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【難易度付き】ドビュッシーの名曲11選|1度は聴いてほしい最高傑作も◎

Written by
2024.03.18
どるちぇ
【執筆・監修】どるちぇ

4歳よりピアノを習い、20歳より電子オルガン・コード理論を学びました。 現在は、20年以上継続している自宅でのピアノ教室で2歳からの子どもたちと一緒にピアノの練習をしています。 保育士資格を独学で取得し、保育園にて子どもたちとリトミックや季節の歌を楽しんできました。皆さまのピアノライフのお役に立てるようにピアノの魅力をたっぷりお届けします。

目次

  1. 〜印象派のドビュッシーの生涯〜
  2. ドビュッシーの基本情報
  3. ドビュッシーの生涯
  4. ドビュッシーってどんな人だったの?
  5. ドビュッシーの音楽の特徴は「響き」がポイント!
  6. ドビュッシーの曲の特徴
  7. 印象主義音楽の特徴
  8. ドビュッシーの名曲「ピアノ」「管弦楽曲」一覧表
  9. ドビュッシー名曲ピアノおすすめ10選
  10. ドビュッシー管弦楽曲その他おすすめ3選
  11. ドビュッシーの名曲11選をご紹介!
  12. 月の光(ベルガマスク組曲より)
  13. 亜麻色の髪の乙女(前奏曲第1集)
  14. 喜び島
  15. ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分)
  16. 水の反映(映像第1集)
  17. 雨の庭(版画)
  18. プレリュード(ピアノのために)
  19. 沈める寺(前奏曲第1集)
  20. 牧神の午後への前奏曲
  21. 交響詩《海》
  22. 小組曲《行列》
  23. 【最高傑作】1度は聴いて欲しい「2つのアラベスク」
  24. アラベスク第1番
  25. アラベスク第2番
  26. 『月の光』と『アラベスク』のどちらを弾くか迷ったら『アラベスク』がおすすめ
  27. ドビュッシーのピアノ曲の練習ポイント2つを解説
  28. 演奏曲をよく聴く
  29. 細かい指示語をていねいに読み込む
  30. 【番外編】ドビュッシーにまつわるエピソード3選
  31. ドビュッシーは厄介な問題児だった
  32. 溺愛した娘の「シュウシュウ」に捧げた『子供の領分』
  33. ドビュッシーは不倫や浮気など女性問題が多かった
  34. 【まとめ】ドビュッシーは音楽に強いこだわりを持った頑固な音楽家だった
  • ドビュッシーの作品全体を通じて何を聴けば良いか
  • 自分の好みに合うドビュッシーの曲をどのように見つけたら良いか

などと、迷うことはありませんか?

ドビュッシーの曲は、どれも絵画的で素敵な弾きたくなる曲ばかりですよね。

この記事では、ドビュッシーの生涯、名曲一覧、ピアノ曲練習のポイント、ドビュッシーにまつわるエピソードをご紹介しています。
この記事を読んでドビュッシーをもっと知り、あなたの好みに合うドビュッシー作品を見つけて演奏してみましょう。

〜印象派のドビュッシーの生涯〜

〜印象派のドビュッシーの生涯〜

ドビュッシーはどんな人だったのか気になりますよね。
頑固者で、気難しくちょっと風変わりだったといわれるドビュッシーの生涯についてまとめました。

ドビュッシーの基本情報

名前 クロード・ドビュッシー
出身地 フランス サン・ジェルマン=アン・レー
生年月日 1862年8月22日
死亡年月日 1918年3月25日(享年55歳)
世間的イメージ 19世紀から20世紀初頭にかけて活躍したフランス人の作曲家であり
「印象主義音楽の創始者」といわれている

ドビュッシーの生涯

  生涯 主要作品
1862年(0歳) 8月22日フランス・パリ郊外の
サン・ジェルマン=アン・レーに生まれる
 
1872年(10歳) パリ音楽院に入学、12年間在籍する  
1876(14歳) パリ音楽院ソルフェージュ科で1等の
メダルを獲得する
 
1880年(18歳) ・パリ音楽院にて「実用和声」で1等賞を獲得し、
念願の作曲家への進級を果たす
・音楽知識や文学、一般教養に至るまで
様々な知識を吸収していく
 
