目次
本当はアコースティックピアノが良いけれども、住宅事情のため、電子ピアノかキーボードしか置けないケースは少なくありません。
そのような場合、電子ピアノとキーボードのどちらかを選択することになりますが、どちらを選択したら良いものか迷うのではないでしょうか
この記事では電子ピアノとキーボードの違い、どちらが練習に向いているか解説します。
電子ピアノとキーボードの違いは?
電子ピアノとキーボードの違いを以下のポイントで説明します。
- 音質
- 表現力
- タッチ感
- 演奏性
- 価格
- 設置スペース
- アコースティックピアノとの違い
電子ピアノ | キーボード | |
---|---|---|
音質 | アコースティックピアノに似た音質 | メーカーによって音質の違いはあるが、電子音を感じるものが多い |
表現力 | 強弱程度は表現できるが、 メーカーやモデルによる違いはある |
表現力は出せないが、 「タッチレスポンス」搭載のモデルなら強弱程度は可能 |
タッチ感 | メーカーによって違いはあるが、 お値段が高めの楽器は アコースティックピアノにより近いタッチ感 |
メーカーにより、さまざまなタッチ感の物があり、 ピアノのタッチ感に近い物もある |
演奏性 | アコースティックピアノ特有のボリューム感は出しにくい | 軽やかなタッチのポピュラーミュージック であれば、聴き映えする |
価格 | メーカーによって違いはあるが、 アコースティックピアノより安い |
メーカーによって異なるが、 電子ピアノより安め |
設置スペース | アップライトピアノと同じくらいのスペースが必要 | 楽器によっては折りたたんだり、立てかけたりできるので、 設置スペースはいらない |
アコースティック ピアノとの違い |
アコースティックピアノを意識して作られているが、 デリケートな表現やタッチは再現できない |
音の出し方や音色の違いがあるので、 別の楽器と考えた方が良い |
電子ピアノとキーボードのメリット・デメリット
電子ピアノとキーボードにはメリット・デメリットがあります。
それぞれ挙げますので、楽器選びの参考にしてください。
電子ピアノのメリット・デメリット
まずは電子ピアノのメリットを紹介します。
- アコースティックピアノより軽い
- ヘッドホンで練習できる
- アコースティックピアノより安い
- アコースティックピアノに近いアクション構造と、新ハンマークッションが採用されているモデルもある
- 値段が高い物はアコースティックピアノにより近い
- 調律をしなくて良い
また、電子ピアノには以下のデメリットがあります。
- アコースティックピアノに近いとはいえ、ピアノ本来の音は望めない
- 長年使用することは不可能
- ピアノ上級者の本格的な練習に使用できない
- 中古品として売る場合、希望する値段で売れない可能性がある
このように、電子ピアノはアコースティックピアノを元に作られた楽器なので、アップライトピアノに極めて近い音色が出る型も存在します。
お値段が高くなればなるほど、アコースティックピアノにより近い型が続々と誕生している傾向です。
また、ヘッドホンや音量調節で防音対策ができるので、マンションなどの集合住宅にお住まいの方でも安心して練習できます。
しかし、所詮は電子で音が出る電子機器なので、長年アコースティックピアノに親しんでいた方、音大卒の方は物足りなさを感じるでしょう。
キーボードのメリット・デメリット
キーボードのメリット・デメリットも紹介します。
まずはキーボードのメリットです。
- コンパクトサイズの物が多く、設置スペースを取らない
- 軽量なので持ち運びができる
- 値段が安め
- さまざまな音を楽しめる
- ポップス曲を楽しむのには向いている
デメリットはこちらです。
- アコースティックピアノのようなボリューム感のある演奏はできない
- 物によっては壊れやすい場合もある
- 鍵盤数が少ない場合がある
- 鍵盤が軽く幅が狭い
キーボードはその名の通り、ピアノではありません。
しかし、コンパクトで場所を取らず、音量の調整やヘッドホンで防音対策ができるため、賃貸物件に住んでいる方には最適です。
ただし、電子機器なので壊れることがあるので、場合によっては買い替えが必要になることも考えられます。
電子ピアノかキーボード、どっちが練習に向いてる?
