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「ピアノ 10度」弾き方!届かない時の対処法は?

Written by
2023.10.16
うらやまはるく
【執筆・監修】うらやまはるく

7歳からピアノ。13歳から打楽器。他にもテナーサックスや沖縄三線、合唱に挑戦し幅広く取り組む。現在は飲食店での接客調理、WEBライターや打楽器指導を行っている。 尚美ミュージックカレッジ専門学校打楽器専攻卒業。大阪芸術大学通信教育部音楽学科卒業。中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)取得。

「弾きたい曲があるのに、手が小さくて弾けない」
「オクターブが届かないときは、あきらめるしかない?」

手が小さい人のなかには、弾きたい曲があるのに手が届かなくて悩んでいる人が多いのではないでしょうか。

ここではピアノ教室に通った経験のある筆者が手の小さい人の視点に立って、ピアノ10度の弾き方や対処法を紹介しています。

この記事を読むと、手が小さくて届かないときの対処法がわかり、手が小さくても弾きたい曲が弾けるようになるでしょう。

音程と度数

音程と度数

「音程」という言葉はピアノを弾くときはもちろん、合唱や管楽器など音楽をやっているとよく耳にする言葉です。
しかし「音程」の意味を聞かれると、答えられる人は少ないでしょう。
「度数」に関しては言葉自体知らない人が多いと思います。
「音程と度数」では、以下3つを解説しています。

  • 音程とは
  • 度数の数え方
  • ピアノの度数と距離

音程と度数を理解すると、音楽理論の知識が身につき、より音楽に詳しくなるでしょう。

音程とは

音程とは、2つの音の間隔のことです。
音楽の世界には「ドレミファソラシド」があり、ドの音がレに変わったり、ファの音がラに変わったりすると音程が変わったといいます。
しかし、レからレやラからラのように同じ音を連続して弾いた場合には音程が変わらなかったといいます。
また、カラオケなどでは「音程を外す」という言葉をよく耳にすると思いますが、音から音へ移動するときに正しい音のまま歌えていない状態です。

度数の数え方

度数とは、音程を表す単位です。
度数は基準となる音から数えて、どのくらい音が離れているかを「1度、2度、3度…」と表します。例を以下に3つ挙げます。

  • ドからドは1度の距離
  • ドからレは2度の距離
  • ファからシは4度の距離

また、♯や♭がついても度数は変わりません。例を以下に3つ挙げます。

  • ドからド♯は1度の距離
  • ドからレ♭は2度の距離
  • ファ♯からシ♭は4度の距離

♯や♭がついても関係なく基準音から数えます。

度数の注意点

度数を数えるときは、基準音から数えましょう。
度数を数えるとき、基準音の次の音から数えてしまう間違いが多いです。以下に例題を挙げます。

例題:ドからミの度数を答えよ
答え:3度 解説:ドを1と考え「ド、レ、ミ」「1、2、3」と数えると3度という答えが出ます。
レから数えて2度と答えないように注意が必要です。

度数を数えるときには必ず基準音から数えましょう。

ピアノの度数と距離

度数は音程を表す単位ですが「10度、11度」と聞いてもどのくらいの距離があるのかイメージしにくいと思います。
ここでは、ピアノの各度数の距離と計算方法を解説しています。
ピアノの1オクターブは約16.5cmなので、計算式は以下のとおりです。

  16.5cm×(度数÷7)≒距離  

9度から13度がどのくらいの距離なのかは以下の表にまとめています。

度数 9度 10度 11度 12度 13度
距離 約21.21cm 約23.57cm 約25.92cm 約28.28cm 約30.62cm

ピアノの度数と距離がわかると、オクターブ以上がどのくらいの距離なのかがわかるでしょう。

ピアノ10度の弾き方は?