1884年(22歳) ・ローマ大賞コンクールに再度挑戦し、
カンタータ『放蕩息子』でローマ大賞を受賞
※『放蕩(ほうとう)息子』とは、新約聖書に登場する
例え話のこと
・パリ音楽院を卒業
 
1885年(23歳) 前年に受賞した「ローマ大賞」の副賞として、
留学のためローマへ行く
 
1887年(25)歳 ローマは「退屈の街だ」と決めつけて
滞在を切り上げ、再びパリに戻る
 
1888年(26歳)   2つの『アラベスク』
1889年(27歳) パリ万国博覧会で「ガムラン音楽」を聴き感銘を受ける
※ガムラン音楽とは、インドネシアなど
東南アジアの民族音楽の総称
 
1890年(28歳)   『ベルガマスク組曲』
1894年(32歳)   『牧神の午後への前奏曲』
『ピアノのために』
1899年(37歳) リリー・テクシエと最初の結婚  
1903年(41歳)   『版画』
1904年(42歳)   『映像第1集』
『喜びの島』
1905年(43歳) ・エンマ・バルダックと同棲
・長女クロード=エンマ(シュウシュウ)誕生
※「シュウシュウ」とはキャベツちゃんの意味
『月の光』
1906年(44歳)   『子供の領分』
1907年(45歳)   『映像第2集』
1908年(46歳) エンマ・バルダックと再婚  
1909年(47歳)   『前奏曲第1巻』
1910年(48歳)   『前奏曲第2巻』
1914年(52歳) 大腸がんを発病  
1915年(53歳) がんの手術を受ける  
1918年(55歳) 死因「直腸がん」によりパリで息を引き取る  
1919年 ジフテリアにより長女クロード=エンマ死去
(享年14歳)
 

ドビュッシーってどんな人だったの?

ドビュッシー

引用元 : Wikipedia

ドビュッシーは、物心ついた頃から気難しく内向的な性格で、頑固者、見栄っ張りだったといわれています。
裕福ではなかったものの、服装や食については貴族のような趣味や習慣を好んだ作曲家でした。
優雅な身なりができないときには外出を控えたり、お茶も好んでかなりの量を飲んでいたようです。
また、ヘビースモーカーだったドビュッシーは、健康を心配する知人に「タバコをやめると自分の思考に影響する」と語ったほど、喫煙はドビュッシーにとって大切なものでした。

ドビュッシーの音楽の特徴は「響き」がポイント!

ドビュッシーの音楽の特徴は「響き」がポイント!

ドビュッシーの音楽は、曲のテーマを用いて形式に沿って組み立てるものではなく、細かなニュアンスを帯びた「響き」そのものです。
ドビュッシーの音楽の特徴を、印象主義音楽の特徴とともに見ていきましょう。

ドビュッシーの曲の特徴

「印象主義音楽の創始者」と呼ばれたドビュッシーは、絵画や詩をもとに作った作品が多く、音から豊富なカラーを感じられます。
雲、霧、風、水、海、光など形ないの変化するイメージを持つものが多く、それぞれが音楽表現の特徴と深く結びついています。
例えば、クロード・モネの作品『ルーアンの大聖堂(カテドラル)』からは《沈める寺》、日本の浮世絵からは《海》が影響を受けました。
ドビュッシーは、それまでの機能性和音や調性のルールとは違う「全音音階」などを使って不安定で曖昧な響きを求めました。

全音音階とは?

すべての音の幅が全音関係にある音階で「無機質」「無重力」など、魔法のような響きが特徴の音階です。

機能性和音とは?