電子ピアノかキーボードかの究極の選択をしなければならない場合の選び方をご伝授します。
それぞれ、どんな方におすすめか、選ぶ際にチェックすべきポイントを挙げてみましょう。
電子ピアノは、より本格的にピアノを弾きたい人におすすめ
電子ピアノは、アコースティックピアノで練習したいと思う人におすすめです。
以下に事例を挙げてみます。
① 音大卒のA子さん
A子さんは音大を出て、ピアノ講師として働いてきました。
そんなA子さんは転勤の多い人と結婚することになり、実家にグランドピアノを置いたまま引越すことになったのです。
転勤先の社宅はマンションのため、ピアノを置けません。
A子さんのように、長年ピアノに親しみ、本格的なレッスンを受けてきた人は、極めてアコースティックピアノに近い電子ピアノがおすすめです。
② ピアノが大好きなB子さん
大学生のB子さんは音大には行きませんでしたが、ピアノが大好きでコンクールに出場するほどの腕前です。
実家にはアコースティックピアノがあり、受験勉強の合間にもよく弾いていました。
そんなB子さんは、大学進学に伴い、一人暮らしをすることになったのです。
家にあるアップライトピアノを持って行きたいと思いましたが、学生専用のマンションなので、持って行くことはできません。
B子さんのように、趣味でピアノを続けてきてアコースティックピアノに慣れ親しんだ人にも電子ピアノがおすすめです。
③ ピアノ初心者のCちゃん
5歳のCちゃんは初めてピアノを習うことになりました。
住んでいる家は分譲マンションですが、ご近所に音のクレームを言う人が住んでいるため、アコースティックピアノを置けません。
しかし、ご両親ともピアノ経験者なので、娘にはきちんとした楽器を与えたいと思っています。
このようなケースの場合も、アコースティックピアノに近い型の電子ピアノがおすすめです。
いずれのケースも時にはレンタルスタジオなどで、アコースティックピアノを練習することをおすすめします。
特に発表会など人前で弾く機会が近づいた時は、ホールのピアノが違和感なく弾けるようにレンタルスタジオできちんと練習したいものです。
キーボードは、気軽に音楽を楽しみたい人におすすめ
キーボードは気軽に音楽を楽しみたい人におすすめです。
なぜなら、キーボードはピアノのみでなく、シンセサイザーやストリングスなどさまざまな音が楽しめるからです。
ピアノにあるハンマーはなく、軽いタッチでどんどん弾けるので、推しのアイドルによるポップスなどを弾きたい人におすすめ。
また、軽量で家具のように置けるため、設置場所を選ばずに済みます。
キーボードがおすすめのケースです。
① 保育士志望のDさん
Dさんは保育士志望の学生でアパート暮らしです。
保育士になるためにはピアノが弾けなければなりませんが、Dさんはピアノを習ったことがありません。
また、保育士になれてもピアノのレッスンに通うことはないと思ったので、気軽に弾けるキーボードを購入し、学校の課題に備えています。
② 音を取るために使うEさん
趣味で合唱団に入っているEさんは、家でも気軽に歌の練習をしたいと思い、キーボードを買いました。
特にピアノを習っていたわけではありませんが、合唱を続けていたので、音符は読めます。
キーボードで自分のパートの音取りをして、合唱団の練習に備えています。
③ 老化防止のためにキーボードを購入したFさん
仕事を退職し、子どもの手が離れたFさんは、老化防止のために指を動かすピアノが良いと聞き、光る鍵盤のキーボードを購入しました。
童謡や知っている曲を少々弾ければよいと思ったので、大きなピアノを買うよりも卓上に置けるキーボードを選択したのです。
Fさんは大人のための音楽教室に通い、キーボードで自分なりの音楽を楽しんでいます。
いずれも本格的なピアノ曲に触れたいというより、資格を取るために必要だったり、音楽そのものを楽しみたかったりするケースです。
キーボードはお手軽なお値段で、だれでも気楽に楽しめる楽器ではないでしょうか。
選ぶ際のポイント◎
電子ピアノ・キーボードを選ぶ際のポイントを紹介します。
電子ピアノやキーボードをどのように選んでよいのかわからない人は参考にしてください。
電子ピアノ
電子ピアノを選ぶ際のチェックポイントは、以下の3点です。
- 鍵盤
- スピーカー
- 音源
それぞれについて詳しく説明します。
1.鍵盤
電子ピアノの鍵盤の種類は以下の2種類です。
- 樹脂鍵盤
- 木製鍵盤
価格的に安いのは、プラスチックで作られている樹脂鍵盤の方で15万円前後の電子ピアノに多いです。
中が空洞になっているため、かなり軽いタッチで弾けますが指が疲れやすいというデメリットがあります。
そして、爪が当たるとカチカチとした音が聞こえる場合もあり、弾きにくさを感じる人もいます。
また、プラスチックなので、それほど長くもたないため、買い替えを余儀なくされるケースもあるでしょう。
たとえば、引越の関係でほんの一時期のみ使いたい、機能よりもコスパを重視したい場合におすすめです。
