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【フランス音楽留学】かかる費 用・奨学金について詳しく解説

Written by
2024.08.14
Megumi Komai
【執筆・監修】Megumi Komai

3歳からピアノを始め、神戸女学院大学音楽学部を卒業後、パリのエコールノルマル音楽院およびパリ郊外の音楽院において高等教育演奏家資格を取得。現地の音楽院にて7年以上に渡り教鞭を執っていました。日本およびフランスにてコンサート・リサイタル・公開レッスンでの通訳など様々な活動を幅広く行ってきました。ぜひみなさまに音楽やピアノの魅力を知っていただけるような記事を執筆していきます。

フランス留学を検討されていらっしゃる方、下記のような疑問はありませんか?

  • フランス音楽留学にかかる費用は?
  • 奨学金はもらえるのかな?申請方法は?
  • どうやってアパートを探したら良いのだろう?
  • パリに着いてからすぐに音楽演奏可能なアパートが見つかるのかな?
  • フランス語の勉強方法は?

今回は、パリに音楽留学で10年以上暮らしていた日本人が、上記のような疑問やフランス音楽留学について詳しく解説します。
フランス生活やフランスでの暮らしについての豆知識や現地の生情報、またフランスのおすすめの食材などについても解説しています。

フランスは、音楽を学ぶ人に打ってつけの国!

フランスは、音楽を学ぶ人に打ってつけの国!

私が音楽留学でフランスを選んだ理由は、大学時代に先輩がフランスに音楽留学に行かれていたのがきっかけです。
その先輩からいろいろな有益な情報やなぜフランスを選んだのかなど理由も聞いていました。
英国やドイツなど国はいろいろあっても、「音楽をやるならフランス!」とお勧めする情報なども事前にお伺いしており、そのような理由からフランスを選びました。

そして、一番の理由はフランス語です。
私の場合は、大学在学中に第二外国語でたまたまフランス語を選んでおりました。
そのために購入した「フランス語電子辞書」で、毎晩1フレーズずつ会話を流していました。
すると面白いように耳から覚えることが多く、一単語ずつというよりも、そのフレーズごと覚えてしまう場合が多かったのです。
フランス語の先生にもびっくりされたぐらいです。
それがきっかけで、フランス語って面白いなと興味が湧き、フランス語にも専念するようになりました。

音楽留学でフランスを選ぶメリット3つ

音楽留学でフランスを選ぶメリット3つ

学費が安い

フランスの学費の安さは世界一!

花の都フランス。
同時に、「芸術の街」とも呼ばれており、実は音楽やアートなど芸術をする人にとって非常に暮らしやすいと言われています。
その理由は何と言っても「学費が安い」ということ。
大雑把に言えば、日本の芸大や音大に比べてフランスでは4〜5分の1の学費で学校に通えるのです。
その他の費用は国が賄ってくれており、また社会保障も大変手厚くしっかりしているので、音楽などの芸術を極めたい人にとってはまさにうってつけの国なのです。

誰でも手当(補助金)を受け取れる

日本人などの外国人は申請すれば、手当金がもらえる!

上記にも記載しましたが、フランスは社会保障制度がとてもしっかりしている国です。
事故や怪我などの病院代もほとんど国がカバーしてくれたり、住宅手当などもほぼ全ての外国人が受け取れます。
私も、フランスに到着したばかりの頃は家賃や生活費で追われており、何とか少しでも節約したいとすぐに手当(Allocation:アロカシオン)の申請をしました。

お部屋の大きさや何人で住んでいるかによってもらえる手当金は異なりますが、学生の場合はほぼ300€前後(日本円でだいたい4.5〜5万円)ぐらいはもらえます。
また、万が一申請し忘れていた場合にも、後日「◯月からフランスに住んでいる」と申請すれば、過去分ももらえます。
このように社会保障や経済制度が大変しっかりしているので、そういった理由からもフランスへの留学はおすすめです。

世界最高峰のレッスンを受けられる

世界最高峰のレッスンを受けられる

フランスの音楽院(コンセルヴァトワール)のレベルは世界最高峰!