西洋音楽で長調や短調音階上にできる和音のことです。

印象主義音楽の特徴

「印象主義音楽」は、連続的な不協和音や、長・短音階以外の音階の使用、多数のリズムパターンの併用がみられます。
そのため、和声進行やリズム、拍子感が曖昧ではっきりとしないぼかされたような輪郭が特徴です。

不協和音とは?

不安定でまとまりがない和音のことで複数zの音を同時に出したときに落ち着かない印象が特徴の和音です。

長、短音階以外の音階とは?

全音音階や民族音楽によく用いられる五音音階、教会旋法などがあります。

印象主義音楽は、感情表現を主としたロマン派の音楽に対し、色彩的な響きや繊細さ、空気感を表現しました。
音楽以外の美術、文学、舞台芸術などから大きく影響を受けていたといわれています。
印象主義音楽の代表的な作曲家として、ドビュッシーのほか、モーリス・ラヴェルも取り上げられます。

ドビュッシーの名曲「ピアノ」「管弦楽曲」一覧表

ドビュッシーの名曲「ピアノ」「管弦楽曲」一覧表

筆者がおすすめするドビュッシーの名曲「ピアノ曲10選」「管弦楽曲3選」を一覧にまとめました。

ドビュッシー名曲ピアノおすすめ10選

1 月の光(ベルガマスク組曲より)
2 亜麻色の髪の乙女(前奏曲第1集)
3 喜びの島
4 ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分)
5 水の反映(映像第1集)
6 雨の庭(版画)
7 プレリュード(ピアノのために)
8 沈める寺(前奏曲第1集)
9 アラベスク第1番
10 アラベスク第2番

ドビュッシー管弦楽曲その他おすすめ3選

1 牧神の午後への前奏曲
2 交響詩《海》
3 小組曲《行列》

ドビュッシーの名曲11選をご紹介!

ドビュッシーの名曲11選をご紹介!

ドビュッシーのピアノ曲の名曲8選、管弦楽曲の名曲3選を1曲ずつ紹介します。
ピアノ曲については難易度も合わせてのせていますので参考にしてください。
あなたの好みに合うドビュッシーの名曲をぜひ見つけてくださいね。

月の光(ベルガマスク組曲より)

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難易度 ⭐️⭐️
曲の特徴 静かに始まるメロディーは不思議な響きの中で揺れているように聞こえます。
左手の16分音符の動きを曲の流れとともに右手が引き受け、
メロディーをさらに表情豊かにしています。
楽譜 月の光14ページ

ドビュッシーのピアノ名曲といえば「月の光(エルガマスク組曲より)」と思われる方が多いのではないでしょうか?
ベルガマスク組曲とは《プレリュード》《メヌエット》《月の光》《パスピエ》の4曲から成り立っています。
中間部の16分音符の伴奏は動きを持ってなめらかに弾きましょう。
テンポの表示を確認しながら「自然なテンポの揺れ」を表現しましょう。

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亜麻色の髪の乙女(前奏曲第1集)

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難易度 ⭐️⭐️
曲の特徴 メロディーがわかりやすく、柔らかい印象の曲です。
急激で大げさな表現はみられません。
楽譜 亜麻色の髪の乙女

この曲は、「スコットランドの歌」という詩集の中の『亜麻色の髪の乙女』という詩に基づいて作曲されたといわれています。
曲やテンポ、曲想など楽譜にある「指示」をていねいに確認して、情景をイメージしながら演奏しましょう。
初心者には取り組みやすい曲ですが、テンポが揺れるのでたくさん曲を聴いてから弾くのをおすすめします。

喜び島

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難易度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
曲の特徴 演奏時間が約6分半ほどと長めの曲です。
難易度も高く華やかに表現するためには演奏技術も必要です。
楽譜 ぷりんと楽譜上級ピアノソロ

この曲は、ドビュッシーが不倫旅行のときに作られました。
恋愛で胸いっぱいの幸せ、甘い時間を過ごしながら作曲されたのかもしれませんね。
アントワーヌ・ヴァトー作『シテール島への船出』の絵画からインスピレーションを受けて作曲されたともいわれています。

