ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。
目次
- ソナタとは?
- ソナタって何曲あるの?
- ベートーヴェンのソナタが作曲された時期とは?
- ソナタ初期
- ソナタ中期
- ソナタ後期
- ベートーヴェンの三大ソナタとは?
- ソナタ全32曲の人気ランキング|難易度もご紹介
- 【第32位】第20番ト長調op.49-2
- 練習のポイント
- 【第31位】第19番ト短調op.49-1
- 練習のポイント
- 【第30位】第25番ト長調『かっこう』op.79
- 練習のポイント
- 【第29位】第32番ハ短調op.111
- 練習のポイント
- 【第28位】第27番ホ短調op.90
- 練習のポイント
- 【第27位】第28番イ長調op.101
- 練習のポイント
- 【第26位】第22番ヘ長調op.54
- 練習のポイント
- 【第25位】第10番ト長調op.14-2
- 練習のポイント
- 【第24位】第9番ホ長調op.14-1
- 練習のポイント
- 【第23位】第2番イ長調op.2-2
- 練習のポイント
- 【第22位】第4番変ホ長調op.7
- 練習のポイント
- 【第21位】第1番ヘ短調op.2-1
- 練習のポイント
- 【第20位】第3番ハ長調op.2-3
- 練習のポイント
- 【第19位】第15番ニ長調『田園』op.28
- 練習のポイント
- 【第18位】第12番変イ長調『葬送』op.26
- 練習のポイント
- 【第17位】第16番ト長調op.31-1
- 練習のポイント
- 【第16位】第13番変ホ長調『幻想曲風ソナタ』op.27-1
- 練習のポイント
- 【第15位】第6番ヘ長調op.10-2
- 練習のポイント
- 【第14位】第5番ハ短調op.10-1
- 練習のポイント
- 【第13位】第7番ニ長調op.10-3
- 練習のポイント
- 【第12位】第18番変ホ長調『狩』op.31-3
- 練習のポイント
- 【第11位】第29番変ロ長調『ハンマークラヴィーア』op.106
- 練習のポイント
- 【第10位】第31番変イ長調op.110
- 練習のポイント
- 【第9位】第11番変ロ長調op.22
- 練習のポイント
- 【第8位】第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』op.78
- 練習のポイント
- 【第7位】第30番ホ長調op.109
- 練習のポイント
- 【第6位】第21番ハ長調『ワルトシュタイン』op.53
- 練習のポイント
- 【第5位】第26番変ホ長調『告別』op.81a
- 練習のポイント
- 【第4位】第17番ニ短調『テンペスト』op.31-2
- 練習のポイント
- 【第3位】第8番ハ短調『悲愴』op.13
- 練習のポイント
- 【第2位】第23番ヘ短調『熱情』op.57
- 練習のポイント
- 【第1位】第14番嬰ハ短調『月光』op.27-2
- 練習のポイント
- まとめ
クラシック音楽の発展に貢献した最も有名な作曲家といえば、古典派の巨匠ベートーヴェンです。
ピアノ曲をはじめ、交響曲や室内楽など多くの名曲を残しているドイツ出身の作曲家で、バッハ・ブラームスと並び「ドイツ三大B」の一人としても知られています。
日本では楽聖と呼ばれ、学校の音楽室に飾られる肖像画の中でもインパクトがありますよね。
そして、ピアノ学習者の必修課題の一つであるソナタは、ベートーヴェンが生涯をかけて作曲した全32曲の代表的な作品です。
今回は、ピアノソナタ全32曲の人気ランキングや難易度を、楽曲解説も交えてご紹介します。
ソナタとは?
クラシック音楽におけるソナタとは、器楽曲や室内楽の楽曲形式の名称です。
ソナタと呼ばれる楽曲は、第1楽章から第3または第4楽章といった複数の楽章で構成されます。
一方、提示部・展開部・再現部で構成されている楽曲はソナタ形式と呼ばれ、主に第1楽章や終楽章に用いられることが多いです。
ソナタって何曲あるの?
