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ピアノのグレードは履歴書でどう評価されるの?|レベルや合格率を解説◎

Written by
2024.01.10
syotata
【執筆・監修】syotata

ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。

ヤマハやカワイの音楽教室では、教育システムの一つとして独自のグレードテストを実施しています。

受験できる級は小学生から指導者を目指す方まで幅広く設定され、全国各地で多くの生徒さんがグレードテストを受けています。

ピアノのレベルアップに最適なグレード制ですが、合格すると履歴書に書けるのか、資格として評価されるのか疑問に感じますよね。

私も学生時代にグレードテストを勧められ、詳細も分からぬまま勉強していました。

そこで今回の記事では、ピアノグレードのレベルや合格率、メリット・デメリット、履歴書の評価について解説いたします。

グレードとは?

グレードとは?

グレードとは、ピアノや音楽能力(初見・即興演奏)についてレベル別に受験できる音楽能力検定試験です。

ヤマハカワイではピアノ指導者のためのグレードテストも実施していて、音楽教室の講師採用条件の一つとなっています。

国内では、大手音楽教室のヤマハとカワイのグレードが有名ですが、ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)のピアノステップや英国王立音楽検定といった検定試験もありますよ。

グレードは、自分のピアノ実技レベルや音楽能力を確かめる良い機会でもあり、誰でも受験できます。

発表会やコンクールとは違う緊張感の中で、どのくらい実力が発揮できるか知りたい方にもおすすめです。

ここからは、グレードテストについて具体的に解説しますね。

グレードテストの時期や試験会場は?

ヤマハやカワイのグレードテストは、級や楽器ごとに試験のスケジュールが異なります。

例えば、ヤマハのグレードテスト(10〜6級)は特約楽器店が主催し、独自のスケジュールで実施します。

さらに、グレードテストは日曜日に実施されることが多いです。

そのため、学校やお仕事を休むことなく受験できる点がメリットと言えますね。

グレードテストの開催時期は、主催する楽器店や受験できる級ごとに異なりますので、試験要項などでチェックしてみてください。

そして、全国各地の音楽教室(ヤマハ・カワイ)が試験会場となり、自分が通っている教室や自宅や学校の最寄りの試験会場が選べます。

試験当日のスケジュールを考慮して、行きやすい会場を選択すると良いですね。

▼グレードテストの2024年以降の日程例と開催地

ヤマハグレード カワイピアノグレード
【5〜3級】2024年の開催スケジュール
2024年
1月7・12・14・21・28・31日
2月4・18・23・25日
3月3・8・9・10・20・24日
4月7・9・21・22日

【開催地区5〜3級】
東京・名古屋・札幌・大阪・福岡
・静岡・京都・高崎・広島
【15〜7級】2024年の日程は未定
東京地区は、3月・6月・9月・10月・11月の日曜日に
実施する傾向があります。


【6〜3級】2024年東京地区開催日
2月11日(日)
2月18日(日)
2月25日(日)

グレードテストの種類

ここでは、ヤマハとカワイが実施しているグレードテストの種類をご紹介します。

ヤマハ

ヤマハのグレード(音楽能力検定制度)は、音楽や鍵盤楽器を学ぶすべての人を対象とする検定試験です。

国内だけではなく、アジアやヨーロッパなど30以上の国と地域で実施されています。

グレードは13級から設定されますが、ヤマハ音楽教室幼児科修了生が受験可能な基礎グレードもあります。

さらに、グレードが設定されているのは、ピアノ・エレクトーン・管楽器・ドラム・クラシックギター・指導と多様です。

その中で、以下はピアノ演奏グレードの級分けと対象レベルをまとめています。
(試験の正式名称ではありません)

鍵盤初期学習者を対象とするグレード 13・12・11級
ピアノ学習者や趣味で楽しむ方を対象とするグレード 10・9・8・7・6級
指導者を目指す方や音楽指導者・専門家を対象とするグレード 5・4・3級
演奏家やより高い演奏を目指す方を対象とするグレード 2級