拍子感も不安定でふわふわとした印象のある曲ですが、空間に音が響いていくように音が鳴って消えていくまでをていねいに聴きながら演奏しましょう。

ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分)

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難易度 ⭐️⭐️
曲の特徴 ケークウォークとは19世紀終わりにアメリカで発生し、
その後ヨーロッパでも流行したダンスのリズムです。
アメリカの黒人音楽から生まれたもので、
2拍のリズムに乗ったシンコペーションといわれるリズムが特徴です。
楽譜 ドビュッシー 子供の領分6曲目

この曲は愛娘クロード=エマ(シュウシュウ)のために作られた「子供の領分」の6曲目にあります。
全体的に伴奏のノリやアクセントを大切にして、特に中間部分はジャズ風にスイングする感じに演奏します。
和音が重なるところは、音が濁らないようにこまめにペダルを踏みかえるとよいでしょう。
音の大きさもしっかり弾き分けることで、ユーモアあふれる演奏になります。

水の反映(映像第1集)

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難易度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
曲の特徴 揺らめく水面に、キラキラと光を反射する絵画的な様子を表現しているような曲です。
楽譜 ドビュッシー 映像 第1集・第2集1曲目

美しい調性の部分と調性を感じにくい部分から成り立っています。
調性を感じにくい理由は、全音音階が使用されることで「不思議な響き」になっているからです。
原曲をよく聴いて練習に取り組むとイメージを持ちながら演奏ができるでしょう。

モーリス・ラヴェルのピアノ曲『水の戯れ』と聞き比べられることがよくあります。
ドビュッシーは「情景や感情」を表し、ラヴェルは「知的で明解」に水そのものを表現しています。

〈参考『ラヴェル水の戯れ』演奏動画〉

雨の庭(版画)

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難易度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
曲の特徴 日本的なしっとりとした雨のイメージとは違い、
カラッとした雨の印象を受ける曲です。
楽譜 ドビュッシー 版画3曲目

ピアノ曲集「版画」の3曲目に『雨の庭』があります。
フランス童謡からモチーフがとられているといわれています。
日本におきかえると、梅雨の時期に歌われる童謡「あめあめふれふれ、母さんが〜」のメロディーが曲の中に入っているようなイメージです。
自然な流れで、雨の様々な変わりゆく様子を曲調の変化とともに表現しましょう。
難易度は高めです。

プレリュード(ピアノのために)

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難易度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
曲の特徴 曲の冒頭の怪しげな雰囲気や聞き慣れない和音に引き込まれます。
途中のグリッサンド部分が曲に華やかさを与えています。
楽譜 ドビュッシー ピアノ曲集 Ⅳ1曲目

筆者は高校生の時、友人が発表会でこの曲を弾いているのを聞き「自分も弾いてみたい」と強く思いました。
普段練習していた「チェルニー」や「ソナタ」といった教本に出てくる響きとは全く違い聞き慣れていない音が多いので、楽譜を読み込むことは難しいです。
ドビュッシーの曲の特徴を表現する「隠れた名曲」といえます。

沈める寺(前奏曲第1集)

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難易度 ⭐️⭐️⭐️
曲の特徴 様々な鐘の音を想わせる低音の長い音が特徴の曲です。
響かせる技術や感性が必要です。
楽譜 ドビュッシーピアノ曲集V10曲目

この曲は、海底都市「イス」の伝説からインスピレーションを受け作曲されたといわれています。

海底都市「イス」の伝説とは?

