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ピアノ中級者のレベルはどの程度?どんなクラシック名曲が弾けるようになる?

Written by
2023.11.16
syotata
【執筆・監修】syotata

ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。

ピアノのレベルは、初級・中級・上級の3段階に分けられることが多いですね。

例えば、ピアノのレッスンを始めて1年未満は初級、音大のピアノ科に合格できるレベルならば上級など。

では、「ピアノの中級レベルとはどの程度?」と疑問に感じる方も多いと思います。
実は、中級レベルの場合は基準が幅広く、年齢やピアノ歴の長さでは判断が難しいのです。

そこで今回の記事は、ピアノの中級レベルについて具体的な楽曲や練習曲をご紹介しながら詳しく解説いたします。

中級レベルとはこのこと!

中級レベル

ピアノ演奏力のレベルを判断するには、ヤマハが実施しているピアノグレードテスト(音楽能力検定)ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)主催のピアノステップなどを参考にすると分かりやすいです。

ヤマハピアノグレード

ヤマハ音楽振興会が実施しているピアノ演奏グレードテストは、初心者向けの13級〜11級・ピアノ学習者対象の10級〜6級・指導者レベルの5級〜2級に分かれています。

その中で中級レベルに相当するのは、7級〜6級(目安)です。課題曲例をまとめていますので、参考にしてみてください。

7級 6級
  • シューマン【楽しき農夫】
  • ベートーヴェン【ソナチネト長調】
  • ショパン【プレリュードホ短調】
  • ギロック【森のざわめき】
  • バルトーク【変奏曲】
  • チャイコフスキー【ワルツ】
  • カバレフスキー【トッカティーナ】
  • エルメンライヒ【紡ぎ歌】
  • バッハ【プレリュードニ短調】
  • ベートーヴェン【エリーゼのために】
  • ショパン【ノクターン嬰ハ短調】
  • ドビュッシー【小さな羊飼い】
  • メンデルスゾーン【紡ぎ歌】
  • ショスタコーヴィチ【叙情的ワルツ】
  • バルトーク【棒踊り】
  • スクリャービン【プレリュードOp.27-2】

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ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)

ピティナが主催する国内最大規模のコンクール「ピティナ・ピアノコンペティション」や「ピアノステップ」では、レベル別の課題曲が指定されています。

特に、レベルが23段階に細かく分けられている「ピアノステップ」は、ピアノ学習者が実力に応じてチャレンジできるのでおすすめです。23段階の内訳は以下の通り。

  1. 導入:1〜3
  2. 基礎:1〜5
  3. 応用:1〜7
  4. 発展:1〜5
  5. 展開:1〜3

23段階の中で「応用3〜7」が、中級レベルの目安と言えます。
課題曲例は、以下を参考にしてみてください。

レベル 課題曲例
応用3
  • バッハ【2声のインヴェンション】
  • ブルグミュラー【18の練習曲集】
  • ツェルニー【30番練習曲の前半】
応用4
  • クレメンティ【ソナチネOp.36-1】
  • ギロック【クラシックカーニバル】
  • ハチャトゥリアン【エチュード】
応用5
  • クーラウ【ソナチネOp.20-1】
  • G.ホルスト【ジュピター】
  • 湯山昭【組曲・お菓子の世界】
応用6
  • ハイドン【ピアノソナタト長調】
  • ベートーヴェン【ソナタOp.49-2】
  • ショパン【マズルカ第5番】
応用7
  • ツェルニー【40番練習曲前半】
  • スカルラッティ【ソナタニ短調】
  • バッハ【フランス組曲第5番ト長調】

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ピアノ中級者が弾ける名曲20選

中級レベル 名曲

ここからは、ピアノ中級者におすすめの名曲を、クラシック10曲とポップス10曲ご紹介します。

クラシック10選

まずは、クラシック曲を10曲ピックアップしました。
全音ピアノピースで中級に分類されている曲やピアノ経験者がおすすめする楽曲をご紹介しますね。

バッハ〜イタリア協奏曲〜

音楽の父と称されるバッハが、チェンバロ独奏曲として作曲しました。
当時は、ピアノではなくチェンバロが使われていたため、複雑なペダリングはありません。
軽快で親しみやすいメロディで、ピアノ中級者にぴったりの楽曲と言えます。

ハイドン〜ピアノソナタニ長調Hob.XVI-37〜

全音楽譜出版社のソナタアルバム第1巻に掲載されている楽曲です。
装飾音符やスケールなどテクニカルな一面はあるものの、躍動感があり弾いてみると楽しくなるおすすめの1曲。

ベートーヴェン〜ロンドOp.51-1〜

ベートーヴェンが作曲した2曲のロンドから第1番ハ長調は、ソナチネアルバム第1巻に掲載され、ソナタに入る前段階の課題として最適です。
初級に分類されることもありますが、テクニック的にはピアノ中級レベルと言ってもよいでしょう。