参考:ヤマハ

カワイ

カワイのグレードは、初心者から専門家まで音楽能力の向上を目的として設けられた検定制度です。

16〜7級の受験資格は以下の通り。

  • カワイ音楽教室の生徒
  • カワイ音楽教育研究会会員の生徒
  • カワイ音楽教育システム契約特約店の生徒
  • カワイシステム教室の生徒

ピアノや音楽の基礎力を高めるための目標となるグレード(16〜7級)から、音楽指導者や演奏家を目指すための方を対象としたグレード(6〜2級)まで幅広く設定されています。

合格者にはグレード認定証を授与。

ちなみに、カワイピアノグレードテスト6〜2級の受験資格や年齢制限はありません。

演奏または指導グレードを選択して受験できますが、原則6級からスタートで飛び級は不可となっています。

以下の表では、級ごとに実施されているカワイグレードテストの種類(名称)をご紹介します。

カワイグレードテスト(16〜7級) ピアノグレード
おとなのグレード
ドリマトーン(電子オルガン)グレード
カワイグレードテスト(6〜2級) ピアノグレード(演奏・指導)
ポピュラーピアノグレード
リマトーングレード
音楽教育

参考:カワイグレードテスト公式

【番外編】ピティナ・ピアノステップ

ピティナが主催するピアノステップは、全国500以上の地区で開催されているピアノ検定です。

23のステップがあり、課題曲や自由曲を演奏して審査員の先生からの直筆メッセージがいただけます。

さらに、音楽サロンから中小規模のホールなどが会場となり、ピアノ発表会のような雰囲気の中で演奏できます。

ピアノ学習記録用の冊子「ピティナ・パスポート」の付与や継続表彰など、グレード試験とは異なる内容かもしれませんが、気軽に参加できるおすすめの検定です。

ヤマハ・カワイのグレードテスト受験料を比較

ここでは、ヤマハとカワイのピアノグレードテスト受験料をまとめています。
(各公式サイトを参考)

ヤマハグレードテスト受験料 カワイピアノグレード受験料
【10級】4,950円
【9・8級】6,050円
【7・6級】7,150円
【演奏グレード5級】10,450円
【演奏グレード4級】11,550円
【演奏グレード3級】13,750円
【演奏グレード2級】55,000円
※すべて税込
【15級】2,310円
【14級】2,860円
【13級】3,410円
【12級】3,740円
【11級】3,960円
【10級】4,180円
【9級】4,510円
【8級】4,730円
【7級】4,950円
【演奏グレード6級】9,460円
【演奏グレード5級】11,550円
【演奏グレード4級】13,640円
【演奏グレード3級】18,920円
【演奏グレード2級】31,350円
※すべて税込

比較してみると、カワイのピアノグレードテストの方が若干安価であることが分かりました。

レベルアップすると試験内容に応じて受験料が上がるシステムで、5級〜2級は価格帯が高めになっています。

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グレードテストの試験内容やレベルは?

グレードテストの試験内容やレベルは?

ここからは、ヤマハとカワイのグレードテスト試験内容や合格率をご紹介します。

ヤマハ公式サイトによると、ピアノ演奏グレード13〜11級の試験内容は指導者から伝えられるとのことです。

ヤマハ

ヤマハのピアノ演奏グレード10級〜2級の試験内容をご紹介します。

ピアノ演奏実技試験の他、初見や即興演奏も課せられます。

ヤマハのグレードテスト対策の問題集やレッスンで実力を身につけて、自分のレベルにふさわしい級に挑戦してみましょう。

試験内容 合格基準・合格率
ピアノ演奏グレード
10〜6級・Aコース
自由曲
課題曲
初見演奏
非公開
ピアノ演奏グレード
6〜7級・Bコース
自由曲
初見演奏
即興演奏
聴奏
非公開
ピアノ演奏グレード
10〜8級・Bコース
自由曲
初見演奏
伴奏づけ
聴奏
非公開
ピアノ演奏グレード
5〜3級
即興演奏
初見演奏
楽曲演奏
(自由曲・課題曲
・3級のみ自作曲)
100点満点中75点以上。