日本でも名誉教授として日本の音大に招待される教授方や、「フランスの⚪︎⚪︎大学教授から直接レッスンを受ける大チャンス!」などマスタークラスや講習会を受ける機会があります。
しかし実際には尊敬する教授からレッスンを受けられても、1回だけでなく継続して受けたいと思う方も多いはず。

もちろん日本の音大で本格的に音楽を学ばれている方のレベルアップや、通常日本では受けられないからこそ海外の本場のレッスンを受けられるチャンスではあります。
ですがやはり継続は力なり。
1回きりではなく、続けて教授にレッスンしていただくことで実力が身につきます。
ですから、本場フランスで実際に自ら赴き現地で継続して指導していただくのに越したことはありません。

一流の音楽家を多数輩出している歴史と実績を持つ音楽院(コンセルヴァトワール)が多いのも実はフランスなのです。
そのため「本場フランスで音楽を学んだ」というキャリアは、後の音楽家としての活動に大いに箔を付けてくれることは間違いありません。
現地で音楽の資格を取れば教員として教えられます。
また、たとえ日本に帰国したとしても「フランスで音楽を学んだ、フランスで資格を取得した」という肩書きは一生残りますので、後の音楽活動にも役立ってくれるでしょう。

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フランス音楽留学にかかる費用

フランス音楽留学にかかる費用

フランス音楽留学に必要な費用の詳細

学費

フランスで音楽留学するメリットの一つに、「学費が安い」という利点があります。
日本だと音大の場合、通常1年間でかかる費用は200〜250万円とかなり高めですが、フランスの音楽院の場合は、1年間でかかる費用は平均約10万円前後なのです。

ただ、こちらは公立(パリ市が運営している)の場合のみで、私立の音楽院(エコールノルマル音楽院・スコラカントルムなど)の場合は学費は平均約50万円前後します。
それでも、日本の4分の1程度の学費になるためフランスで音楽を学ぶのは大変おすすめなんです。
パリ地方音楽院とパリ市内にある17校の区立音楽院全ては、パリ市によって運営されており、音楽院は国や地方の税金で支えられています。
そのため音楽院の学費は、どんなに高くても13〜17万円です。
学費以外に健康保険料もあると見ておいたとしても、留学前に20万円用意できればまず問題なく留学できると考えておいて問題ないでしょう。

生活費の内訳

パリ市内はとにかく家賃も物価も高いです。
フランスで生活する場合、生活費の合計としては、少なくとも1000€(現在レート:171.58 円)=約17万円ぐらいは必要です。
ただ、これはパリではなく郊外に住む場合の話で、パリ市内だと1200-1400€ほど(約 20〜24万円)はかかると想定していただいた方が良いでしょう。

家賃

まず家賃ですが、パリ市内の場合1K(〜25平米)のアパートでも平均約700-800€(12〜 14万円)はかかります。
ただ、地区によってさまざまで、パリ市内で最も高い地区は16 区・7区です。
パリでは一般的に、南西部に行けば行くほど治安は良く、北東部に行けば行くほど治安は悪くなると言われています。
そして家賃もそれに比例します。

特に、パリ16区は最も治安が良く、それゆえに高級住宅街と言われています。
家賃はお高めですがその代わりにきちんとしたアパートが多いので、また治安もパリ市内の中では最も良いため女性の一人暮らしにはおすすめです。
逆に治安が悪い地区は18〜20区と言われており、パリの北東部に位置するエリアです。
黒人・移民が多い地区で治安もあまり良くありません。
またアパート自体もきちんと管理が行き届いていなかったりと色々と不安が多い地区です。
ですがその代わりに、家賃も安めで借りられるアパートは多いです。