グリーグ〜ホルベルク組曲より「前奏曲」Op.40-1〜

北欧の作曲家・グリーグの作品で、5つの曲からなる組曲です。
第1曲「前奏曲」は、16分音符とメロディラインをきれいに弾き分けるテクニックが必要で、ピアノ中級者にぴったり。

ウェーバー〜ピアノソナタ第1番Op.24ハ長調より第4楽章〜

ドイツ出身の作曲家・ウェーバーは、古典派後期からロマン派時代に活躍した音楽家です。
ピアノソナタ第1番の第4楽章は「無窮動」という表題があり、発表会でも演奏されるおすすめの1曲。
テンポが速く、指の瞬発力を上手に使って弾くことが求められます。

シューマン〜ノヴェレッテン第1番Op.21ヘ長調〜

ロマン派を代表する作曲家の一人・シューマンの人気曲です。
全8曲の中の第1番ヘ長調は、行進曲風のフレーズと優しい旋律の対比が魅力的。
転調を繰り返すので、譜読みの基本もマスターした上で取り組むと良いですね。

ショパン〜タランテラ変イ長調Op.43〜

ピアノの詩人・ショパンが、イタリア地方発祥の舞曲である「タランテラ」をモチーフにして描いた作品です。
8分の6拍子の独特のリズムで構成される曲ですが、ピアノ中級者であれば弾きやすい楽曲と言えます。

ドビュッシー〜子供の領分より「グラドゥスアドパルナッスム博士」〜

フランスの作曲家・ドビュッシーが残した「子供の領分」は、6つの小品からなる組曲です。
その第1曲が「グラドゥスアドパルナッスム博士」。
躍動感のある曲調で、発表会でも聴き映えする人気曲となっています。

ブラームス〜ラプソディ第2番ト短調Op.79-2〜

ロマン派のピアノ曲の中でも有名なブラームスのラプソディ。
第2番ト短調は、第1番よりも弾きやすくピアノ中級者におすすめしたい1曲です。
オクターブ奏法や多声部の弾き分けなど、上級にステップアップするための楽曲とも言えるでしょう。

ハチャトゥリアン〜ソナチネ〜

バレエ音楽や演劇曲などを多く残しているハチャトゥリアンが、ピアノ独奏曲として作曲したソナチネ。
初級から中級レベルの楽曲で、発表会やコンクールの課題曲にも採用されています。

ポップス10選

ここからは、ピアノ中級レベルにアレンジされているポップスを10曲ご紹介しますね。

久石譲〜Summer〜

誰もが一度は聞いたことがある有名な作品ですね。
中級レベルのピアノアレンジでは、レガートやスタッカートといった弾き分けやペダリングがポイント。
さらに、音域が広く跳躍するピアノテクニックが必要な楽曲です。

菅田将暉〜虹〜

全体的にゆったりとした曲調で、中級レベルでありながら弾きやすい楽曲と言えます。
左右の音量バランスやなめらかに弾くための上手なペダリングがポイントです。

あいみょん〜愛の歌〜

NHK連続テレビ小説の主題歌に起用された、聞き馴染みのある楽曲ですね。
フレーズが途切れないように、伸ばす音にも気を配って演奏すると良いです。
さらに、8分の6拍子の特徴を理解した上で、テンポを崩さないことが大切。

Ad〜向日葵〜

黒鍵をたくさん使う楽曲ですが、譜読みがクリアできれば弾きやすい曲と言えます。
ワンフレーズを歌うように弾くことやメリハリをつけて演奏するとかっこいいです。

藤井風〜ガーデン〜

臨時記号や転調など、譜読みの基本が問われる楽曲。
和音のアルペジオ奏法や複雑なリズムを弾きこなすテクニックも必要です。
また、同じメロディでもコードが変わるパターンにも対応できると良いですね。

坂本龍一〜戦場のメリークリスマス〜

とても有名な楽曲で、さまざまなレベルのピアノアレンジ楽譜が存在します。
中級レベルの楽譜では、♭(フラット)が5つになっているので、譜読みの基本的なスキルが問われます。

YOASOBI〜勇者〜

歯切れのよいスタッカートやリズムの取り方が難しい楽曲です。
細かい休符も多く、左右ぴったり合わせて弾けるテクニックも必要。
中級レベルの中でも難易度は高めです。

ジャンボリミッキー

リズミカルでアップテンポな楽曲です。
途中から転調が続き、臨時記号も多くなるので、譜読みの基礎が理解できる中級レベルの曲と言えます。

back number〜クリスマスソング〜

バラード調の楽曲ですが、音が多くリズムを崩さずに弾くことが求められます。
さらに、同音連打やアルペジオなどのテクニックも中級レベルと言えます。

中島みゆき〜糸〜

高音域のアルペジオで始まるゆったりとした雰囲気の楽曲ですね。
ピアノアレンジ楽譜は、譜読みがしやすくテクニック的にも弾きやすくなっています。
原曲のイメージを壊さないように丁寧に弾くことが大切です。

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初級から中級レベルになるには?