各科目の配点50%以上。

合格率は非公開。
ピアノ演奏グレード
2級
自作曲演奏
自由曲5曲演奏
初見演奏
合格基準・合格率ともに非公開。

各級の合格率について、明確な情報が公開されていないのが現状です。

ただ、10〜6級は自分の実力に合った級を受験する方が多いので、合格率は高いでしょう。

一方、5級以上は音大レベルとも言われているため、合格率は10%未満で難しいと思います。

ヤマハピアノグレードテストの課題曲例をご紹介

グレードテスト10〜2級の課題曲をいくつかご紹介します。

各級のレベルの参考にしてみてくださいね。

10・9級(ピアノ初級〜中級) ディアベリ『スケルツォ』
バルトーク『遊び』
ハイドン『ドイツのおどり』
グルリット『プレリュード』
ストリーボック『すみれ』
ベートーヴェン『エコセーズ』
ブルグミュラー『アラベスク』
リヒナー『舞踏の時間に』
8・7・6級(初級〜中級) モーツァルト『アレグロ』
ハチャトゥリアン『小さな歌』
ギロック『ウィンナーワルツ』
クーラウ『ソナチネハ長調』
カバレフスキー『トッカティーナ』
チャイコフスキー『ワルツ』
ショパン『プレリュードホ短調』
メンデルスゾーン『紡ぎ歌』
グリーグ『妖精の踊り』
ドビュッシー『小さな羊飼い』
5・4・3級(中級〜上級) 『JOCピアノ作品集』
よりひつじ雲
舞曲
パーティーへ向かう馬車
早春
ユメミザクラの木の下で
気分はボサノバ
バルカローレ
夜明け
誓い
2級(上級) 自由曲を4つのスタイルから選択
バロック(バッハ・スカルラッティ・ヘンデルなど)
古典(ベートーヴェン・モーツァルト・ハイドン)
ロマン派(ショパン・リスト・ブラームス・シューマンなど)
近現代(ドビュッシー・ラヴェル・バルトークなど)

ヤマハ指導グレードテストの試験内容

ヤマハ音楽能力検定には、指導グレード(5・4・3級)があります。

その名の通り、音楽の指導者としての能力が試されるテストです。

試験内容は、実技と筆記試験の2種類。

音楽の基礎知識やソルフェージュ能力が問われる試験内容と言えますね。

実技試験 筆記試験
【ソルフェージュ】
メロディ視唱
弾き歌い

【鍵盤実技】
伴奏づけ
移調奏
聴音
楽典
楽典・和声法
混声合唱編作
コード進行法

カワイ

カワイピアノグレードテストは、段階的に受験するシステムになっています。

また、カワイこどもピアノコンクールの参加資格にグレード取得も含まれるので、受験しておくと安心です。

試験内容 合格基準・合格率
カワイピアノグレード
テスト16〜7級・区分A
課題曲2曲を演奏 非公開
カワイピアノグレード
テスト16〜7級・区分B
課題曲1曲演奏
選択曲1曲演奏
非公開
カワイピアノグレード
テスト16〜7級・区分C
課題曲一覧より
2曲選択して演奏
非公開
カワイピアノ演奏
グレード6〜3級
課題曲
自由曲
伴奏づけ
非公開
カワイピアノ演奏
グレード2級
ピアノ曲のオリジナル
プログラムを演奏
(30分以上40分未満)
非公開