家賃はかかっても良いから安全な治安が良い地区を選びたいなら南西部(16区・15区・7 区など)を選びましょう。
逆に治安はそれほど気にしないので、家賃が安い方が良い方なら北東部(18〜20区)を選ばれると良いと思います。

ただ、パリ近郊(パリに近いけれどパリではなく郊外)の場合は、家賃もぐっと安くなります。
そのため実を言うと「パリ近郊に住みながら、パリ市内の音楽院に通うという方法」が最もおすすめです。
パリ近郊で治安が良い場所といえば、Boulogne-Billancourt(ブローニュ・ビヤンクール)、Issy-les Moulineaux(イッシ・レ・ムリノー)など、パリから見て南西部にある都市が最も治安が良くおすすめです。
逆に、パリから見て北東部にあるSaint-Denis(サン・ドニ)やAubervilliers(オーベルヴィリエ)、Montreuil(モントルイユ)やVincennes(ヴァンセンヌ)などは治安が非常に悪いためおすすめしません。

水道・光熱費

次に水道・光熱費(フランスではEDFと言い、フランスの最大電力会社)です。
フランスでの光熱費は電気・ガス・水道で平均約100€前後(1万7千円)が相場となっています。
ただ暖房がもともとアパートにあるセントラルヒーターの場合や、お湯をそれほど使わない夏など、お部屋の大きさや季節によっても変わります。

食費

実はフランスで最も生活費として高くつくのが食費とも言えます。
フランスは美食の国としても有名なため、外食が習慣化すると約300-400€(5〜7万円)とかなり高くなります。
ただこれは外食をよくする方で、自炊をする方は平均で150-200€(2.5〜3.5万円)ぐらいと考えておけば良いでしょう。

生活用品

生活用品は、洗剤やシャンプー、トイレットペーパーなどですが、こちらは日本とそれほど値段も変わりません。
一人暮らしの場合は5千円も見ておけば問題ないでしょう。

洋服

洋服の値段も日本とほとんど変わらず、その日のレートによって少しだけ変動する程度と考えておけば良いでしょう。
ただパリでは1月と7月にソルドといって、大幅値下げされるバーゲン期間が1ヶ月ほどありますので、この期間を利用して購入される方も多いです。

インターネット・携帯料金

インターネット(Wi-fi)は平均でだいたい月30-35 ユーロ(約5〜6千円)、携帯料金は20-25€(3〜3.5千円)が相場です。

またフランスでは Whatsapp(ワッツアップ)という日本でいうLINEのようなアプリが主流です。
私の学校の先生も使っていらっしゃるので、ほぼ全てのフランス人が使用している無料会話アプリで、日本とも無料で通話・会話ができてとても便利です。
ぜひ現地に着いたらダウンロードすることをおすすめします。
もちろんLINEやSkypeからも日本と無料通話・会話ができるので安心してくださいね。

交通費

パリ市内で通常生活する分にはNavigo (ナヴィゴ)という定期券を購入すれば、切符を購入するよりも安く済みます。
Navigoを使用した場合には乗るゾーンごとにもよりますが、おおまかに分けると下記の料金になります。

【パリ市内(1-2ゾーン)の場合】

  • 1日券=約8.45€(1400円)
  • 1週間券=約25€(4000円)
  • 1ヶ月券=約75€(1万3千円)
  • 1年券=約850€(14万5千円)

その他

上記以外の費用として、もし嗜好品(タバコ・お酒)など楽しむ場合にはもう少しかかると見ていただいた方が良いでしょう。
また教材費や娯楽なども、それぞれの生活スタイルに合わせてそれなりにかかってはきますが、教材費はたとえば新品で購入するよりも、「Leboncoin」「Ebay」という中古フリマサイトで中古で安く入手できます。
(日本でいうヤフオク、メルカリのようなサイトで、一度使用した商品を個人で安く売り買いできるサイトです。

