のエージェントは、HPで各国の音大・音楽院一覧や入試に関する情報などを掲載しています。
情報も、定期的にアップデートされるため、最新に近い情報を得ることができます。
まずは、留学エージェントのHPで、気になる音大・音楽院をピックアップして、そこからさらに詳しくリサーチしていくとスムーズでしょう。
留学したい音楽大学や音楽院が絞れたら、SNSやブログで検索すると、日本人留学生の投稿がヒットすることも。

学校の雰囲気や街の様子などを垣間見れて、留学生活のイメージがわくでしょう。

【国別】おすすめの大学や音楽院をご紹介

【国別】おすすめの大学や音楽院をご紹介

ここでは、国別の音楽留学におすすめの大学や音楽院をご紹介していきます。

アメリカ

音楽留学と言えば、ヨーロッパのイメージが強いですが、近年はアメリカを留学先に選ぶ人が増えています。
現役の演奏家や著名な教授陣が名を連ねる学校も多数。
世界中から学生が集まるインターナショナルな環境の中で、充実した留学生活を送ることができるでしょう。

ジュリアード音楽院

ジュリアード音楽院は、言わずと知れた超名門校です。
ニューヨークのリンカーセンターの中にあり、教授陣は、超一流のプレイヤーや指導者という恵まれた環境の中で、ハイレベルな学生に囲まれて留学生活を送ることができます。
卒業生には、諏訪内晶子五嶋みどりなど、世界的に活躍する日本人演奏家も。
学部生は、ほぼ演奏に特化した「ディプロマ」か、より多くの授業を履修できる「音楽学士」のいずれかを選択することができます。
入試は世界的に見て最難関ですが、超一流校を卒業することで将来の選択肢が広がるはず。
世界の第一線で活躍したい方はトライする価値があるのではないでしょうか。

【公式HP】ジュリアード音楽院

ボストン音楽院

ボストン音楽院は、少人数できめ細かい指導を受けられることで人気の音楽院です。
生徒数約200名に対し、教授数約100人なため、ごくごく少人数もしくはマンツーマンの指導が受けられます。
また、ボストン音楽院は、音楽学部の他、ダンス学部、ミュージカル学部があり提携し、数多く公演を行っているのも魅力です。
留学生へのサポートや英語習得のためのコースも準備されているのもおすすめポイントです。

【公式HP】ボストン音楽院

イタリア

イタリアはオペラの本場だけあり、オペラを勉強したい人に特におすすめの国です。
Conservatorioと呼ばれる国立音楽院の他、市内立音楽院も各地にあり、学費が安価なことでも有名です。
近年は、オペラ・声楽だけでなく、ピアノや弦楽器で留学する学生も増えています。
また、イタリアは、夏期講習会やマスタークラスも頻繁に開催されるため、長期留学の足掛かりになるでしょう。

国立ミラノ音楽院

国立ミラノ音楽院は、イタリアで最大規模を誇り、ヨーロッパ内でも名門として知られる音楽院の一つです。
オペラの大家であるプッチーニやマスカーニを始め、アバド、シャイー、ミケランジェリ、ポリーニ、ムーティなど、一流の演奏家を排出していることでも知られています。
クラシックの他、ジャズ、ポップス、古楽などを専攻できる数少ない音楽院でもあります。
授業料が非常に安価な上、返済不要の奨学金を受けるチャンスがあるのも魅力です。

【公式HP】国立ミラノ音楽院

イモラ国際ピアノアカデミー

イモラ国際ピアノアカデミーは、ピアノ教育のレベルの高さで有名な私立の音楽院です。
少人数精鋭でソリスト育成に力を入れており、世界中から優秀な学生が集まることでも有名です。
イモラ国際ピアノアカデミーでは、一年を通してマスタークラスが開催され、学生は有名な現役ピアニストのレッスンを無料で受講できます。
イタリアの音楽院としては珍しく学生寮を併設しているのもおすすめポイントです。

【公式HP】イモラ国際ピアノアカデミー

オーストリア

オーストリアは、昔から音楽留学先として人気の高い国の一つです。
世界一住みやすい街に選ばれたウィーンの他、ザルツブルクやグラーツなどは特に人気が高く、世界中から学生が集まります。
夏期シーズンには、様々な音楽大学がサマーセミナーを開催するため、ぜひチェックしましょう。