10度の弾き方

ショパンやラフマニノフの曲で10度が出てきた際に、何を心がけたら弾けるようになるか知りたい人が多いと思います。
ここでは、10度を弾くための準備体操と弾くときに意識することを以下に解説します。

10度の弾き方を知ると、無理のない弾き方を理解し、指や手を痛めずに弾けるでしょう。

指のストレッチをする

10度を弾く前には、指のストレッチをするのがおすすめです。
準備体操なのはもちろん、手が小さい人は指を大きく広げ、10度が弾けるようになるトレーニングになります。
ピアノを弾く前に、以下2つのストレッチ方法をやってみましょう。

指の間の水かき部分や第3関節を揉みほぐす

ストレッチ方法として、指の間の水かき部分や第3関節を逆の手で揉みほぐすのがおすすめです。
しかし力強く押し込むように揉むと、痛める可能性があるので注意が必要です。

鍵盤のヘリに親指を置き、人差し指を伸ばせるところまで伸ばす

ストレッチ方法として、鍵盤上で5つの指の間を1つ1つ順番に伸ばしていく方法もあります。
手を脱力し、無理に伸ばしすぎず、ゆっくり行うようにしましょう。

手や腕を脱力する

10度の弾き方では、手や腕を脱力させるのが大切です。
多くの人は10度を弾くときに「手を開かなきゃ」「指が届かないからもっと頑張らないと!」という意識が強すぎて、余計な力が入りがちです。
余計な力が入ると指が届かなかったり、指や手を痛める原因になったりします。
筆者は息を吸いながら肩を思いっきり上に持ち上げて、息を吐くのと同時に肩をストンと落とし、脱力の感覚を保ちながら鍵盤に手をのせる脱力方法を行っています。
10度を弾く以外にも普段ピアノを弾く上で脱力は重要なので、訓練していきましょう。

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ピアニストと手の大きさ

ピアニストと手の大きさ

ピアノを弾いていると気になるのがピアニストの手の大きさです。
ピアニストは手を広げれば、簡単にピアノの10度に届くのでしょうか。
また、手が小さくても活躍しているピアニストがいるのか知りたい人も多いと思います。
ここでは、ピアニストの手の特徴や大きさに着目し、以下3つにまとめています。

  1. ピアニストの手の特徴
  2. 手が大きいといわれた音楽家
  3. 手が小さいといわれた音楽家

ピアニストの手の特徴や大きさがわかると、手が小さくても練習を重ねればピアニストとして活躍できると希望が持てるようになるでしょう。

ピアニストの手の特徴

ピアニストにとって最も大切なのは手です。
ピアニストは指を1本1本滑らかに動かし、手をコントロールして演奏をします。
演奏を聴くと指が細くて華奢な手をイメージする人が多いと思いますが、実際には筋肉がつき、たくましい手です。
ここでは、ピアニストの手の特徴を3つ解説します。

  • 親指の爪が上向き
  • 小指の筋力が発達している
  • 手の甲の筋力が発達している

ピアニストの手の特徴を理解し、練習を積み重ねてピアニストの手を目指しましょう。

親指の爪が上向き

ピアニストの手は、親指の爪が上向きです。
ピアノ未経験者や初心者が手を広げると、親指の爪は他の指の爪のように上向きではありません。
しかしピアニストは演奏をする際に親指の腹で鍵盤を弾くため、親指の爪が上向きになります。
筆者はピアノを弾いているうちに親指の爪が上向きになり、鍵盤をしっかり弾けるようになった経験があります。
今現在親指の爪が横向きの人もピアノを弾いているうちに筋肉が鍛えられ、徐々に親指の爪が上向きになるでしょう。

小指の筋力が発達している

ピアニストの小指は筋力が発達しています。
一般的に小指は他の指に比べて力が弱く、しっかり力が入らない人が多いと思います。
筆者もピアノを弾き始めた当初は小指の力が弱く、小指で弾いた音だけ違和感がありました。
しかし、小指で遠くの鍵盤を弾いたり、他の指とともに和音で力強く弾いたりしているうちに小指は鍛えられた経験があります。
小指の筋力が発達すると、コントロールがしやすくなるので、ピアニストのように滑らかに弾けるようになるでしょう。

手の甲の筋力が発達している

ピアニストには、手の甲の筋力が発達している人が多いです。
ピアノを弾くときは薬指や小指を独立して力強く鍵盤を弾いたり、手の甲で腕の重さを支えたりするので、手の甲の筋力が鍛えられます。
手の甲の筋力が発達していると、オクターブや10度も力強く弾けるでしょう。

手が大きいといわれた音楽家

ピアノ曲は難易度が上がると、10度以上を弾く曲が出てきます。
10度というとドから1オクターブ上のミですが、10度以上が出てくる曲を作曲した人の手はどのくらいの大きさなのでしょうか。
ここでは手が大きいといわれた音楽家、リストとラフマニノフについて解説します。