ベートーヴェンがピアノソナタとして作曲した作品は、全32曲です。
ハイドンがソナタを52曲残していますが、ベートーヴェンも32曲と多いですね。
以下は、ロマン派や近現代の作曲家がピアノソナタとして発表した作品数をまとめています。
ハイドン | 52曲(Hob.ⅩⅥ 1〜52) |
モーツァルト | 18曲(K.279〜K.576) |
リスト | 1曲(ロ短調S.178) |
ショパン | 3曲(op.4・op.35・op.58) |
ブラームス | 3曲(op.1・op.2・op.5) |
シューベルト | 21曲(D157〜D960) |
シューマン | 3曲(op.11・op.22・op.14) |
プロコフィエフ | 9曲(op.1〜op.103) |
スクリャービン | 10曲(op.6〜op.70) |
ラフマニノフ | 2曲(op.28・op.36) |
ベートーヴェンのソナタが作曲された時期とは?
ベートーヴェンのソナタは、作曲された時期によって初期・中期・後期の3期に分けられています。
同時期には、ピアノソナタ以外にも多くの交響曲や室内楽といった作品も発表しています。
初期(1794年頃〜) | 第1番〜第11番 |
中期(1802年頃〜) | 第12番〜第27番 |
後期(1817年頃〜) | 第28番〜32番 |
ソナタ初期
初期のソナタは、古典派を代表するハイドンやモーツァルトの影響を受けて、ソナタ形式に基づいた作品が多いです。
しかし、この頃から伝統的な手法の型を破る実験的な作品もあり、古典ソナタの発展を予感させるオリジナリティを発揮していきます。
ソナタ中期
ベートーヴェン全盛期と言える中期のソナタには『熱情』『月光』『ワルトシュタイン』といった傑作揃いで、初期と比べて新たな試みを行った作品が多いです。
さらに、この時代は産業革命によって鉄が普及し、強度が高いピアノが開発されています。
その一つであるエラール社のピアノがベートーヴェンに贈られ、音域の広さや強度を活かしたダイナミックなソナタが次々と誕生しました。
ソナタ後期
ベートーヴェンが耳の不調を抱えながらも作曲を続けた後期のソナタは、奥深さと落ち着きのある作風に変わっていきます。
ソナタの楽譜を見てみると指示用語がドイツ語で記載され、ロマン派音楽の先駆けのような作風になっています。
オススメ記事
ソナタって?ソナチネとは違うの?筆者が激推しの美しい名曲を10選紹介◎
今回の記事では、ピアノの曲に多いソナタやソナチネの違いや形式、さらに「ピアノ ソナタ」、「ピアノが上達する練習曲を知りたいな」、「たくさん練習曲があるけど進める順番は?」の疑問にお答えしていきます。
ベートーヴェンの三大ソナタとは?
ベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』『熱情』『月光』は、人気や知名度の高さから「三大ピアノソナタ」と呼ばれています。
しかし、これはベートーヴェン自身が使っていた名称ではなく、レコード会社の販売戦略として名付けられたと伝えられています。
とはいえ、国内外の多くのピアニストが「三大ピアノソナタ」の名盤を残しており、クラシック音楽において欠かせない作品です。
クラシック初心者の方も、ベートーヴェンのソナタといえば、まず『悲愴』『熱情』『月光』いずれかのタイトルを思い浮かべるでしょう。
さらに、近年『テンペスト』『ワルトシュタイン』『告別』のいずれかのソナタを含む「四大ソナタ」という名盤を残すピアニストもいます。
ソナタ全32曲の人気ランキング|難易度もご紹介
ここからは、ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の人気ランキングと難易度、練習のポイントをご紹介します。
発表会やピアノコンクールで頻繁に選ばれる曲や、ピアニストのリサイタルで演奏される機会が多い曲など、筆者のおすすめも含めてランキング化しました。
【第32位】第20番ト長調op.49-2
難易度 | 初級〜中級 |
曲の特徴 | 「やさしいソナタ」と名付けられ、ベートーヴェンのピアノ曲の導入編と言える。 |
曲調 | 【第1楽章】ト長調の主和音と分散和音で始まる軽快な曲調のソナタ。 【第2楽章】付点リズムの主題で始まるメヌエット風の第2楽章で、優美なメロディが印象的。 |
楽譜 | ヤマハぷりんと楽譜 |
練習のポイント
分散和音は、手のポジションを安定させて弾くことが大切です。
一度和音にして弾いて、手首の高さや鍵盤の位置を確認してみましょう。
楽譜通りに弾いた時、手のポジションが安定していると音の粒も揃ってきますよ。
【第31位】第19番ト短調op.49-1
難易度 | 初級〜中級 |
曲の特徴 | 20番と同時期に作曲したソナタで、ベートーヴェンのピアノ曲の中でも初級レベル。 2楽章で構成され、コンパクトにまとまったソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】ソナタ形式で書かれた第1楽章は、装飾音符を多用した曲調が印象的。 【第2楽章】軽快なスタッカートで奏でるシンプルながら音楽的な楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン・ピアノソナタ集 |
練習のポイント
トリルやターンといった装飾音符が多いので、リズムやテンポ感が崩れないようにメトロノームを使った練習が効果的です。
リズムが不安定になったら、あえて装飾音符を弾かない練習を試してください。
安定したら再び楽譜通りの装飾音符を弾いて、全体的な流れをチェックしてみましょう。
【第30位】第25番ト長調『かっこう』op.79
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンのソナタの中でも弾きやすく、親しみやすいメロディが特徴。 しかし、知名度が低く演奏される機会も少ない。 |
曲調 | 【第1楽章】オクターブの軽快な旋律で始まる躍動的な楽曲。 【第2楽章】悲哀感のあるメロディが歌われる緩徐楽章。 【第3楽章】リズミカルな曲調で、コンパクトにまとまった終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集3 |
練習のポイント
手の交差が難しい曲なので、音を外さないようにゆっくり練習してみましょう。
確実に音を捉えられるテンポから始めて、少しずつ上げていくと効果的です。
【第29位】第32番ハ短調op.111
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンが作曲した最後のピアノソナタ。 2楽章構成でありながらスケールが大きく、集大成とも言える。 |
曲調 | 【第1楽章】序奏つきのソナタ形式で、16分音符の細かい3連符やオクターブ奏法など、テクニカルな一面も。 【第2楽章】テーマに続き第1〜第5変奏で構成され、最後は静かに曲を閉じる。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集3 |
練習のポイント
練習する時は、テクニックが難しい部分やリズムが複雑な箇所などをグループ分けしてみましょう。
また、どの部分を重点的に練習するのか決めておくと、効率よく進めることができますよ。
後期のソナタは難易度が高いので、時間をかけて取り組んでくださいね。
【第28位】第27番ホ短調op.90
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンが耳の不調に悩み創作意欲が低下した時期に書かれたソナタ。 規模は小さいけれど、奥深く感情的な作品で高く評価されている。 |
