ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。
目次
- アイドル級に人気のフランツ・リストの正体は?
- フランツ・リストとはどんな人?
- フランツ・リストの功績とは?
- リストの性格や恋愛観
- リストの身長や手の大きさは?
- ピアノの魔術師「フランツ・リスト」の生涯に迫る!
- 出生から少年時代
- 黄金時代
- 晩年
- なぜ女性たちを失神させたのか?リストの恐るべき魅力とは?
- 高身長でイケメン
- 卓越した演奏技術
- 人格者の一面もあった
- リストの名曲を10選ご紹介!
- ラ・カンパネラ
- パガニーニ大練習曲より第6番イ短調『主題と変奏』
- 超絶技巧練習曲より第8番ハ短調『荒野の狩り』
- 3つの演奏会用練習曲より『ため息』
- スペイン狂詩曲
- ハンガリー狂詩曲より第12番嬰ハ短調
- 3つの夜想曲より『愛の夢』
- リゴレット・パラフレーズ
- ピアノソナタロ短調
- 半音階的大ギャロップ
- 【番外編】リストのエピソード集!
- 弟子に無償でレッスン
- コンサートグッズを売っていた!?
- 3段や1段で楽譜を書いた
- まとめ
ピアノ曲『ラ・カンパネラ』でお馴染みのフランツ・リストは、クラシック音楽のロマン派期に活躍した音楽家です。
多くの超絶技巧ピアノ曲を残しているフランツ・リストですが、実はかなりのイケメンだったという説があります。
ピアノが上手でイケメンとなれば、女性ファンもたくさん居たことでしょう。
そこで今回の記事では、フランツ・リストの生涯や人柄、ピアノ曲などをエピソードを交えてご紹介します。
アイドル級に人気のフランツ・リストの正体は?
まずは、なぜフランツ・リストがアイドル級に人気だったのかを紐解いていきましょう。
意外と知られていないリストの人柄や恋愛観をご紹介していきます。
フランツ・リストとはどんな人?
引用元:Wikipedia
ハンガリー出身のフランツ・リストは、ピアニスト・作曲家・ピアノ教師として活躍した人物です。
ロマン派音楽の発展に貢献した音楽家の一人で、同期にショパンやシューマン、ベルリオーズといった名だたる作曲家がいます。
幼少期から音楽の才能を見出されたリストは、父親の手ほどきでピアノを弾きはじめました。
しかし、15歳の時に父親が亡くなり、家計を支えるためにピアノ教師となります。
フランツ・リストは、偉大な才能に恵まれながらも苦労した時期があったのですね。
フランツ・リストの功績とは?
フランツ・リストは、ロマン派時代にベルリオーズが提唱した標題音楽を発展させた「交響詩」という新たなスタイルを確立しました。
標題音楽とは、作品を通して聴衆に情景や雰囲気をイメージさせる楽曲のことです。
例えば、川の流れや木々のざわめきなど。
リストは、この標題音楽を管弦楽で演奏する「交響詩」を作曲し、新ドイツ派と呼ばれるようになりました。
さらに、現代のピアニストにとって当たり前になっている「暗譜」でピアノを演奏するスタイルもリストが考案したと伝えられています。
リストの性格や恋愛観
ピアニストとしてのリストは、どんな難曲も初見で弾いてしまい人々を驚かせていました。
そんなリストが唯一初見で弾けなかった曲が、ショパンの『練習曲作品10』です。
しばらく姿を消していたリストは、数週間後に全曲見事に弾きこなし、ショパンも絶賛したと言われています。
負けず嫌いだったリストは、猛練習をしてリベンジを果たしたのでしょう。
一方、イケメンのリストには恋愛エピソードも多く、既婚女性やお弟子さんなどと恋に落ちました。
24歳の時には、ジャーナリストのマリー・ダグー伯爵夫人とスイスに逃避行し、約10年間の同棲生活を送っています。
さらに3人の子どもにも恵まれ、その一人であるコジマは、後に作曲家のワーグナーと結婚しました。
【マリー・ダグー】
引用元:Wikipedia
やがてマリー・ダグーとの同棲が終わり、再びピアニストとして活動を始めたリストでしたが、演奏旅行中に知り合ったカロリーネを愛してしまいます。
カロリーネは既に結婚していましたが、リストは彼女との結婚を強く望んでいたようです。
しかし、カトリック教徒は離婚が禁止されているため、カロリーネとの結婚は叶いませんでした。
その後、リストが結婚したエピソードはないので、おそらく生涯独身だったと思います。
熱狂的なファンに囲まれていたリストの恋愛観は、やや破天荒だったと言えますね。
【カロリーネ】
引用元:Wikipedia
リストの身長や手の大きさは?