グラーツ国立音楽大学

グラーツ国立音楽大学は、オーストリアに3校しかない国立音楽大学の1つです。
開校から200年以上の歴史を誇り、教授陣には国際的評価が高い現役のプレイヤーも名を連ねています。
分野が細分化されており、伴奏や音楽学などで学士・修士の学位を取得することも可能です。
また、3年生以上は3か月以上12か月以内で他国に交換留学生として行くチャンスがあるのもこの音楽大学の魅力です。
オーストリアを中心に、ヨーロッパの他の国でも学びたい方には最適のシステムと言えるでしょう。

【公式HP】グラーツ国立音楽大学

モーツァルテウム音楽大学

モーツァルテウム音楽大学は、1841年にザルツブルグに創立された音楽大学です。
世紀を代表する指揮者カラヤンが卒業した音楽大学としても知られています。
40以上の専門コースがあり、学士課程、修士課程、ディプロマ課程、博士課程の全てが揃っており、世界中から留学生が集まる人気校です。
また、留学生のためのドイツ語コースが準備されているのも、人気の理由と言えるでしょう。

【公式HP】モーツァルテウㇺ音楽大学

ドイツ

ドイツは音楽留学先として、もっとも人気が高い国と言えるでしょう。
学費の安さに加え、ピアノ、弦楽器、管楽器、打楽器、声楽などすべての専攻で、高いレベルを誇る音楽大学や音楽学校が点在しているのが人気の理由です。
奨学金制度が充実しているのもおすすめの理由です。

ハノーファー音楽大学

ハノーファー音楽大学は、国際的な校風かつハイレベルな州立音楽大学です。
学生約1400名のうち、留学生が500名以上で、留学生の中には、すでに国際的活躍をしている日本人ピアニストも。
海外の大学や、文化芸術団体との共同プロジェクトが多いため、ドイツを中心に海外で広く活動したいと考えている方には、絶好の環境と言えるでしょう。

【公式HP】ハノーファー音楽大学

バレンボイムサイードアカデミー

バレンボイムサイードアカデミーは、2016年に指揮者・ピアニストであるダニエル・バレンボイムが創立したアカデミーです。
学士・修士の学位取得が可能で、どちらも授業料が無料です。
その上、学士課程は毎月約800ユーロの奨学金が付与され学生寮を無料で利用できるため留学生も多く、今後ますます、希望者が増えることが予想されます。
アンドレア・シフなど超一流の演奏家が、教授として名を連ねているのもおすすめポイントです。

【公式HP】バレンボイムサイードアカデミー

フランス

フランスもまた、音楽留学を志す学生に人気の国の一つです。
国立音楽院の他、私立の音楽院のレベルも高く、世界中から学生が集まります。
特に、パリの国立音楽院は、世界の三大音楽大学の1つとされており、非常に高いレベルを誇ります。
フランスは、美術、バレエ、ファッションも最前線なため、感性を磨きながら音楽を学ぶことができるでしょう。

エコールノルマル音楽院

エコールノルマル音楽院は、高い教育水準を誇るフランス屈指の私立音楽院です。
パリのコンセルバトワールに匹敵するレベルとも言われており、知名度も高いことから、世界中から才能のある若者が集まっています。
教授陣には、声楽科はミレイユ・アルカンタラ、ピアノ科はジャン=マルク・ルイサダ、フルート科には、ヴィンセンス・プラッツなどの超一流演奏家も。
日本人留学生が多く、2024年には日本国内入学オーディションが開催されました。
何度も渡航するのが難しい方にとっては、嬉しいシステムと言えるでしょう。

【公式HP】エコールノルマル音楽院

リヨン国立高等音楽院

リヨン国立高等音楽院は、フランス最高レベルを誇る国立音楽院です。
パリ国立音楽院と並ぶ高いレベルに加え、充実した施設や卒業後にプロとして活躍するための実践力を身に着けるカリキュラムには定評があります。
年間300回を超える学生による演奏会が開催されているため、確実に舞台経験を積み上げることができます。
また、授業料が年間約500ユーロ(約8万円)と非常に安価で、学生寮も併設しているため、留学費用を押さえたい方は、受験にトライしてみましょう。