娯楽費、趣味や習い事、遊びに使う費用ですがこちらも日本と同じぐらいと考えていただいて良いでしょう。
趣味などを全くゼロにするというのは難しいため、先月は旅行やレジャーで少し贅沢しすぎたから今月は少し倹約しよう、など臨機応変に対応して行けたら良いですね。
上記の費用はあくまでも目安ですので、一概には言えませんがぜひ参考にしてみてくださいね。

フランス音楽留学の奨学金情報

フランス音楽留学の奨学金情報

フランス政府奨学金制度

フランスに留学を希望するすべての学生が対象となります。
それでは、奨学金制度を紹介します。

フランス政府や財団の奨学金プログラム

フランス大使館は、フランスで勉強したい日本の学生を毎年募集しています。
これは、フランスと日本の間で良い教育プログラムを作るためです。
応募者には書類審査による一次選考が行なわれ、通過者は面接でフランス留学の計画を発表し、日本での学びとフランスでの勉強がどうつながっているかを説明する必要があります。
2025年度-2026年度の奨学金の募集は、2024年9月20日から11月20日までです。

下記から申請ができます。

引用元:在日フランス大使館HP

音楽院が提供する奨学金

通常、フランス音楽留学をする場合には日本でビザを取り、現地フランスで入学試験を受けて合格すれば入学するのが一般的です。
しかし、中には入学するためにまず日本でオーディションを受けなければならない場合があります(特にエコールノルマル音楽院など私立の場合)。
そのような場合にはオーディション時に特に優秀な成績で合格した方には奨学金制度(授業料全額免除)が適用されます。
下記は、エコールノルマル音楽院と唯一の公認提携機関である名古屋音楽学校のホームページです。

引用元:名古屋音楽学校HP

申請方法と必要な書類

申請方法はほとんどがオンラインでできます。
希望する学校のホームページから« Bourse(奨学金)»という欄が必ずありますので確認しましょう。
音楽院が提供する奨学金を受けたい場合には、まずはその音楽院と提携している日本の音大に連絡を取り、オーディションを受けます。
その成績次第で、音楽院が提供する奨学金を受け取ることができます。
フランス政府から奨学金を受けたい場合には、下記から登録します。

引用元:在日フランス大使館HP

必要な書類は、それぞれの音楽院によって異なりますが、ほぼ下記の通りになります。

・出願登録用紙

オンラインでダウンロードでき、詳細は各学校のホームページから確認できます。

・ CV(Curriculum vitae)

「カリキュラム・ビタエ」といい、フランスでは履歴書のこと。
フランス語もしくは英語で提出しましょう。
日本語だと受け付けてくれません。
過去3ヶ月以内に撮影したカラー証明写真が必要です。

・推薦状(こちらもフランス語または英語が必要)

希望する音楽院の指導を受けたい教授からの推薦状です。

・語学力を証明する書類

こちらは必ず必要となります。
フランス現地で音楽院に入学し、授業や講義を受けるために必要なフランス語の能力を証明するものです。
TCF、DALF、DELF(フランス文部省認定フランス語試験)のいずれかの合格証が必要です。
ただ、上記の「フランス語能力」に不安を抱えている方もいらっしゃるはず。
フランス語の能力が不足している場合には、今からでも遅くないので、少しずつフランス語能力を付けていきましょう。

おすすめの勉強法としては、「YouTubeのフランス語動画を字幕付きで見る」という勉強方法です。
YouTubeではたくさんのフランス語の動画(ドキュメンタリー番組、ドラマ、お笑い、コメディーなど)が字幕付きで見られるようになっています。
わからないフレーズや単語が出てきた時に、その都度画面を止めて辞書で意味を調べながら、耳から覚えられるので非常におすすめです。

おすすめのyoutubeチャンネル

Easy French

« Easy French »(イージー・フレンチ)というYouTubeのチャンネルで、フランス語初心者向けのチャンネルです。
全ての動画に字幕が付いており、口の動きと耳から覚えられます。
フランス語初心者にとってとてもわかりやすく、ゆっくりしたスピードで話してくれる動画もあるのでおすすめです。

