ピアノ歴35年。エレクトーン歴1年半。大手音楽教室にて年中から中3までピアノを習う。子どもがエレクトーンを習い始めたのをきっかけに、自身もエレクトーンに挑戦し、月2レッスンを受けている。音色の美しさが魅力のピアノと、全身を使って華麗な演奏ができるエレクトーン、それぞれの楽器の長所を生かした演奏を楽しんでいる。
目次
- 【徹底解説】クラシック名曲15選
- パッヘルベル(ドイツ、1653~1706年)
- パッヘルベルのカノン
- モーツァルト(オーストリア、1756~1791年)
- トルコ行進曲
- ベートーヴェン(ドイツ、1770~1827年)
- エリーゼのために
- ソナタ悲愴
- メンデルスゾーン(ドイツ、1809~1847年)
- 春の歌
- ショパン(ポーランド、1810~1849年)
- 幻想即興曲
- 別れの曲
- 夜想曲(Op.9-2)
- 革命のエチュード
- リスト(ハンガリー、1811~1886年)
- ラ・カンパネラ
- 愛の夢 第3番
- ブラームス(ドイツ、1833~1897年)
- ハンガリー舞曲第5番
- テクラ・バダジェフスカ(ポーランド、1834~1861年)
- 乙女の祈り
- ドボルザーク(チェコ、1841~1904年)
- ユーモレスク
- ドビュッシー(フランス、1862~1918年)
- 月の光
- まとめ
2021年10月にポーランドのワルシャワで開催されたショパン国際コンクールで、ピアニストの反田恭平さんが2位に入賞しました。 このニュースはメディアにも大きく取り上げられ、ピアノのクラシック曲にも注目が集まっています。
今回、ピアノ歴35年の著者が、ピアノクラシックの名曲を15曲紹介します。 テレビCMや式典のBGMなどで使われる聞き覚えのある曲や、今までクラシックになじみがなかった方でも聞きやすい曲をセレクトしています。
ぜひ、お気に入りのピアノクラシック曲を見つけてみてください。難易度も記載しているので、ピアノ経験者の方は挑戦してみて下さい。
【徹底解説】クラシック名曲15選
時代順に、作曲家の歩んできた人生や時代背景をまとめ、次にその作曲家の代表曲を紹介します。 ピアノクラシック曲といえばこの人!という作曲家や、様々なシーンで聞きたいクラシックの名曲を選びました。
曲名と難易度は、全音ピアノピースを参考にしています。 ※難易度表記は簡単なものからA,B,C,D,E,Fで、Fが1番難しいものとなっています。
- パッヘルベル:パッヘルベルのカノン
- モーツァルト:トルコ行進曲
- ベートーヴェン:エリーゼのために、ソナタ悲愴
- メンデルスゾーン:春の歌
- ショパン:幻想即興曲、別れの曲、夜想曲(Op.9-2)、革命のエチュード
- リスト:ラ・カンパネラ、愛の夢
- ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
- テクラ・バダジェフスカ:乙女の祈り
- ドボルザーク:ユーモレスク
- ドビュッシー:月の光
パッヘルベル(ドイツ、1653~1706年)
モーツァルトより100年早い時代を生きたパッヘルベル。 幼少期は音楽以外に学業にも秀で、ヨーロッパの中等教育機関であるギムナジウムを優秀な成績で卒業しました。 その後は教会のオルガニストとして活躍しながら讃美歌であるコーラルやフーガを作曲し、バロック音楽の発展に貢献しました。
パッヘルベルのカノン
難易度:C(Fが1番難しいもの)
式典のBGMとしてもよく使われる名曲です。 カノンとは「かえるのうた」のように、1つのメロディを時間差で追っかけっこして演奏する演奏方式のことをいいます。 この曲の本当の名前は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」といい、前半部分のカノン形式の部分がパッヘルベルのカノンとして知られています。 作曲時期や作曲された経緯はよくわかっていません。
モーツァルト(オーストリア、1756~1791年)
幼少期から演奏と作曲の才能があり、神童と呼ばれていました。 幼いころは家族で演奏旅行をしながらヨーロッパ各地を回っていました。 成人すると、宮廷音楽家として働きますが、2年で職を辞し、フリーの音楽家として作曲や演奏をして生計を立てます。 オペラや交響曲まで幅広いジャンルの曲を作り、35歳で亡くなるまでに作曲した曲数は600〜700曲と言われていますが、楽譜が残っていないものもあり正確な数はわかりません。
トルコ行進曲
難易度:B(Fが1番難しいもの)
この曲が作られた1783年は、ヨーロッパの十字軍が今のトルコの前身であるオスマン帝国に勝利してから100周年という記念の年で、ウィーンではトルコブームが巻き起こっていました。 そんな中、モーツァルトはトルコ軍楽隊テフメルからアイデアを得た「トルコ風」の曲を作曲しました。 特に、左手のリズムは打楽器の音を模しているといわれています。
オススメ記事
ピアノ人気曲|「月の光」が作曲された背景は?ドビュッシーってどんな人だったの?
