7歳からピアノ。13歳から打楽器。他にもテナーサックスや沖縄三線、合唱に挑戦し幅広く取り組む。現在は飲食店での接客調理、WEBライターや打楽器指導を行っている。 尚美ミュージックカレッジ専門学校打楽器専攻卒業。大阪芸術大学通信教育部音楽学科卒業。中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)取得。
目次
「ピアノに3つのペダルがあるけど、どのようなときに使うの?」
「ピアノのペダルの正しい使い方を教えて!」
ピアノ初心者の人のなかには、3つのペダルの役割や使い方を知りたい人が多いのではないでしょうか。
この記事では音楽大学卒業の経験をもつ筆者が、ピアノ初心者に向けてペダルの役割と使い方を解説しています。
- ペダルとは?
- 【いざ実践】3つのペダル、それぞれの使い方は?
- ペダルを使う時に知っておきたいポイント
ピアノペダルの役割や使い方が理解できると、ペダルを正しく使いこなし、演奏技術の向上につながるでしょう。
ピアノペダルとは?
ペダルはピアノの表現力を豊かにするための重要な要素です。
グランドピアノとアップライトピアノでは、真ん中ペダルの種類が異なります。
右ペダル | 真ん中ペダル | 左ペダル | |
---|---|---|---|
グランドピアノ | ダンパーペダル | ソステヌートペダル | ソフトペダル |
アップライトピアノ | ダンパーペダル | マフラーペダル | ソフトペダル |
真ん中ペダルだけ、名称が異なります。
グランドピアノとアップライトピアノのペダルの違いを理解しておくのは、ピアノ演奏を行ううえで、重要です。
3つのピアノペダルの役割は?
役割 | 効果 | |
---|---|---|
右ペダル 「ダンパーペダル」 |
ピアノ内部にある全てのダンパーを持ち上げ、 全ての弦を共鳴させる |
音が持続し、響きが豊かになり、楽曲に深みを加わる |
左ペダル 「ソフトペダル」 |
・グランドピアノの場合 鍵盤全体が少し右にずれて、ハンマーが一部の弦だけを打つ ・アップライトピアノの場合 ハンマーと弦の距離が短くなり、弦に当たる力を弱める |
音量が下がり、音色が柔らかくなり、繊細な表現が可能になる |
真ん中ペダル 「ソステヌートペダル」 |
ペダルを踏んだ瞬間に鳴っている音だけを持続させる | 持続させたい音を保持しながら、他の音は独立して演奏でき、 複雑な音響効果を生み出せる |
真ん中ペダル 「マフラーペダル」 |
ハンマーと弦の間にフェルト(布)が張られ、音を大幅に弱める | 音量が非常に小さくなり、自宅で周囲を気にせず練習ができる |
ピアノのペダルはそれぞれ役割があります。
ここでは各ペダルの役割を解説します。
- 右ペダル「ダンパーペダル」
- 左ペダル「ソフトペダル」
- 真ん中ペダル「ソステヌートペダル」
- 真ん中ペダル「マフラーペダル」
ピアノの各ペダルの役割を理解すると、どのようなときに使えばいいのかがわかり、演奏表現の幅が広がるでしょう。
右ペダル「ダンパーペダル」
ダンパーペダルは、ピアノの演奏表現において最もよく使われるペダルです。
ダンパーペダルを踏むと、ピアノの内部にある全てのダンパーが持ち上がり、全ての弦が自由に共鳴するようになります。
同時に、音が長く持続し、豊かな響きが生まれます。
ダンパーペダルは、楽曲に深みと感情を加えるために使用され、特にクラシック音楽やバラードなどで効果的といえるでしょう。
しかし、ペダルを踏み続けると音が混ざるため、適切なタイミングで踏んだり離したりするのが重要です。
左ペダル「ソフトペダル」
ソフトペダルは、音を柔らかくし、演奏に繊細さを加えるペダルです。
グランドピアノの場合、ソフトペダルを踏むと鍵盤全体が右に少しずれます。
ハンマーが弦の一部だけを打つようになり、音量が下がり、音色が優しく聴こえるでしょう。