曲調 | 【第1楽章】強弱のコントラストや叙情的な旋律が印象的な楽曲。 【第2楽章】優美なメロディが歌われる緩徐楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集3 |
練習のポイント
第1楽章は3拍子のリズムが崩れやすいので、メトロノームに合わせて練習してください。
また、音が跳躍するとテンポ感が不安定になるため、反復練習もおすすめします。
【第27位】第28番イ長調op.101
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 幻想曲風の自由な構想でありながら、各楽章はソナタ形式で構成されるベートーヴェン後期のソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】高貴な雰囲気の緩徐楽章。 【第2楽章】行進曲風の勇ましさが印象的な楽章。 【第3楽章】悲哀感のある旋律の序奏を経て主題が登場。 展開部にはフーガが用いられ、挑戦的な一面も。 |
楽譜 | ベートーヴェンピアノソナタ第28番 |
練習のポイント
緩徐楽章は、メロディと伴奏のバランスに注意して歌うように弾いてみましょう。
旋律だけを弾いたり声に出して歌うなど、工夫次第で練習が楽しくなりますよ。
【第26位】第22番ヘ長調op.54
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 『ワルトシュタイン』と『熱情』に挟まれた地味なソナタ。 背景にはベートーヴェンが新たな手法を見出したことが伺える。 |
曲調 | 【第1楽章】ヘ長調を主題とする、ロンド形式やソナタ形式が混同する変則的な構成。 【第2楽章】Allegretto4分の2拍子。 同じく変則的な構成で、コンパクトにまとまった楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェンピアノソナタ第22番 |
練習のポイント
第2楽章には、16分音符のパッセージが弾きにくい箇所があります。
また、オクターブのトレモロ奏法も出てくるので、手首の脱力を意識して練習してくださいね。
【第25位】第10番ト長調op.14-2
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | 親しみやすい雰囲気と弾きやすさで、ピアノ中級レベルの方に最適なソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】典型的なソナタ形式で書かれた楽章。 【第2楽章】ハ長調でテーマと3つの変奏曲で構成。 【第3楽章】ロンド形式で書かれたスケルツォ風の終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェンピアノソナタ第10番 |
練習のポイント
第1楽章の細かいパッセージは、リズム練習や音階練習を取り入れて指先の瞬発力を鍛えると弾きやすくなります。
【第24位】第9番ホ長調op.14-1
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | 『悲愴』の後に作曲されたソナタで、10番と並びピアノ学習者がレッスンで取り上げる機会が多い作品。 |
曲調 | 【第1楽章】ソナタ形式で書かれ冒頭の和音刻みが印象的。 【第2楽章】ホ短調のスケルツォまたはメヌエットと位置づけられる楽章。 【第3楽章】ロンド形式で軽快な3連符と華やかなパッセージが特徴。 |
楽譜 | ベートーヴェンピアノソナタ第9番 |
練習のポイント
左手の和音は、音がムラなく響くように手の形を整えて弾いてください。
慣れるまでは片手練習を徹底して、安定感のある演奏を目指しましょう。
【第23位】第2番イ長調op.2-2
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 4楽章で構成されるベートーヴェン初期のソナタ。 古典の伝統的な手法に基づく作品と言える。 |
曲調 | 【第1楽章】3連符やユニゾンなど、テクニカルな印象がある楽章。 【第2楽章】弦楽四重奏風の緩徐楽章。 【第3楽章】軽快さと旋律的な部分のコントラストが印象的。 【第4楽章】幅広い音域のアルペジオで始まる美しいロンド形式の終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
テクニックが難しい箇所は、各セクションごとに分けて練習してみてください。
リズム練習やスタッカートで弾く練習など、指先を強化することも大切です。
【第22位】第4番変ホ長調op.7
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 若いベートーヴェンの自信に満ちあふれた渾身のソナタ。 古典の作曲法に忠実でありながら挑戦的な一面もある作品。 |