ピアノの魅力とドビュッシーの神秘的な作品「月の光」を深堀り。作曲背景、演奏のコツ、名演奏家の解釈まで、ピアノ愛好家必見の内容です。
ベートーヴェン(ドイツ、1770~1827年)
祖父・父とも宮廷音楽家という家に生まれたベートーヴェンは、父から音楽の教育を受けました。 22歳でウィーンへ移り住むと、交響曲の父と呼ばれるハイドンに弟子入りし、ピアノの演奏家、作曲家として活躍しました。 しかし、次第に耳が聞こえにくくなり、28歳のころには難聴になり死をも考えました。 演奏家としての道は絶たれましたが、作曲家として生きていくことになりました。 交響曲、ピアノ曲、ピアノ協奏曲など様々なジャンルで名曲を作り、56歳で亡くなりました。
エリーゼのために
難易度:B(Fが1番難しいもの)
ピアノ学習者なら誰もが弾いてみたいと思う曲の1つがエリーゼのためにです。 こんなに素敵な曲を捧げられたエリーゼという人は誰なのか気になるところですが、実はいくつか説があって実際のところはわかっていません。 ベートーヴェンの没後に発見された曲です。
オススメ記事
「エリーゼのために」は演奏時間が短い小品ですが、さまざまな要素が入った音楽的にも美しい曲です。私自身も、ピアノを習い始めた頃この曲に憧れました。今回は、難易度や楽曲解説、練習のコツなどを徹底解説いたします。
ソナタ悲愴
難易度:D(Fが1番難しいもの)
月光、熱情と並び、ベートーヴェンの三大ピアノソナタといわれる名曲です。 ベートーヴェンが自身の曲に標題を付けた曲は、ピアノソナタ32曲のうちでこの悲愴と第26番の告別のみです。 ベートーヴェンが悲愴を作曲した頃は、ちょうど難聴が進行してきた時期であり、ベートーヴェンの苦悩やその後の感情の昇華が伝わってきます。 悲愴は3つの楽章からなり、特にCMや演奏会でなじみがあるのは穏やかな曲調が印象的な第2楽章です。
メンデルスゾーン(ドイツ、1809~1847年)
裕福な家庭に生まれ、容姿端麗、音楽以外に美術や哲学、語学にも秀でていたと言われています。 6歳からピアノを始め、姉とともに音楽を学びました。姉ファニーもピアニスト、作曲家として名を残しています。 メンデルスゾーンは作曲家、演奏家としてだけではなく、指揮者としても活躍し、34歳の時には音楽院も設立しました。 最愛の姉の死から半年後、脳卒中で38歳で亡くなりました。
春の歌
難易度:D(Fが1番難しいもの)
音楽院を設立するころに作曲されたのが春の歌です。 メンデルスゾーンは15年をかけて無言歌集というピアノのための作品集を作りました。 全8巻48曲の中で最も有名な曲がこの春の歌です。 まるで歌のように美しい主旋律とともに、左手で「ポロロロン」とかわいらしい装飾音が入り、春らしい軽やかな雰囲気を作り出しています。
ショパン(ポーランド、1810~1849年)
クラシックのピアノ曲といえば、ショパンを知らない人はいないでしょう。 「ピアノの詩人」として今もなお絶大な人気を誇る作曲家です。 幼いころからピアノの演奏技術に長けていたショパンは、19歳でワルシャワ音楽院を首席で卒業します。 20歳には活躍の場を求めウィーンへ移りますが、この頃政治的に反ポーランドの動きが増しており、演奏会を開催できずパリへ移ります。 その後パリで活躍しますが、もともと病弱で、39歳で結核で亡くなりました。
幻想即興曲
難易度:E(Fが1番難しいもの)
「いつか幻想即興曲を弾きたい」と憧れる人も多い人気の曲です。 しかし、ショパン自身はこの曲を気に入っていなかったようで死後楽譜を廃棄するように友人に頼んでいましたが、友人があまりの曲の素晴らしさに世間に発表しました。 元は即興曲というタイトルが付けられていましたが、友人が「幻想」の部分を付け加えました。
別れの曲
難易度:F(Fが1番難しいもの)
ショパンが22歳の時に、練習曲(エチュード)として書かれた曲です。 別れの曲というタイトルはショパンが付けたものではなく、1934年にショパンの生涯を描いたドイツ映画「別れの曲」で使われていたためその映画のタイトルがそのまま使われるようになりました。
夜想曲(Op.9-2)
難易度:E(Fが1番難しいもの)
ショパンのノクターン(夜想曲)全21曲の中でも最も知名度や人気のある曲です。 ノクターンの中では難易度はそれほど高くなく、弾きやすい曲とされています。1831年に作曲されました。
革命のエチュード
難易度:F(Fが1番難しいもの)
ショパンの祖国ポーランドのワルシャワで、ポーランド独立軍とロシア軍が対立し、ワルシャワが陥落したことを知ったショパンが祖国を想って作曲したと長く伝えられていました。 しかし、革命とは無関係という説が最近では主流となっています。 革命という標題もショパンが付けたものではありません。友人であるリストに献呈された曲です。
リスト(ハンガリー、1811~1886年)