また、フランス語の教室に通うのもおすすめですが、どうしても通うとなると近くに見つからなかったり手間がかかったりしてしまいますよね。
そのような場合には、下記のような在宅でフランス語が学べるサイトが便利です。

おすすめのサイト

Cafe Talk

« Cafe Talk »(カフェトーク)というサイトで、フランス語以外にも英語やドイツ語、ピアノやヴァイオリンなどの楽器などをオンラインで教えてくれる講師を探せます。
お値段もお手頃なので、まずは一度試しに体験レッスンを受けてみるのもおすすめです。
私自身も登録しており、フランス語の先生も経歴やプロフィールなどを見ながら、自分に合いそうな先生を見つけられるのでぜひ一度登録してみてくださいね。

以上がフランス語を習得できるおすすめ方法となります。

必要書類としては上記以外に、学校によっては「在学(卒業)証明書」、「成績証明書」、「自己PR書」などが必要となります。
いずれにしても奨学金を得るためには、いかにご自身が「フランスに何としてでも音楽留学したい!」という強い意志をアピールすることが最も重要になります。

奨学金を得るためのアドバイス

上記でも少し触れましたが、奨学金を得るためには、いかに「フランスに何としてでも音楽留学したい!」という強い意志とモチベーションを見せられるかが伴になります。
フランス政府奨学金にしろ音楽院提供の奨学金にしろ、面接や演奏披露などでやる気をアピールできる機会が必ず与えられます。
日本での学歴と、なぜそのフランスの学校に留学したいのかという一貫性を示すのがポイントです。

住む場所はどう選ぶ?

住む場所はどう選ぶ?

住居の選び方(寮、アパート、ホストファミリー)

フランスでの住居の選び方

フランスでの住居先の選び方は、主に下記の6通りあります。

  • 市によって運営されている学生寮を探す
  • 不動産会社を通して部屋を探す
  • 日本人向けサイトから部屋を探す
  • 現地のサイトから部屋を探す
  • ルームシェアをする
  • ホームステイをする

・市によって運営されている学生寮を探す

フランス音楽留学を考えている音楽家の方に朗報があります。
パリ4区に、「Cité Internationale des Arts(シテ・インターナショナル・デザール)」という芸術家のための集合施設があります。

これは、フランス政府が音楽や芸術をしたい人々に向けて、活動に没頭できるようにと、一般のパリ市内の家賃よりも安く入居できるアパートのことです。
1965年から世界各国の芸術家たちを受け入れています。

実はパリ市内では、音楽演奏可能物件を見つけることは相当至難の業なんです。
というのも、パリでは古き良きものを大事にするという風習から、何百年も前の古いアパートがとても多いです。
それゆえ水漏れやヒビなど建物のトラブルや壁が薄いため騒音、隣人の声や生活音がうるさく、耳栓なしでは寝られないなどといった問題が日常的に起こります。
日本と同じように、「アパートさえ見つかればいつでも音楽演奏ができるだろう」と考えるのは大変危険です。

そんな時救世主となるのが、この「Cité des Arts(シテ・デザール)」

フランス政府とパリ市によって建てられた、まさに音楽家・芸術家のための活動研究施設(アーティスト・レジデンス)なのです。
防音装置、壁は厚く、隣の音はパリ市内のアパートに比べてほぼ聞こえないようにできています。
また、ピアノ科の生徒にはそれぞれ各一台のピアノが部屋に設置されており、好きな時間に練習ができます。
ただ、このCité des Arts(シテ・デザール)、入居したい人が多いため、毎年入居争奪戦が行われており、倍率は何と20倍とも言われているほど。
20人に1人のみが選ばれる可能性があるという、狭き門なのです。

引用元:Cité des Arts(シテ・デザール)