【公式HP】リヨン国立高等音楽院

音楽留学に必要な準備と受験対策

音楽留学に必要な準備と受験対策

ここでは、音楽留学に必要な準備と受験対策について解説していきたいと思います。

音楽留学に必要な書類と準備物

まずは、音楽留学に必要な書類と準備物を解説します。

音楽留学に必要な書類

音楽留学に必要な書類は、国または大学・音楽院によって異なりますが、以下のものはマストです。

  • 日本の高校・大学の卒業証明書
  • 成績証明書
  • パスポートのコピー

卒業証明書と成績証明書は、英文のものを、在学中もしくは卒業した学校の学務課に依頼して準備しましょう。
また、上記に加え学校によっては語学証明書(TOEFLなど)も必要になります。

ちなみに、海外の国立音大や音楽院の中には、日本に在住している場合は、個人での申し込みができないケースがあります。
例えば、イタリアの国立音楽院は、日本のイタリア文化会館を通して出願するのが決まりです。
ただし、イタリアに語学留学や、私立のアカデミーに留学している型などは、現地での出願が可能です。

音楽留学に必要な準備物

音楽留学で必要な準備物も、国や学校によって異なります。
入学手続きの際に、提出を求められる可能性が高い書類は以下です。

  • 経済力を証明する証明書(銀行口座の残高など)
  • 現地の銀行口座を証明する書類
  • 親の収入を証明する書類

イタリアの国立音楽院の学費は世帯収入や個人の収入で決定するため、事前に準備しておきましょう。
ちなみに、現在国立ミラノ音楽院に留学中の日本人学生にインタビューしたところ、日本円で約13万円(1年間)でした。

受験のための準備と練習法

次は、受験のための準備と練習法を解説します。
受験が決まったら、まずは受験要項をしっかり読み、正確に理解することが大切です。
音楽大学や音楽院を受験する場合、一次審査(予備審査)として、音源審査を行うケースが増えていますので、音源も準備しましょう。

練習方法は、とにかく本番を想定して練習することが大切です。
日本の音大の入試ではほぼありえないですが、海外では「展開部から」など、特定の箇所を指定して演奏させるケースもあります。
課題曲の、どこを指定されても動じずにベストな演奏ができるようにしておきましょう。

音楽留学を成功させるためのアドバイス

音楽留学を成功させるためのアドバイス

最後に、音楽留学を成功させるためのアドバイスをご紹介させていただきます。

  • たくさんの人と繋がる
  • オーディションやコンクールに積極的に参加する
  • なるべくたくさんのコンサートに足を運ぶ

留学中は、なるべく多くの人と知り合うようにしましょう。
海外は、日本に比べて演奏会の数が多く、小さな自治体の中でも、頻繁に演奏会を開催しています。
このような演奏会では、知り合いを通して奏者を探すことも多いため、留学生にも十分にチャンスがあります。
私も、共通の友人の紹介で何度か演奏会に出演し、出演料もいただき非常に助かりました。
演奏の場を得られる上、出演料がもらえ、また次の機会につながることも珍しくありません。
オーディションやコンクールは、その時に良い結果が出なくても、人間関係が広がりチャンスに発展することもあるため、積極的にトライしましょう。

そして、海外は一般的に演奏会のチケットが安く、学生はさらに割引料金が適用されます。
プロの演奏家の舞台からはたくさんのことが学べますので、ぜひたくさんの演奏会に足を運びましょう。

自分に合った音楽大学や音楽院で充実した留学生活を

自分に合った音楽大学や音楽院で充実した留学生活を

今回は音楽留学を考えている方に向けて、受験する大学や音楽院の選び方を解説しました。
音楽留学を検討している方は、まずは、色々な音楽大学や音楽院の情報をリサーチして、時分に合った学校を選びましょう。
希望する学校が見つかったら、まずは夏期・冬期セミナーやマスタークラスに参加したり、聴講すると、師事したい先生が見つかり留学へのモチベーションが上がるでしょう。

ぜひ、自分に合った学校を見つけて、実りある留学生活をスタートさせましょう!

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