曲調 | 【第1楽章】左手の連打や右手の華やかなパッセージが印象的。 【第2楽章】気品がある緩徐楽章。 【第3楽章】穏やかさと影のある楽章。 【第4楽章】左右の対話や流れるようなメロディが特徴の終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
半音階やアルペジオ、同音連打といった技術面を強化して、安定した演奏を目指してください。
メトロノームを使った練習やゆっくり弾く練習も効果があります。
【第21位】第1番ヘ短調op.2-1
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンが本格的にソナタの作曲を開始したのは1793年。 第1番は、バロックの要素を残しつつ独創性が垣間見える作品と言える。 |
曲調 | 【第1楽章】古典派特有のソナタ形式で書かれた楽章。 【第2楽章】モーツァルトの影響を受けた緩徐楽章。 【第3楽章】典型的なメヌエット。 【第4楽章】ヘ短調のロンド・ソナタ形式でフィナーレにふさわしい情熱的な終楽章。 |
楽譜 (Amazonより) |
ベートーヴェン ピアノ作品集 |
練習のポイント
第1楽章はテンポが不安定になりやすいので、メトロノームを使った練習が効果的です。
第4楽章は、ゆっくり弾く練習から徐々にテンポを上げていきましょう。
【第20位】第3番ハ長調op.2-3
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 古典ソナタの手法でありながらベートーヴェンの野心的な雰囲気も感じるソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】重音やアルペジオ、オクターブ奏法などが多いテクニカルな楽章。 【第2楽章】ホ長調で書かれた美しい緩徐楽章。 【第3楽章】スケルツォが用いられた楽章。 【第4楽章】ロンド・ソナタ形式のフィナーレにふさわしい装飾的な終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン 作品集 |
練習のポイント
第1楽章は重音・アルペジオ・トレモロなどのテクニックが難しいので、自分が苦手な部分を集中的に練習しましょう。
【第19位】第15番ニ長調『田園』op.28
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 表題の通りのどかな田舎の風景が浮かぶソナタ『田園』は、1801年に作曲された。 しかし、表題はベートーヴェンではなく出版社が名付けたと伝えられている。 |
曲調 | 【第1楽章】低音の響きが印象的な穏やかな曲調。 【第2楽章】悲哀と明るさの対比が印象的。 【第3楽章】ユーモアあふれるスケルツォ。 【第4楽章】ロンド形式で自然を描写したような曲調。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
このソナタは、テクニックよりも情景描写をイメージした音作りが難しい曲です。
どのような音色で弾きたいか、常に想像力を働かせて完成を目指してくださいね。
【第18位】第12番変イ長調『葬送』op.26
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 第1楽章が変奏曲という、常識を覆すベートーヴェンらしい中期のソナタ。 この作品をきっかけに独創的なソナタが次々と誕生した。 |
曲調 | 【第1楽章】テーマと5つの変奏曲からなる斬新な楽章。 【第2楽章】遊び心のあるスケルツォ。 【第3楽章】変イ短調の3部形式で書かれた緩徐楽章。 【第4楽章】即興的でトッカータ風に書かれたフィナーレ。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
変奏曲を練習する時は、テーマが各変奏曲でどのように扱われているかを意識してみてください。
また、曲間のつなぎ方やテンポ感を工夫するとよいですね。
【第17位】第16番ト長調op.31-1
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンが耳の不調を感じ始めた頃に作曲したソナタだが、作風は明るく創作意欲あふれる作品。 |
曲調 | 【第1楽章】アウフタクトのリズムをモチーフにした独特な雰囲気の楽章。 【第2楽章】自由な楽想の緩徐楽章。 【第3楽章】ソナタ風ロンドというオリジナリティあふれる終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ソナタ第16番 |
練習のポイント
特徴的なリズムは、1拍目を見失わないようにメトロノームを使って練習してみてください。
また、左手の伴奏型は、音の粒をそろえてバランスよく響かせることが大切です。
【第16位】第13番変ホ長調『幻想曲風ソナタ』op.27-1