入居希望者に必要な書類は、「申請書・履歴書・活動履歴・ポートフォリオ(電子データ)、推薦状(在籍している音大などのものが望ましい)」となります。

・不動産会社を通して部屋を探す

パリ不動産」「Jafis」「MIYAKOPARIS(みやこ不動産)」などが有名です。

これらのサイトへアクセスし、希望条件を入力することでそれぞれの不動産を通じて滞在場所を探せます。
上記は全て日本語が通じるフランスの不動産です。
もちろんこれら以外にも不動産はありますが、音楽演奏可能物件を所持している不動産のみ紹介しております。

・日本人向けサイトから部屋を探す

Ovni」 「Jimomo Paris」「MixB」が、フランス内で住居先を探すことができる日本人向けサイトとして有名です。

・現地のサイトから部屋を探す

現地フランス人向け賃貸サイトとして有名なのは「PAP(パップ)」「Seloger(スロジェ)」などがあります。

・ルームシェアをする

近年日本でもシェアハウスが人気ですね。
フランスでは昔から「Collocation(コロカシオン)」と言って、知らない人とお風呂場やトイレなどを共有して暮らす生活スタイルがとても浸透しています。
複数の人数で生活するため、家賃や生活費(水道代など)を抑えられるので特に学生さんたちの間ではこのコロカシオンを行う人が多いです。
コロカシオンができるお部屋探しは、上記の日本人向けサイト「Ovni」が便利です。
また「Jimomo Paris」や「MixB」にもたまに同居できる人を探している掲示板が出ていますので定期的にチェックしてみることをおすすめします。

・ホームステイをする

一人で住むより、フランスという文化に慣れたい方やフランス人と一緒に生活してみたい方にぴったりなのが、ホームステイです。
一人だと体験できない、現地の文化や言葉やお料理なども習得できます。

ホームステイでいちばんのメリットは、「異文化体験ができる」ということ。
フランス人というものがどのような人種なのか、文化の違い、ライフスタイル、食生活、家族の関係など、独特な習慣などを知ることができます。

最初からピアノが設置してあり、音楽家を受け入れているホームステイ先もありますので、興味のある方はぜひ下記のサイトから調べてみることをおすすめします。

下記のサイトからフランスでホームステイ(受け入れてくれるホストファミリー)先を探すことができます。

引用元:Homestayweb

探し方は簡単。
「フランスのホストファミリーを探す」のところで探したい街(例えば「Paris」)を入力して検索するだけ。
すると下記のように、Paris市内でホームステイを行っている家庭の一覧が出てきます。

引用元:Homestayweb

また、下記の「アフィニティ」というサイトでも、フランスのホームステイ先・ホストファミリーの受け入れ先の相談ができます。

引用元:フランス留学のアフィニティ

ご自身が希望される条件(ピアノあり・音楽家受け入れ可能)など条件を詳しく指定し、良さそうなホームステイ先があればぜひコンタクトを取ってみてくださいね。

食事の取り方とおすすめの食材

せっかくフランスに来たからには、フランスにしか売っていないものを食べてみたいですよね。
在仏10年以上の筆者のおすすめフランス食材は、「アーティチョーク」「ジロール茸」です。

・「アーティチョーク」

「アーティチョーク」

プロヴァンス発祥の「バリゴールアーティチョーク」という料理。

名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、日本ではまだ馴染みの少ない野菜です。
私も何回かフランスで購入して調理したことがありますが、味はゆりねのような優しい甘味がありホクホクした食感です。

お料理に添えるととってもまろやかな風味と見た目もおしゃれさを演出してくれるので、フランスではとても重宝する食材の一つです。

一般的なメジャーな食べ方としては、皮を剥いて茹でていただくというシンプルな食べ方です。

茹で方はいたって簡単。
レモン汁や塩を少しいれたたっぷりのお湯でまるごと(30分〜 50分ほど)茹で、外側についている皮の部分をひとつひとつ剥がしていきます。
そして最後に残った根元についている肉の部分をいただくのです。
最初は皮を剥くのにも手間がかかりますが、慣れてくるととても重宝する食材ですので、ぜひ現地で調達してみてくださいね。