カワイピアノ演奏グレードテストの合格基準や合格率も非公開です。

16〜7級は比較的合格者が多い傾向があり、6級からはレベルが上がり難しくなります。

そして、ヤマハのグレードと同じく最高レベルの2級は合格率が10%未満と言えます。

カワイピアノグレードテストの課題曲例をご紹介

16〜10級(ピアノ初級) 子どものバイエル
ピアノのメトードA
山のおんがくか
オッフェンバック『ホフマンの舟歌』
ウェーバー『人魚の歌』
トンプソン
9〜7級(初級〜中級) ベートーヴェン『ソナチネ』
モーツァルト『メヌエット』
シューマン『初めての悲しみ』
テレマン『フーガト短調』
バッハ『2声のインヴェンション』
6〜3級(演奏グレード上級) バッハ『シンフォニア』より抜粋
バッハ『平均律クラヴィーア曲集』より抜粋

カワイ指導グレードテストの試験内容

カワイのピアノグレードテストにも、指導グレードがあります。

受験するためには、同級の演奏グレードを取得しなければなりません。
(同時受験も可能)試験内容は以下の通りです。

  • 筆記試験(楽典)
  • 和声(四声体和声を作成)
  • 聴音(8小節の単旋律・複旋律)
  • 楽曲分析(ピアノ曲の楽譜に関する設問)
  • ピアノ譜作成(メロディや和音記号などが提示され指定された楽譜を作成)
  • 初見奏(予見時間1分)

カワイの指導グレードは、より専門性が高く音楽大学卒業レベルと言っても過言ではない内容です。

ヤマハとカワイ、どちらを選ぶ?

ヤマハとカワイ、どちらを選ぶ?

ヤマハとカワイのピアノグレードテストは、目的やレベルに応じて自由に受験できる音楽検定です。

いずれかの音楽教室に通っていれば、それぞれのグレードテストの受験を勧められます。

一方で、個人教室や独学でピアノを学ぶ方は、どちらを選ぶべきか迷いますよね。

ここでは、ヤマハとカワイのピアノグレードテストのメリットをご紹介していきます。

自分に最適なグレードテストはどちらか、参考にしてみてくださいね。

ヤマハグレードのメリット

  • ヤマハの音楽教室講師を目指す人に有利
  • 音楽の総合的な能力も評価される
  • 自分の苦手分野が分かる

ヤマハのグレードには、ピアノ・エレクトーン・管楽器・ドラム・クラシックギター・指導者といった多ジャンルの検定があります。

さらに、5級以上のグレードを取得すると、音楽教室講師の採用に繋がることも多いです。

試験内容も、楽器の実技試験をはじめ、初見や即興演奏、伴奏づけなどの総合的な能力が試されるので、バランスよく学べます。

カワイグレードのメリット

  • ポピュラーピアノ(6〜2級)や大人のためのグレードテストがある
  • 他の受験生の演奏が聞ける
  • 受験料が安価な級もある

カワイのグレードには、ポピュラーピアノや大人の学習者向けの部門が設けられています。

そのため、大人のピアノ初心者の方も目標を持って音楽を学ぶことができるのです。

一方、カワイのピアノグレードは、ヤマハと比べるとやや自由度が低い点がデメリットと言えます。

例えば、一部のピアノグレードの受験資格は、カワイ音楽教室に在籍している方のみなど。

もちろん、誰でも受験できるグレードテストもあり、自分のピアノレベルに応じて選択可能です。

グレード試験の結果は履歴書に書ける?

グレード試験の結果は履歴書に書ける?

ヤマハまたはカワイのピアノグレードテストに合格すると、認定された級を履歴書に書くことができます。

特に、音楽教室講師や保育士または幼稚園教諭の採用試験といったグレードの取得が推奨されている場合は、必ず記載しましょう。

英語や漢字検定と比べてメジャーではありませんが、ピアノのグレードも履歴書に堂々と書いて良いです。

まとめ

まとめ

今回は、ヤマハとカワイのピアノグレードについて詳しく解説してきました。

ピアノの発表会やコンクールとは異なり、試験というスタイルで自分の音楽能力が試されるグレードテスト。

合格を目指してレッスンのモチベーションを上げたり、達成感を感じてもっと上の級に挑戦したいなど、グレードテストにはメリットがたくさんあります。

ぜひ、自分のピアノ学習やお子様の音楽能力向上を目指して、グレードテストに挑戦してみてください。

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