6歳からピアノを始め、すぐに才能が開花。 ピアノの腕は非常に高く、「ピアノの魔術師」として知られています。現代でもリストを超えるピアニストは現れていないといわれています。 若いころは10分を超える超絶技巧の曲が多いですが、晩年になると曲の長さは半分程度になり曲調も落ち着いていきます。 メンデルスゾーンやショパンなど同世代の作曲家が30代後半で亡くなっているのに対し、リストは74歳まで生き、作曲や後進の育成に努めました。
ラ・カンパネラ
難易度:E(Fが1番難しいもの)
フジコ・ヘミングさんの弾く「ラ・カンパネラ」を聞いて、リストという作曲家を知った方も多いことでしょう。 ラ・カンパネラはリストによるオリジナルの作品と思われている方も多いと思いますが、実はメロディはパガニー二のヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章の主題をピアノ用に編曲したものです。 超絶技巧で知られるリストらしく、オクターブや跳躍が多く、テクニックを必要とする曲です。
愛の夢 第3番
難易度:E(Fが1番難しいもの)
愛の夢は元々、リストがソプラノ用の歌曲として作曲した曲ですが、のちにピアノ曲としてリスト本人が編曲し直しました。 3曲からなり特に第3番が有名です。
ブラームス(ドイツ、1833~1897年)
ドイツ出身の音楽家、三大Bのうちの1人がブラームスです。他の2人はバッハとベートーヴェンです。 幼いころから音楽の才能がありましたが貧しい家の生まれで13歳のころから店でピアノを弾いて家計を支えていました。 演奏旅行の途中で師となるシューマンとクララ夫人に出会い、のちにシューマン亡き後もクララ夫人と子供を支えるようになります。 ブラームスは、ベートーヴェンやモーツァルトなど古典派音楽家の影響を強く受けており、古典的なドイツの音楽を大切にしていました。
ハンガリー舞曲第5番
難易度:D(Fが1番難しいもの)
オーケストラで演奏されるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、もとはピアノの連弾用に書かれた曲でした。 ハンガリー舞曲は、チャールダッシュという当時ヨーロッパで流行していたハンガリー音楽に影響を受けたブラームスが既存のチャールダッシュを組み合わせて作曲したものです。
テクラ・バダジェフスカ(ポーランド、1834~1861年)
生誕の年にいくつか説があるように、テクラ・バダジェフスカに関する資料はとても少なく、曖昧な内容のものも多いです。 短い人生ですが、30曲前後のピアノ曲を遺しています。
乙女の祈り
難易度:C(Fが1番難しいもの)
聖母マリアの物語を描いた曲といわれています。乙女の祈りが発表された当時は、若い女性の間でピアノのレッスンが大人気でした。 それほど難しくないけれどかわいらしく華やかな印象のあるこの曲の楽譜は100万部以上も売れ、世界初のミリオンヒット作品といわれています。
ドボルザーク(チェコ、1841~1904年)
交響曲第9番「新世界より」の作曲家として有名です。 両親は彼を家業の跡取りとして育てるつもりでしたが、学校の先生の勧めで音楽の道へ進みました。 連作交響詩「わが祖国」のなかの「モルダウ」の作者として有名なスメタナとの出会いにより民族音楽に触れるようになります。 作曲家になってからは国の支援を得て安定した生活を送るようになりました。 ブラームスがドボルザークを出版社に紹介したことで、ドボルザークの音楽は世界中に知られるようになりました。
ユーモレスク
難易度:B(Fが1番難しいもの)
ドボルザークは、交響曲や管弦楽曲を多く残しており、ユーモレスクがドボルザークの作曲だと知らない方も多いかもしれません。 この曲は、家族とともに夏季休暇を過ごしながら作った「8つのユーモレスク」のうちの7曲目になります。
ドビュッシー(フランス、1862~1918年)
音楽的な才能を持ち、10歳でパリ音楽院に入学しますが、音楽院の教育法にはなじめなかったようです。 22歳でフランスの伝統的な音楽の賞を受賞し、イタリアへの留学も決定しますが、ここでもあまりなじめず2年で帰国し、作った曲の評価は低いものでした。 パリに戻ると、音楽家に限らず詩人や作家、画家などと交流し、彼らから得た刺激を曲作りに反映していきました。
月の光
難易度:C(Fが1番難しいもの)
フランスの詩人ヴェルレーヌの詩集に感銘を受け、まず歌曲を作り、8年後にピアノ曲の月の光を作曲しました。 歌曲はイタリア留学中に不倫関係であったヴァニエ夫人にささげられています。
まとめ
おすすめのピアノクラシックの名曲を15曲ご紹介しました。 作曲家の人生や時代背景を知ることで、より一層曲への理解が深まり、一見難しそうに思えるクラシックが身近に感じられるのではないでしょうか。 多くの方にクラシックへの興味をもっていただけることを願っています。
オススメ記事
ピアノ人気曲|「月の光」が作曲された背景は?ドビュッシーってどんな人だったの?
ピアノの魅力とドビュッシーの神秘的な作品「月の光」を深堀り。作曲背景、演奏のコツ、名演奏家の解釈まで、ピアノ愛好家必見の内容です。