リスト

リストは「ピアノの魔術師」といわれるほど超絶技巧の曲が多い作曲家として有名です。
リストは、13度の距離がある音が弾けていたといわれています。
13度だと、ドから1オクターブ上のラまで届くサイズです。
13度の長さは約30.6cmなので、30cm定規を端から端まで持てると考えれば、手がとても大きかったことがわかるでしょう。

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ラフマニノフ

ラフマニノフはロシア革命をきっかけにアメリカやヨーロッパでも活躍した作曲家です。
ラフマニノフは手が大きく、13度の距離がある音を弾けたといわれています。
また、指先が細くタコの足のようにしなやかにピアノを弾いていたそうです。
ラフマニノフの曲に手を大きく広げる曲が多いのは、ラフマニノフの手を基準として作曲された故でしょう。

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手が小さいといわれた音楽家

ピアニストのなかには、国内外問わず手が小さくても活躍したピアニストがいます。
ここでは、ショパンと日本人ピアニスト中村紘子氏について解説します。

ショパン

ショパンは諸説ありますが、9度までしか届かない手の小さいピアニストとして有名です。
ショパンの曲には10度以上が出てくるので、意外に思った人が多いと思います。
しかし、ショパンの手は柔軟性があり、各指の間がよく伸びたため弾けたといわれています。
多くの人は手の大きさで弾けるか判断してしまいがちですが、手全体や指の柔軟性も重要なのがわかるでしょう。

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中村紘子

中村紘子氏とは、1965年ショパン国際ピアノコンクールで入賞したピアニストです。
中村紘子氏は世界で活躍したピアニストでありながら、手の大きさは一般の人より小さく、オクターブまでしか届かなかったそうです。
しかし中村紘子氏のピアノ演奏を聴くと手が小さいと思わせない力強い演奏に驚かされます。
手が小さい人は手が小さくてもピアニストになれるという希望につながるので、一度音源を聴いてみましょう。

オクターブが届かない!その対処法は?

対処法

手が小さいからストレッチをしたり、脱力を意識したりなど工夫をしてみたものの、オクターブやピアノの10度に届かなくてあきらめかけている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、オクターブやピアノの10度が届かなくても弾ける対処法は以下の3つです。

  • 反対の手で補う
  • アルペジオで弾く
  • 音を省く

オクターブやピアノの10度が届かない場合の対処法を知ると、自分の手の大きさに合った弾き方を見つけ、曲をあきらめずに弾けるようになるでしょう。

反対の手で補う

オクターブやピアノの10度が届かない場合には、反対の手で音を補う方法があります。
ピアノは右手と左手どちらで弾くかは必ずしも決められておらず、両手が近い距離にあれば使える対処法です。
反対の手で補っても、演奏を聴く上では楽譜通りの演奏なので違和感は残らないでしょう。

アルペジオで弾く

アルペジオとは、和音を同時に鳴らさずに1音ずつ順番に弾いていく奏法で、分散和音の一つです。
例としては、ドミソドミという和音があったら同時に弾くのではなく、「ド→ミ→ソ→ド→ミ」と分散させて弾きます。
ピアニストでもアルペジオで補う人もいるので、対処法として取り入れてみましょう。

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音を省く

オクターブやピアノの10度が届かないときに、音を省く対処法もあります。
音を省くには和声法の知識がないと難しいと思いますが、他の対処法で解決せずやむを得ない場合は和声法に基づき音を省きましょう。

まとめ

まとめ

この記事では、弾きたい曲があるのに手が届かなくて悩んでいる人に向けて、ピアノの10度以上の弾き方や対処法を解説してきました。

ピアノの10度の弾き方
  • 日々指のストレッチを行って柔軟性を高める
  • 手や腕を脱力してから弾く
オクターブやピアノの10度が届かないときの対処法
  • 反対の手で音を補う
  • 和音をアルペジオにして弾く
  • 和声法の知識があれば、音を省く

また、ピアニストの手の大きさや特徴を紹介し、手が小さくても練習を重ねればさまざまな曲が弾けると理解できたと思います。

最初は手が届かなくてもあきらめずに、弾きたい曲に挑戦していきましょう!

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