木製鍵盤は、お値段が高めになる20万円前後の電子ピアノに使われています。
木材のみの場合もありますが、樹脂と混合のハイブリット鍵盤の場合もあります。
お値段が高くなるにつれ、鍵盤の長さや重さがグランドピアノに近い状態になるでしょう。
グランドピアノで練習していた方、昼間はグランドピアノ、夜間のみ電子ピアノと騒音防止のために使い分けたい方におすすめです。
2.スピーカー
スピーカーは数が多いほど、音の強弱をつけやすくなるため、表現の幅が広がる電子ピアノとなると高価格になります。
そもそも、電子ピアノの音はスピーカーから流れる機能になっているので、スピーカーが多ければ多いほど、音の出口が多く高音質になるのです。
ヘッドホンや小さい音量で弾く場合も、高価な電子ピアノの方が高音質で音を楽しめます。
しかし、メーカーによって違いがあるので、購入する際はお店に問い合わせてみる必要があります。
また、ワット数の表記、ヘッドホンと合っているかどうかも音質に関わるでしょう。
スピーカーの数による違いは以下です。
特徴 | |
---|---|
2~4 | |
6~8 |
3.音源
音源はメーカーによって大きな違いがあります。
音にこだわりたい人は、電子ピアノを選ぶ際はお店で試弾させてもらいましょう。
メーカーによる音の違いがよくわかります。
音源方式は2つあるので、それぞれについて説明していきましょう。
まず1つめはサンプリング方式です。
各メーカーで選び抜いたグランドピアノの音をサンプリングして、音源を作っていきます。
高価な電子ピアノほど、音源へのこだわりが深く、サンプリング音源の数も多くなり、高音質になっています。
2つめはモデリング音源です。
ハンマーが弦を叩いて音が鳴るアコースティックピアノの仕組みを、電子ピアノに搭載しています。
最新のデジタルシステムにより、取り入れられた仕組みですが、現在採用されているのは、ローランドの15万円以上のモデルのみです。
リアルタイムで自分の音を生み出せる音源なので、アコースティックピアノにより近い電子ピアノを望む人におすすめです。
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キーボード
キーボードを選ぶ際のチェックポイントは、以下の4点です。
- 鍵盤数
- タッチレスポンス
- 持ち運びの利便性
- 鍵盤が光るかどうか
キーボードは用途によって、チェックポイントも変わってきます。
ここでは、一般的なチェックポイントとして説明していきましょう。
1.鍵盤数
キーボードの鍵盤数は61鍵盤が主流ですが、ピアノの代わりとして楽しみたい場合は鍵盤数が足りないので、76鍵盤以上の物を選びましょう。
ピアノの代わりとして用いる場合、初心者ならば片手奏や簡単な両手奏中心なので、61鍵盤でも足ります。
しかし、曲の難易度が増してくると、61鍵盤では低音部や高音部が足りなくなることが多いです。
2.タッチレスポンス
タッチレスポンスの機能が備わっているかどうかは、重要なポイントです。
この機能が備わっていると、アコースティックピアノのように、強弱を表現できますが、備わっていない場合は表現の幅が狭まります。
ただし、コーラスや他の楽器の音取り、曲のメロディーのみを弾きたいという場合には、タッチレスポンスなしのキーボードで十分です。
3.持ち運びの利便性
人によっては、キーボードを持ち運びたい場合があります。
たとえば、バンドの練習に使う、コーラスの練習に使うといった場合が考えられるでしょう。
そのような場合は、専用のケースがついているポータブルキーボードがおすすめです。
軽量なので、女性が持ち運ぶのにも便利です。
楽器を購入する際に、専用のキーボードケースを購入しておくと、楽器がすっぽり入る便利なケースが手に入ります。
キーボードを傷つけることなく持ち運べるでしょう。
4.鍵盤が光るかどうか
光るキーボードも存在します。
弾くべき鍵盤が光るので、楽譜が読めない大人の方や小さいお子様でも気軽に楽しめるでしょう。
しかし、音符が読めるようになりたい方、子どもには楽譜が読めるようになってほしいと考える方には向いていません。
きちんと楽譜を読んで弾けるようになりたい場合は、鍵盤が光らないキーボードを選ぶようにしてください。
まとめ
電子ピアノとキーボードは機能性が違います。
アコースティックピアノにより近いのは電子ピアノなので、ピアノの代わりとして用いるならば、電子ピアノがおすすめです。
しかし、キーボードは卓上に置けるため、設置場所を選ばずに楽しめる楽器です。
コーラスの音取り、簡単な曲で楽しく演奏したい場合に用いるのには、おすすめできるでしょう。
いずれにしても、電子ピアノやキーボードは多種多様な機種があるので、購入する際はお店に行って試弾させてもらうことが大事です。
店員さんに相談しながら、メーカーによる違いを理解し、用途にあったお好みの楽器を探してみてください。
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