イケメンで知られるリストは身長も高く、185cmほどだったと言われています。
さらに「指が6本あるのでは?」と噂されるほど、手の大きさにも恵まれました。
そのため、リストは1オクターブを遥かに越える13度(1オクターブ+5つ上の音まで)にも届いていました。
確かに、リストのピアノ曲には音の跳躍が多いので、納得のいくエピソードですね。
ちなみに、リストよりも後に登場するラフマニノフも、高身長で手が大きいピアニストとして知られています。
ピアノの魔術師「フランツ・リスト」の生涯に迫る!
ここからは、フランツ・リストが「ピアノの魔術師」と呼ばれるまでのエピソードを交え、彼の生涯に迫っていきます。
出生から少年時代
フランツ・リストが誕生したのは1811年10月22日です。
ハンガリー王国のドボルヤーン(現在のオーストリア・ライディング)で生まれました。
アマチュア音楽家だった父親アーダムと母親アンナの間に生まれたリストは、音楽の才能に恵まれ、10歳頃からカール・ツェルニーに師事します。
練習曲でお馴染みのツェルニーは、実はフランツ・リストの師匠だったのです。
リストの才能に惚れ込んだツェルニーは、無償でレッスンを引き受けピアノ演奏の基礎を教えました。
当時、ピアノ教師としての評価が高かったツェルニーに出会ったことは、リストの技巧的なピアノ演奏の礎となったのでしょう。
さらに、イタリアの作曲家アントニオ・サリエリにも師事し、パリ音楽院の入学を目指しました。
ところが、当時のパリ音楽院では外国人の入学を認めていなかったため叶いませんでした。
それでも勢力的に作曲やピアノ演奏会を行ったリストは、1823年にベートーヴェンと会う機会があり、賞賛されています。
あのベートーヴェン大先生から褒められたことは、リストにとって大きな功績と言えますね。
引用元:Wikipedia
黄金時代
1831年、フランツ・リストを「ピアノの魔術師」にするきっかけとなったヴァイオリニストのニコロ・パガニーニと出会います。
ヴァイオリンの神業を持つパガニーニも、当時「悪魔に魂を売って演奏技術を手に入れた」と噂される演奏家でした。
そして、パガニーニの演奏を目の当たりにしたリストは、ピアノの超絶技巧を駆使した楽曲制作に没頭し『パガニーニ大練習曲』や『超絶技巧練習曲』を残しています。
もともと技巧派ピアニストだったリストは高難度のピアノ曲を数多く残し、いつしか「ピアノの魔術師」と呼ばれるようになりました。
【ニコロ・パガニーニ】
引用元:Wikipedia
この頃のリストは、ショパン・シューマン・ベルリオーズといった作曲家と親交があり、特にショパンとはお互いの才能を認め合う仲だったようです。
「ピアノの魔術師」と「ピアノの詩人」、対照的なリストとショパンの関係性は作曲においても影響力があったのでしょうね。
晩年
ヴァイマール宮廷楽長に就任した1848年以降、これまでのピアニスト活動に終止符を打ち、指揮や作曲に専念したリスト。
しかし、弱小オーケストラの改革がうまくいかず、1858年に辞職しました。
1861年にローマに移住したリストは、『2つの伝説』や『エステ荘の噴水』などのピアノ曲を残しています。
晩年のリストの作品は、後にドビュッシーやラヴェルといった印象派音楽に影響を与えました。
そして、心疾患や慢性気管支炎、白内障など病気を抱えていたリストは、1886年のバイロイト音楽祭でワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を観劇した後に体調が悪化、心筋梗塞のため74歳で亡くなりました。
なぜ女性たちを失神させたのか?リストの恐るべき魅力とは?