アップライトピアノはグランドピアノと仕組みが異なりますが、ハンマーと弦の距離が短くなり、同様に音量が抑えられます。
ソフトペダルは静かな部分や繊細な表現が求められる曲で効果的に使用され、特にロマンチックな楽曲やクラシック作品で活躍します。
真ん中ペダル「ソステヌートペダル」
ソステヌートペダルは特定の音だけを持続させ、他の音はダンパーで止められる、グランドピアノ特有のペダルです。
ソステヌートペダルを踏んだ瞬間に鳴っている音のみが持続します。
結果、持続させたい音を保持しながら、他の音を自由に演奏でき、複雑な音響効果を生み出すのが可能です。
ソステヌートペダルは、現代音楽や複雑な和音構成が必要な楽曲で効果的ですが、他のペダルに比べて使用頻度は少ないでしょう。
真ん中ペダル「マフラーペダル」
マフラーペダルは音を大幅に弱めるために使われる、アップライトピアノ特有のペダルです。
マフラーペダルを踏むと、ハンマーと弦の間にフェルトが挟まれ、弦に当たる力が大幅に軽減されます。
音量が小さくなるため、周囲を気にせず練習できるでしょう。
マフラーペダルは、近隣に迷惑をかけずに練習したいときや、夜間練習をしたいときに便利です。
【いざ実践】3つのピアノペダル、それぞれの使い方は?
ピアノはペダルを使いこなすと、演奏の表現力が飛躍的に向上します。
ここでは、各ペダルの使い方を解説します。
- 右ペダル「ダンパーペダル」
- 左ペダル「ソフトペダル」
- 真ん中ペダル「ソステヌートペダル」
- 真ん中ペダル「マフラーペダル」
各ペダルの使い方を理解し、適切に使うと、初心者でも豊かな表現ができるようになるでしょう。
右ペダル「ダンパーペダル」
ダンパーペダルは、音を長く持続させるために使用します。
初心者が最初に練習する際は、短いフレーズでペダルを踏んで音がどのように変化するかを確認すると良いでしょう。
例えば、音符がつながっている部分でペダルを踏み、フレーズの終わりでペダルを離します。
ペダルの踏み方を練習するためにおすすめな曲は、ベートーヴェンの「エリーゼのために」です。
演奏を聴きながら、どの部分でペダルが使われているかに注目すると良い練習になるでしょう。
左ペダル「ソフトペダル」
ソフトペダルは、音を柔らかくし、控えめな表現をする際に使用します。
最初に、ペダルを踏まずに音を弾いてから、同じ音をペダルを踏みながら弾いてみましょう。
音量が減少し、音色が柔らかくなるのを感じ取れるでしょう。
ショパンの「夜想曲(ノクターン)」は、ソフトペダルの練習に最適な曲です。
特に静かな部分でのペダル操作を意識しながら演奏すると、繊細な表現が可能になります。
演奏動画を観て、実際にペダルの使い方を確認すると良いでしょう。
真ん中ペダル「ソステヌートペダル」
ソステヌートペダルは、特定の音を持続させるために使われます。
初心者は、簡単な和音を使ってソステヌートペダルを踏む練習をするのがおすすめです。
例えば、ドの音を弾いてすぐにソステヌートペダルを踏み、その後に他の音を弾いてみましょう。
ドの音が持続しながら他の音が鳴る感覚を体験できます。
ソステヌートペダルはピアノ初心者の場合は使用する機会がありません。
しかしピアノ上級者向け楽曲、ドビュッシーの「沈める寺~前奏曲集第1巻より」を聴くと、どのようにペダルが使われているかを理解できるでしょう。
真ん中ペダル「マフラーペダル」
マフラーペダルは、音を大幅に弱めて、静かに演奏したいときに使用します。
マフラーペダルを使う際は、通常の演奏と比較して音量がどの程度下がるかを試してみましょう。
例えば、通常の音で簡単なメロディを弾いてから、マフラーペダルを踏んで同じメロディを弾いてみます。
音が小さくなり、柔らかな音色になるのを感じられるでしょう。
自宅での練習では、夜間など周囲を気にせずに弾けるので便利です。