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェン自身が「幻想曲風」と名付けたソナタで、各楽章の間がない構成が特徴。 |
曲調 | 【第1楽章】AndanteではじまりAllegroに移行する3部形式の楽章。 【第2楽章】スケルツォの要素が強く、切れ目なく第3楽章に入る。 【第3楽章】Adagioの序奏で始まるロンド・ソナタ形式の終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
ペダリングが難しい曲なので、練習では自分の音をしっかり聴いて濁らないように弾いてみましょう。
速い部分は区切って練習すると効果的ですよ。
【第15位】第6番ヘ長調op.10-2
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | 高貴な雰囲気と遊び心のある曲調が印象的なソナタ。 もともと4楽章あった説があり、緩徐楽章がないのも特徴的。 |
曲調 | 【第1楽章】リズミカルでメリハリのある楽章。 【第2楽章】Allegrettoと指示された独特な雰囲気。 【第3楽章】躍動感のある音の絡み合いが見事。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
和音・3連音・トリル奏法など、テクニックごとにグループ分けをして練習すると効果的です。
速いパッセージは、リズム練習で指先を鍛えるとスムーズに弾けますよ。
【第14位】第5番ハ短調op.10-1
難易度 | 中級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンのピアノソナタで、初めて3楽章構成になっている作品。 シンプルながらも名曲に多いハ短調で書かれた点は、のちの『悲愴』に通ずると言える。 |
曲調 | 【第1楽章】力強い和音で始まるミステリアスな雰囲気の楽章。 【第2楽章】華やかなパッセージを含む緩徐楽章。 【第3楽章】コンパクトで簡潔にまとまった終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
第1楽章の付点リズムは、指先の瞬発力を使ってしっかり弾くことを心がけましょう。
さらに、3連符はテンポが遅くならないようにメトロノームに合わせて練習してくださいね。
【第13位】第7番ニ長調op.10-3
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | アンナ・マルガレーテに捧げる3つのソナタ作品10の最後のソナタ。 4楽章で構成され、リズミカルでやや難解な一面が特徴。 |
曲調 | 【第1楽章】Presto(急速に)ソナタ形式で書かれた楽章。 【第2楽章】ニ短調の緩徐楽章。 【第3楽章】3部形式の優雅なメヌエット。 【第4楽章】Allegro(快速に)のロンド形式で、第1楽章に通ずる副主題が出現。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
第1楽章や第4楽章は、アウフタクトで始まるので1拍目を見逃さないように注意深く練習してください。
トレモロ奏法は、手首を左右に振りすぎず、弾きやすいポジションを見つけると上達に近づきますよ。
【第12位】第18番変ホ長調『狩』op.31-3
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 4楽章構成でありながら緩徐楽章を含まない珍しいソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】特徴的なリズムと軽快なパッセージが印象的。 【第2楽章】ソナタ形式によるスケルツォ。 【第3楽章】典型的なメヌエット形式。 【第4楽章】タランテラ風の要素が強いソナタ形式の終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン 作品集 |
練習のポイント
第1楽章の付点リズムが崩れないように、メトロノームに合わせて練習してみましょう。
【第11位】第29番変ロ長調『ハンマークラヴィーア』op.106
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 演奏時間およそ40分の大作で、構造が異なる2種類のピアノを使って作曲した作品。 |
曲調 | 【第1楽章】典型的なソナタ形式で書かれた大規模な楽章。 【第2楽章】古典ソナタには珍しいスケルツォ。 【第3楽章】嬰ヘ短調の緩徐楽章。 【第4楽章】3声のフーガが用いられる壮大な終楽章。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
このソナタを練習する方はすでに上級者だと思います。
とにかく曲の規模が大きいので、各セクションごとの練習が効果的です。