イケメンピアニストのリストがリサイタルで演奏すると、多くの女性ファンが失神したというエピソードがあります。
そこまで熱狂させるリストの魅力とは何か?3つのポイントから考察してみましょう。
高身長でイケメン
まず、リストが容姿端麗だったことは有名ですね。
ステージに登場すると、紳士的な振る舞いや美しい横顔、サラッとした長髪に魅了された女性も多かったでしょう。
また、当時のコンサート会場には、現代のアーティストライブのように安全柵や制止するスタッフさんもいなかったようなので、客席が大混乱して失神者が続出した説もあります。
いずれにしても、大好きなアーティストを間近で見たい気持ちは、今も昔も変わらないということですね。
卓越した演奏技術
「ピアノの魔術師」という異名を持つリストは、超人的なピアノ演奏を披露して聴衆を熱狂させました。
すばやい指さばきや華やかな音の跳躍、煌びやかな音色など、当時のお客さんにとっては初めて目の当たりにする光景だったと思います。
ちなみに、リストの演奏が激しかったため、ピアノがすぐに壊れたというエピソードも有名です。
ピアノ製造職人が、リストの演奏に耐えられる強度のピアノを創るために改良を重ねていたと言われています。
そして、大手ピアノメーカーのベーゼンドルファーが、リストの演奏に耐え抜いたことで有名になりました。
人格者の一面もあった
ピアニストとしてアイドル級の人気があったリストですが、実は人格者の一面もあるのです。
リストがパガニーニに出会ってから7年後、ドナウ川が氾濫した際にチャリティコンサートを開催し、ブダペストに多額の義援金を寄付しました。
1家計を支えるために15歳でピアノ教師として働いた経験が、天才と呼ばれながらも人間味のあるピアニストに成長させたと言えますね。
リストの名曲を10選ご紹介!
ここからは、リストのピアノ曲をエピソードや魅力を交えながらご紹介します。
有名な曲から隠れた名曲まで、10曲をピックアップしました。
ラ・カンパネラ
- 【概要・解説】
- 1851年に作曲された『パガニーニ大練習曲』の第3番がラ・カンパネラです。
パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調の第3楽章がモチーフとなっています。
- 【曲の魅力】
- 鐘の音をイメージした高音域の煌びやかな音色、バリエーション風の展開など、聴き応えのあるピアノ曲です。
ピアノを習う人にとっても憧れの1曲と言えますね。
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パガニーニ大練習曲より第6番イ短調『主題と変奏』
- 【概要・解説】
- ラ・カンパネラと同じく1851年に作曲。
パガニーニ『24のカプリス』の第24番が原曲になっていて、主題に続く11の変奏曲による作品です。
ブラームスやラフマニノフなどの作曲家も、この主題をモチーフにした作品を残しています。
- 【曲の魅力】
- 原曲のパガニーニ『カプリス』もかなり高難度のヴァイオリンテクニックが必要な楽曲です。
リストは、この曲を超絶技巧を駆使したピアノ曲として完成させました。
スリリングな展開や華やかな技巧で、視覚的にも魅力がある作品と言えます。
超絶技巧練習曲より第8番ハ短調『荒野の狩り』
- 【概要・解説】
- 1851年に2度の改訂を経て完成した『超絶技巧練習曲』第8番。
パガニーニ大練習曲にも『狩り』という曲がありますが、対照的な曲調で荒々しさが特徴です。
- 【曲の魅力】
- 分散オクターブと付点リズムが特徴的な第1主題と長調で展開する第2主題が、変奏と転調を繰り返しながらクライマックスに向かいます。
技巧的でありながら時おり現れる、穏やかなメロディが魅力的です。
3つの演奏会用練習曲より『ため息』
- 【概要・解説】
- 1848年に完成した『3つの演奏会用練習曲』の第3番。
第1番『悲しみ』第2番『軽やかさ』の中で最も人気のある楽曲です。
リストならではの3段譜が、部分的に使われています。
- 【曲の魅力】
- 冒頭のアルペジオの伴奏にのせて現れる穏やかなメロディとドラマチックに展開する中間部など、演奏会でも聴き映えする作品と言えます。
演奏面では、アルペジオの中から響くメロディラインを美しく奏でるテクニックが求められる曲です。
スペイン狂詩曲
- 【概要・解説】
- 1863年に作曲。
スペインの民謡を基に作られた作品と伝えられています。
代表作『ハンガリー狂詩曲』と似た構成で、フォリアやフリシュカという舞曲をモチーフにした部分が印象的です。
- 【曲の魅力】
- 前半は、華やかなカデンツァ風で始まり、短調による変奏曲形式です。
軽やかさと伸びやかさが相対する中間部を経て、後半の熱狂的な展開のままクライマックスに向かいます。
ハンガリー狂詩曲より第12番嬰ハ短調
- 【概要・解説】
- 1846年に作曲。
全19曲ある『ハンガリー狂詩曲』の第12番は、コンサートでも演奏される機会が多い人気曲です。
ハンガリー音楽や民族舞曲をモチーフにした、リストの代表作品と言えます。