フランスブルターニュ地方に伝わる伝説上の都市のことです。

5世紀ごろにブルターニュ地方西端の海に面した低地に造営され、大洪水によって一夜で姿を消したといわれています。

演奏では、和音の一つひとつに意味を持たせるのではなく、横のつながりを持つことで響きがいっそう深まります。

以下3曲は管弦楽曲です。

牧神の午後への前奏曲

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マラルメの詩「牧神の午後」からインスピレーションを受け作曲されたと いわれています。
フルート・ソロの演奏から曲は始まる約10分ほどのゆったりした曲です。
後にロシアバレエ団によってバレエでも上演されています。
この曲以降ドビュッシーは、ロマン派音楽から離れて、絵画的な印象主義の音楽へとより作風が変わっていきます。

交響詩《海》

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日本の芸術である「浮世絵」から強く影響を受けた曲です。
初期の楽譜の表紙には、ドビュッシーの意向で葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の一部が印刷されています。

第1楽章 海の夜明けから真昼まで
第2楽章 波の戯れ
第3楽章 風と海との対話
この3楽章から曲は成り立っています。

ドビュッシーが不倫旅行に出かけている間に妻が自殺未遂をし、世間からバッシングを受けていた時期の作品です。
そのため初演は不評でした。
しかし、そのような背景を忘れて、壮大な海の景色を楽しめる1曲です。

小組曲《行列》

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ドビュッシーは4手ピアノのために作曲していましたが、後に管弦楽曲へと編曲されました。
取り組みやすい難易度のため広く親しまれています。

第1曲 小舟にて
第2曲 行列
第3曲 メヌエット
第4曲 バレエ
この4つの曲からできています。

第2曲の行列はヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』にある詩と同じタイトルです。
軽快で楽しく可愛らしい雰囲気を持った曲です。

【最高傑作】1度は聴いて欲しい「2つのアラベスク」

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アラベスク1番

アラベスク2番

難易度 ⭐️⭐️(表現は⭐️⭐️⭐️)
楽譜 2つのアラベスク

「アラベスク」とは、アラビア風の装飾模様を指し、唐草模様としても日本では親しまれています。
ブルグミュラーやシューマンも『アラベスク』を作曲していますよ。

ドビュッシーの『アラベスク』には1番と2番があります。
1曲ずつみていきましょう。

アラベスク第1番

流れるようなメロディーが特徴の曲です。
音の左右受け渡しをスムーズに、アクセントがつかないように弾きましょう。

和音を順に弾く「アルペジオ」が多く使われ、3連符と8分音符の弾き分けも

練習の課題といえます。
最初はゆっくりと、何度も繰り返し練習するのをおすすめします。

アラベスク第2番

『アラベスク第1番』とは違い、弾むようなスタッカートが特徴の明るい曲です。
16分音符の3連符を軽やかに弾くことが、この曲の演奏ポイントです。
演奏するときの細かい指示も楽譜にありますが、ドビュッシーらしい音色を出すにはある程度の音楽経験も必要でしょう。

『月の光』と『アラベスク』のどちらを弾くか迷ったら『アラベスク』がおすすめ

ドビュッシーのピアノ曲を選ぶとき『月の光』と『アラベスク第1番』のどちらにしようか迷いませんか?

筆者は『アラベスク第1番』をおすすめします。
なぜなら『アラベスク第1番』はテンポの揺れが少なく、ある程度アルペジオが弾ければ曲のまとまりを表現しやすいからです。
そして、音楽表現の指示語もわかりやすいものが多いので、表現しやすい曲ともいえます。

もちろんドビュッシー音楽の特徴である「絵画的な表現」をするために、

音の出し方や音が消えていくまでの音色をしっかり聴き取ることは必要です。
「美しいもの」を表現したドビュッシーらしい音楽も魅力のひとつではないでしょうか?

ドビュッシーのピアノ曲の練習ポイント2つを解説

拍子感やテンポが曖昧で調性を感じにくい、ふわふわしたようなドビュッシーのピアノ曲の練習ポイントは以下の2つです。

  • 演奏曲をよく聴く
  • 細かい指示語を丁寧に読み込む

1つずつ解説していきます。

演奏曲をよく聴く

CDやYouTubeで演奏曲を何度も繰り返し聴くと、メロディーや表現方法を覚えられます。
メロディーを覚えると、楽譜を読む手がかりになります。
表現方法は真似をすることで、ドビュッシーの求めている曲に1歩近づけるでしょう。