ピアノペダルを使うときに知っておきたいポイント
ピアノのペダルは音色を豊かにし、表現の幅を広げるうえで重要な要素です。
しかし、使い方によっては音が濁ったり、音が薄くなったりする場合があります。
ここでは、ピアノペダルを使う時に知っておきたいポイントを5つ解説します。
- 曲の雰囲気に合わせてペダルを使う
- ペダルの踏み方を工夫する
- ペダルの使い方を練習する
- ペダルはあくまでも補助
- 楽譜の指示をよく読む
ピアノペダルを使うときのポイントを知っておくと、効果的に使い、演奏技術が向上するでしょう。
曲の雰囲気に合わせてペダルを使う
ピアノの曲には明るい曲や悲しい曲、激しい曲など、さまざまな雰囲気の曲があります。
曲の雰囲気に合わせてペダルを使うと、演奏に深みが出るでしょう。
例えば、穏やかなバラードでは、音を繋げてなめらかに弾くためにペダルを使うと、より美しいメロディになります。
ピアノペダルの踏み方を工夫する
ピアノペダルは単に踏むだけでなく、踏み方によって様々な効果を出せるのが特徴的です。
例えば、ゆっくりと深く踏むと音が豊かに響き、素早く離すと音の切れ味が良くなります。
曲の雰囲気に合わせて、ペダルの踏み方を工夫しましょう。
ピアノペダルの使い方を練習する
ピアノペダルの使い方は、慣れるまで時間がかかります。
毎日少しずつ練習すると、次第にペダルの使い方が上手になっていきます。
メトロノームを使って、一定のリズムでペダルを踏む練習をするのがおすすめです。
ピアノペダルはあくまでも補助
ピアノペダルは、ピアノの音色を豊かにする補助的なものです。
ペダルばかりに頼らず、最初は指でしっかりと鍵盤を弾くのを心がけましょう。
ペダルは、指の演奏をさらに美しく彩るためのスパイスのようなものです。
楽譜の指示をよく読む
楽譜には、ペダルの使い方に関するさまざまな記号が書かれている場合があります。
ペダルをいつ踏み、いつ離すのか、楽譜の指示を読んで正確に演奏しましょう。
楽譜の指示通りに演奏すると、作曲家の意図をより深く理解できます。
ピアノ ペダル使わない曲もある!
ピアノペダルは音色を豊かにする便利なツールですが、全ての曲でペダルを使う必要はありません。
曲によっては、ペダルを使わない方が音がクリアに聞こえたり、リズム感が強調されたりする場合があります。
また、初心者がピアノ演奏に取り組む際は、ペダルを使わずに基本的な指使いや音のつながりを練習するのが推奨されます。
ペダルの使用は、流れるようなバラードなど曲のスタイルや作曲者の意図に応じて慎重に選びましょう。
まとめ
この記事では、ピアノ初心者に向けてペダルの役割と使い方を解説してきました。
ピアノペダルの役割は以下のとおりです。
役割 | 効果 | |
---|---|---|
ダンパーペダル | ピアノ内部にある全てのダンパーを持ち上げ、 全ての弦が共鳴するようにする |
音が持続し、響きが豊かになり、楽曲に深みを加わる |
ソフトペダル | ・グランドピアノの場合 鍵盤全体が少し右にずれて、ハンマーが一部の弦だけを打つようにする。 ・アップライトピアノの場合 ハンマーと弦の距離が短くなり、弦に当たる力を弱める。 |
音量が下がり、音色が柔らかくなり、繊細な表現が可能になる |
ソステヌートペダル (グランドピアノ) |
ペダルを踏んだ瞬間に鳴っている音だけを持続させ、 他の音はペダルの効果なし |
持続させたい音を保持しながら、他の音は独立して演奏でき、 複雑な音響効果を生み出せる |
マフラーペダル (アップライトピアノ) |
ハンマーと弦の間にフェルト(布)が張られ、音を大幅に弱める | 音量が非常に小さくなり、自宅で周囲を気にせず練習ができる |
ピアノペダルの役割を理解したうえで、ペダルを正しく使い、演奏技術の向上につなげていきましょう。