初級から中級レベル

ピアノの初級レベルから中級にステップアップするためには、基本的なピアノのテクニックを身につけ、音楽用語や音楽記号の意味を覚える必要があります。

また、ピアノの習得度には個人差があるため、ピアノの経験年数で判断することは難しいです。

初級と中級の違い

ここでは、初級と中級の違いやおすすめの練習曲集についてまとめています。

初級 中級
  • 初見の曲は片手ずつ
  • 音楽用語や音楽記号の意味を
    調べながら譜読みをする
  • 指定のテンポで弾けるまで時間がかかる
  • 左右の音のバランスが聞き取れない
  • 簡単な曲であれば初見でも両手で弾ける
  • 基礎的な音楽用語の意味を理解している
  • 標準的な速さで弾ける
  • メロディと伴奏の音量バランスが
    コントロールできる
【おすすめ練習曲】
  1. ブルグミュラー25の練習曲
  2. リトルピシュナ48の練習曲集
  3. ヘラー25のやさしい練習曲
【おすすめ練習曲】
  1. ブルグミュラー18の練習曲
  2. ツェルニー30番〜40番練習曲
  3. モシュコフスキー20の小練習曲

ピアノ中級の壁

ピアノのレベル分けにおいて最も判断が難しい中級。
さらに、中級から上級レベルに到達するまで時間がかかるケースも多いことから「ピアノ中級の壁」と言われています。

例えば、中級に分類されているクラシック曲が上手に弾けても、上級レベルのピアノ曲に進めないパターンも多いのです。

中級から上級レベルになるには?

中級から上級レベルになるには

ピアノ中級の壁を乗り越えて上級レベルに到達するには、レッスンで習う練習曲の完成度を高めることが重要です。
とはいえ、中級から上級へのステップアップは簡単ではありません。

ピアノ経験者の私も、ツェルニー50番練習曲からショパンのエチュードに移行した際、完成度の高い演奏にならず悩みました。

しかし、自分の実力に合った上級レベルの楽曲を見つけることで、自信がついていくケースもあります!

ピアノ上級者に必要なスキルとは?

ピアノ中級から上級になるための主なポイントは、3つあります。

  • 複雑な楽譜も正確に読める
  • 高度なピアノ演奏テクニックを習得
  • アンサンブルやピアノ伴奏などにも対応

複雑な楽譜も正確に読める

上級レベルのピアノ曲は、楽譜を読むだけでも一苦労。
音が多く、見慣れない音楽用語や複雑なリズムなども譜読みの段階で理解できると上級者と言えます。

さらに、楽譜から作曲家の意図を感じ取り、音楽表現に活かせるとより感動的な演奏につながるので、譜読みのテクニックが優れていることも大切です。

高度なピアノ演奏テクニックを習得

スケールやアルペジオといったピアノ演奏の基礎をマスターし、さらにトレモロや同音連打、オクターブ奏法など高度なテクニックも習得するとレパートリーの幅が広がります。

どのようなスタイルのピアノ曲も、ミスが少なく完成度が高い演奏に仕上げられれば上級者と言えるでしょう。

初見や即興演奏のレベルも高い

ピアノ演奏テクニックだけではなく、高度な初見視奏や即興演奏に対応できるのも上級者ならでは。
例えば、ヤマハのピアノ演奏グレードテスト5級〜2級に出題される課題がクリアできると上級者と言えます。

最後に、上級レベルのピアノテクニックを習得するために必要な練習曲をご紹介しますね。

ツェルニー50番/60番 王道の練習曲で、特に楽曲としても美しい
50番練習曲は必須です。
モシュコフスキー15の練習曲 テクニックに加えて音楽的にも優れた練習曲が
多いので、ショパンのエチュード導入前の
課題としておすすめします。
モシェレス24の練習曲 高度なピアノテクニックの習得を
目的とした練習曲集です。
ショパン練習曲Op.10/Op.25 ショパンの練習曲は、エチュードの域を越えた
名曲が多いです。弾きやすいOp.25-2やOp.10-9から
始めると良いでしょう。

まとめ

中級レベル まとめ

今回は、ピアノの中級レベルについて解説してきました。
ピアノのレベルは偏差値のような判断基準がないため、明確に示すことは難しいです。

しかし、レッスンで使用する練習曲やピアノ曲の難易度を参考にすると、自分がどのくらいのレベルなのかは予想できます。
目標を立ててコツコツと練習を続け、ピアノ中級から上級にステップアップしていきましょう。

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