細かい指示語をていねいに読み込む

ドビュッシーの時代、ピアノのデリケートな表現も可能になり、広い会場でも響くように改良されました。
そのため、作曲家は演奏者にも表現方法を伝えるため、細かい指示を楽譜の中に書き記すようになりました。
ドビュッシーの曲の中にも、たくさんの指示があります。

例えば『亜麻色の髪の乙女』からは、曲の冒頭に「とても静かに、そして優しく表現豊かに」、『ゴリウォークのケークウォーク』の中間部では「軽く速度緩める」とあります。
どのくらいの表現が曲に合っているのか言葉ではわかりにくいため、演奏をよく聴き、楽譜に書かれた指示語を理解することが大切です。

【番外編】ドビュッシーにまつわるエピソード3選

【番外編】ドビュッシーにまつわるエピソード3選

ドビュッシーにまつわるエピソード3選をまとめました。
各エピソードからは、ドビュッシーのこだわりや繊細さが感じられるでしょう。

  • ドビュッシーの青年期
  • 愛娘の「シュウシュウ」
  • 女性問題について

ひとつずつご紹介します。

ドビュッシーは厄介な問題児だった

ドビュッシーは物心ついた頃から気難しく、内向的な性格でした。
10歳でパリの音楽院に入学したものの、授業内容や講師の指導に不満ばかり言っており、わずか半年でクラスを辞めました。
ピアニストを目指していたドビュッシーですが、コンクールで2位になったものの、1位を取れなかったという理由でピアニストの夢を諦めたそうです。

ドビュッシーは、若手作曲家の登竜門で知られていた「ローマ賞」に3度目の挑戦でグランプリに輝きました。
「ローマ賞」は、フランス政府が若い作曲家に贈る最高の栄誉で、ドビュッシーはフランスの音楽会で注目される作曲家になりました。

「ローマ賞」の副賞として、ローマへの留学の機会を与えられたドビュッシーですが、ローマでの留学生活に馴染めずわずか2年で帰国して

しまいます。
ドビュッシーの頑固でこだわりの強い性格がこのエピソードからはわかります。

溺愛した娘の「シュウシュウ」に捧げた『子供の領分』

頑固でこだわりが強い性格だったドビュッシーですが、娘のエンマを「シュシュ」という愛称で呼ぶほど娘を溺愛していました。

愛する娘「シュウシュウ」のために作曲された作品が『子供の領分』です。
象のこもり歌、人形へのセレナーデ、雪が踊っている等かわいらしい題名が付けられています。
ドビュッシーの優しさも感じられますね。

ドビュッシーは不倫や浮気など女性問題が多かった

ドビュッシーは18歳から8年間、夫のいる夫人と不倫関係にあり、この間にも別の女性との恋愛関係がありました。

この後付き合った別の女性と同棲中に浮気をし、同棲していた女性が自殺未遂を起こしました。

さらにその後、また別の女性と結婚したものの不倫をし、結婚相手が自殺未遂をします。
離婚後、不倫相手だった女性と再婚をしてようやく落ち着きます。

絵画的な音色や響きが特徴のドビュッシーの音楽からは、想像ができない女性問題ですね。
繊細なのか大胆なのかはわかりませんが「こだわりが強かった性格」が引き起こした女性問題なのかもしれません。

【まとめ】ドビュッシーは音楽に強いこだわりを持った頑固な音楽家だった

ドビュッシーの生涯や性格、音楽の特徴、有名な作品についてみてきました。

ドビュッシーの青年期の気難しい性格が引き起こしたエピソードや女性問題などからもわかるように、ドビュッシーの音楽は「強いこだわり」があったからこそ作られたといえます。

ドビュッシーの登場がなければ印象主義と呼ばれる音楽は生まれてこなかったかもしれません。
曖昧な雰囲気や、ぼかされたような輪郭と絵画的な色彩感あふれる響きが特徴のドビュッシーの音楽はとても魅力的です。

ドビュッシーの性格や印象主義音楽の特徴を知って、曲を聴いたり演奏してみると今までとは違う「響き」に気づけるかもしれません。

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