- 【曲の魅力】
- 導入部の力強い前打音つきのオクターブと即興的なパッセージが印象的な楽曲。
また、後半からクライマックスに向かうドラマチックな展開も魅力的で聴き映えする作品です。
3つの夜想曲より『愛の夢』
- 【概要・解説】
- 1850年に作曲。
歌曲として作られた作品でしたが、リスト自身がピアノ曲に編曲しました。
第1・第2番と比べても圧倒的な知名度を誇る『愛の夢』ですが、実は恋愛ではなく人間愛を歌った作品です。
- 【曲の魅力】
- 穏やかで歌えるようなメロディは、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
歌曲バージョンにはない旋律の掛け合いが印象的で、心情を表現できる要素が強いです。
リゴレット・パラフレーズ
- 【概要・解説】
- 1859年に作曲。
ヴェルディのオペラ『リゴレット』の音楽をリストがピアノ曲に編曲した作品です。
ピアニスト活動を退いた後、リストが弟子のために書いた曲という説もあります。
- 【曲の魅力】
- 『リゴレット』の第3幕に登場する四重唱がモチーフになっている曲で、即興的なパッセージや音色の使い分けなど、ピアノ曲でありながらストーリー性の強い作品と言えます。
ピアノソナタロ短調
- 【概要・解説】
- 1852年に作曲されたリスト唯一のピアノソナタ。
これまでの複数楽章構成のソナタではなく、単一楽章で書かれた作品です。
ソナタ形式による構成もありつつ、主題の変容技法なども使われた難解なソナタと言えます。
- 【曲の魅力】
- ヴァイマール宮廷楽長を務めていた頃のリストが、技巧だけにとらわれない新たな試みとして作曲したソナタ。
奥深さや無になる瞬間など、若い頃とは違う魅力がある曲で、作曲家として充実した時期だったことが伝わります。
半音階的大ギャロップ
- 【概要・解説】
- 1838年に作曲されたピアノ曲。
演奏時間およそ3分半の小品ですが、完成度の高い楽曲と言えます。
半音階の上行やダイナミックな跳躍など、リストらしい作風の楽曲です。
- 【曲の魅力】
- リストらしい技巧的な曲でありながら軽快で踊りたくなる曲調が魅力的です。
リスト自身もリサイタルのアンコール用の曲として好んで演奏していました。
【番外編】リストのエピソード集!
「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストには、知られざるエピソードが多く残っています。
その中でも驚きのエピソードを、3つご紹介しますね。
弟子に無償でレッスン
人格者でもあったリストは、自分のコンサートでの演奏以外で報酬を得ることを拒んでいました。
そのため、弟子には無償でピアノを教えていたと伝えられています。
また、リストの弟子と偽った人物を自宅に招いてピアノを弾かせ、アドバイスをした後に「君もリストの弟子だ」と告げたエピソードも残っています。
超絶技巧を弾きこなすリストでしたが、指導となるとテクニック的な内容よりも生徒の個性を重視したレッスンを行っていました。
ピアニストとしてアイドル級の人気だったリストは、生徒の個性を伸ばす優れた指導者でもあったのですね。
コンサートグッズを売っていた!?
現代では恒例となっているアーティストのコンサートグッズ販売は、リストが初めて行ったという説があります。
例えば、自分の顔が印刷されたチョコレートやボタンなど、実用的なグッズが多かったようですね。
さすがに、団扇やペンライトはなかったと思いますが。
。
グッズの価格帯は不明ですが、お客さんを演奏以外で楽しませるリストは、サービス精神旺盛なピアニストだったことが分かります。
3段や1段で楽譜を書いた
引用元:Wikipedia
パガニーニのヴァイオリン演奏に衝撃を受けたリストは、超絶技巧を駆使したピアノ曲をたくさん残しています。
通常、ピアノソロ曲の楽譜は2段で書かれていますが、リストの練習曲には3段譜または1段譜になっている作品もあります。
代表的なのは、3つの演奏会用練習曲第3番『ため息』や超絶技巧練習曲第4番『マゼッパ』の3段譜と、パガニーニ大練習曲『アルペジオ』です。
『ため息』はアルペジオの伴奏部分とメロディが見やすくなるように、一方『マゼッパ』は音が多く、複雑になってしまったから3段譜で書かれています。
(諸説あり)
そのため、演奏にはペダルのタイミングや手の交差など、高度なテクニックが必要です。
一方、1段譜の『アルペジオ』は、パガニーニの『24のカプリス』の影響が強く、まるでヴァイオリンのような譜面になっています。
まとめ
イケメンピアニストだったリストには、熱狂的なファンが多かったことは有名なエピソードですが、弟子に慕われた良き指導者でもありました。
恋愛においては喜ばしい結末とは言えませんが、音楽家として充実した人生だったと思います。
フランツ・リストの生涯を知った上で名曲を聞くと、より作品の奥深さが感じられるのではないでしょうか。
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