第4楽章のフーガは、パートごとに譜読みをして音間違いに注意してくださいね。
【第10位】第31番変イ長調op.110
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 「のだめカンタービレ」で登場したソナタとしても有名で、晩年のベートーヴェンらしさがあふれる楽曲。 |
曲調 | 【第1楽章】コンパクトで簡潔に書かれた叙情的で美しい旋律が印象的。 【第2楽章】3部形式のスケルツォ風。 【第3楽章】フーガを取り入れた自由な楽想と壮大なクライマックスが印象的な大作。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
後期のソナタはロマン的な要素があるので、テクニックだけではなく表現力も磨いていきましょう。
単旋律を歌ってみたり、部分練習や通し練習を繰り返して全体像を作り上げてくださいね。
【第9位】第11番変ロ長調op.22
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェン初期のソナタの集大成と言える作品で、古典ソナタの枠組みに沿った作風が印象的。 表題はないが、人気が高いソナタ。 |
曲調 | 【第1楽章】ソナタ形式で書かれた軽快で楽しい曲調。 基本のテクニックを駆使したピアノ学習者にもおすすめの楽曲。 【第2楽章】装飾的なパッセージが印象的な緩徐楽章。 【第3楽章】メヌエットと称される短い楽章。 【第4楽章】ロンド形式で展開するフィナーレにふさわしい曲調。 |
楽譜 | ベートーヴェン 作品集 |
練習のポイント
最も演奏される機会が多い第1楽章は、スケールやアルペジオをはじめ、トレモロ、オクターブといったテクニカルな一面があります。
リズム練習やメトロノームを使った練習など、各セクションごとに最適な練習方法を取り入れてください。
【第8位】第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』op.78
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 2楽章で構成される中期のソナタ。 表題の『テレーゼ』がエリーゼではないかという説が有名ですが、全くの別人。 |
曲調 | 【第1楽章】美しい序奏で始まり、シンプルながら音楽的に展開する曲調。 【第2楽章】ソナタ形式とロンド形式が混ざったような独特な曲調。 |
楽譜 | ベートーヴェン ソナタテレーゼ |
練習のポイント
第1楽章に現れる16分音符のパッセージは、指使いを工夫して音がガタガタしないように練習してみましょう。
リズム練習やペダルなしで弾く練習を試してみてください。
【第7位】第30番ホ長調op.109
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | 晩年のベートーヴェンが書き上げた最高傑作と言えるソナタ。 ロマン派の作風に近く、自由かつストイックな作品。 |
曲調 | 【第1楽章】テンポの緩急が印象的なソナタ形式の楽章。 【第2楽章】ホ短調の第1主題で始まる短い楽章。 【第3楽章】テーマと6つの変奏曲が、壮大なクライマックスに向けて展開する。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
最も難しいのは、変奏曲風の第3楽章です。
そのため、第3楽章から先に練習することをおすすめします。
また、後期のソナタはテンポの指示も複雑になりますが、まずは一定のテンポで練習すると効果的ですよ。
【第6位】第21番ハ長調『ワルトシュタイン』op.53
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | パリのエラール社からピアノを贈られたベートーヴェンが、楽器の機構と格闘しながら書き上げたソナタ中期の傑作。 |
曲調 | 【第1楽章】疾走感のある和音の連打で始まり、コラール風の第2主題や華やかな16分音符のパッセージが特徴。 【第2楽章】幻想的な曲調と豊かな低音の響きが美しい緩徐楽章。 【第3楽章】分散和音から浮かび上がる旋律や技巧的な部分など、メリハリのある曲調が印象的。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
左右がずれないように、メトロノームを使った練習は必須です。
特に左手の和音連打は、安定したテンポで弾くための重要なポイントになります。
弾きにくい箇所は、部分練習やリズム練習を重点的に行ってみてくださいね。
【第5位】第26番変ホ長調『告別』op.81a
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェン後期のソナタで、表題は自筆譜に自ら書き込んだ。 地方に疎開する弟子に向けたメッセージという説も。 |
曲調 | 【第1楽章】16小節の序奏をへて提示部・展開部・再現部と続くソナタ形式。 【第2楽章】Andanteと指示される緩徐楽章。 【第3楽章】フィナーレにふさわしい華やかな第3楽章には、「再会」という副題つき。 |
楽譜 | ベートーヴェン ピアノソナタ集 |
練習のポイント
技術的に難しい第3楽章は、メロディと伴奏のバランスに注意しながら練習してください。
また、メトロノームに合わせて片手ずつ弾く練習や右手のリズム練習も効果的です。
【第4位】第17番ニ短調『テンペスト』op.31-2
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェンらしい作風で、エネルギッシュな雰囲気と叙情性のあるソナタ。 技術的にも難解な点が多く、練習量が必要。 |
曲調 | 【第1楽章】Largo(幅広く)を経てAllegroの主題が出現、その後中間部にも同じパターンが出現。 【第2楽章】ソナタ王道の緩徐楽章。 【第3楽章】目まぐるしく16分音符が揺れ動き、情熱的な曲調が特徴。 |
楽譜 | ヤマハぷりんと楽譜 |
練習のポイント
第1楽章は、Allegroに登場する分散和音がデコボコにならないように、音色を揃える練習が大切です。
自分の耳でよく聴いて、飛び出しやすい音には印をつけてみましょう。
第3楽章は、弾きにくい箇所を重点的に練習してから通し練習をすると効果があります。
【第3位】第8番ハ短調『悲愴』op.13
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 『悲愴』は、ベートーヴェン初期のソナタの中でも傑作。 ダイナミックな表現力はもちろん、美しい旋律を歌い上げるテクニックが必要な楽曲。 |
曲調 | 【第1楽章】ゆったりした序奏つきのソナタ形式。 左手の急速なトレモロと右手のトリルが印象的。 【第2楽章】Adagio Cantabile(歌うように)と指示された美しいメロディの楽章。 【第3楽章】ロンド形式で書かれ、分散和音の伴奏と旋律主題を提示。 |
楽譜 | ヤマハぷりんと楽譜 |
練習のポイント
第1楽章の中で難題となるのは、左手のオクターブトレモロ奏法です。
急速なテンポなので、力を入れすぎると手首が疲労して動かなくなるケースもあります。
練習する時はより脱力を意識して、疲れを感じたらすぐに休憩して手首を傷めないように注意してくださいね。
【第2位】第23番ヘ短調『熱情』op.57
難易度 | 上級 |
曲の特徴 | ベートーヴェン中期のソナタの集大成と言えるスケールの大きな作品。 エラール社製の新しいピアノを活かした、ダイナミックで劇的な表現が随所に現れている。 |
曲調 | 【第1楽章】独特のリズム音型とトリルのようなパッセージが印象的。 【第2楽章】変ニ長調、変奏曲形式で構成される楽曲。 【第3楽章】付点リズムの連打で始まり、タイトルの「熱情」にふさわしいドラマチックな展開と曲調が聴き応え抜群。 |
楽譜 | 全音ピアノピース |
練習のポイント
この曲は規模が大きいので、各セクションごとに分けて練習してみてください。
また、難しいテクニックは早めに取り組み、全体的に安定した演奏を目指しましょう。
指先強化のため、ハノンを併用すると効果的ですよ。
【第1位】第14番嬰ハ短調『月光』op.27-2
難易度 | 中〜上級 |
曲の特徴 | 第1楽章が緩徐楽章という型破りで自由な構想が印象的な楽曲。 対する第3楽章は王道のソナタ形式で書かれ、演奏にはスケールやアルペジオといった基本テクニックが必須となります。 |
曲調 | 【第1楽章】幻想曲風でゆったりしたテンポと切ない旋律。 【第2楽章】複合3部形式でスタッカートとレガートのコントラストが楽しい曲。 【第3楽章】急速なテンポと情熱的な曲調が印象的で、ピアノ学習者も憧れる一曲。 |
楽譜 | ヤマハぷりんと楽譜 |
練習のポイント
最も難しい第3楽章は、弾きやすい部分だけが速くならないようにメトロノームを使って練習してみましょう。
いきなり速いテンポで弾かず、ゆっくり練習から始める方が効果的です。
16分音符のパッセージは、リズム練習を取り入れて指先の瞬発力を鍛えてください。
まとめ
今回は、ベートーヴェンのピアノソナタについて時代背景や楽曲解説、全32曲のランキングと難易度をご紹介してきました。
初期のソナタと後期のソナタでは全く曲調が異なり、ベートーヴェンが生涯をかけて作曲に携わっていたことや時代背景など、奥深さを感じます。
表題がないソナタにも名曲と言える多くの作品が隠れていますので、ぜひベートーヴェンのピアノソナタをじっくり聴いてみてください。
オススメ記事
ソナタって?ソナチネとは違うの?筆者が激推しの美しい名曲を10選紹介◎
今回の記事では、ピアノの曲に多いソナタやソナチネの違いや形式、さらに「ピアノ ソナタ」、「ピアノが上達する練習曲を知りたいな」、「たくさん練習曲があるけど進める順番は?」の疑問にお答えしていきます。