・「ジロール茸」

「ジロール茸」

ジロール茸のオムレツ。

フランスではとてもメジャーなキノコ、「ジロール茸」。
日本語では「アンズタケ」と言うそうです。
フランスはもちろんヨーロッパを代表するキノコの一種で、パリのマルシェ(青空市場)に行くと、特に春から夏、5月〜10月頃にかけて必ず目にするキノコです。

黄色く鮮やかな色のキノコで、嗅いでみるとほのかに土の香りがします。

食べ方はいたってシンプル。
土を少し落とし、フライパンで油で炒めたり、お湯で少し茹でて温野菜にして食べたり、またオムレツに入れてもとっても美味しいですよ。
現地フランス人はパスタやリゾット、またオムレツなどの卵と一緒に食べるのが好きだそうで、ジロール茸が入ったオムレツも現地のレストランでよく見かけます。

マルシェやスーパーでジロール茸を見かけたらぜひ試してみてくださいね。

【実体験◎】フランスでの留学生活

【実体験◎】フランスでの留学生活

フランスの常識位は日本の常識ではない

トラブルは日常茶飯事?!

フランスでの留学生活は、正直に言えば、日本でしか生活してこなかった日本人にすれば結構大変で苦労することが多いです。
理由は主に下記の点が多いです。

  • 日本の常識はフランスでは通用しない
  • 日本人とフランス人のリアクションの差が大きすぎる
  • フランス語が難しすぎる
  • 日本とフランスの文化の違いがありすぎる
  • フランスでは日本では起きなかった様々なトラブルが起きすぎる

特に最後の「フランスでは様々なトラブルが起きすぎる」というのは、フランスに行った日本人ならまず誰しもが思うことなので注意しましょう。
フランス=予想外のトラブルは付きものだということを肝に銘じておきましょう。
例えば下記のようなことはフランスではまずありえません。

  • 電車は定刻(時刻通り)に来る
  • 店員さんはいつも愛想良く「お客様は神様」扱いをされる
  • スーパーではカゴごと渡したらあとは全部やってくれる
  • 道路は清掃員の人が常に掃除をしていて綺麗
  • 病院や行政の手続きの書類は審査が早い

上記のような「日本での当たり前のこと」は、決して「フランスでは当たり前ではない」ということです。

大事な書類を無くされたり(しかもフランス人はプライドが高いので簡単には謝らない)することはしょっちゅう。
大切な行政の手続きは少なくとも3ヶ月以上はかかるのが当たり前、電車は遅延・停滞は日常茶飯事です。

スーパーではお釣りはぶん投げて返されることは当たり前(現地人でも)ということを知っておきましょう。
レジ係は常に仏頂面、お客様は神様どころか「商品を売ってやっている」的な態度なのです。
レジではカゴから自分で商品を置いていかなければ、スキャンもしてくれません。
そう、全てが「自分から行動を起こさなければ何もしてくれない」国なのです。
ただ、そういった意味では、裏を返せば「自立心を養う」ということでもあるのです。

日本では全てが法律で守られており、電車や通りなどでも、何かがあればすぐに警察が駆けつけてくれて、法律や治安に守られています。

ですがフランスでは「自由奔放地帯」で、全ての責任が「自分に任されている」のです。
タトゥーやマリファナをやるにしても、合法ではあるけれど全ては自分の責任になるのです。

被害(スリ、強盗、暴行など)があっても、フランスではあまりにも被害が多すぎて、警察も対処ができない状態です。
もちろん数日経てば警察も動いてはくれますが、スリなど軽犯罪に関しては被害届を出してから数日後に動いてくれることもしばしば。
それだけ、犯罪件数が多いということなんです。
フランスでは「自分の身は自分で守るしかない」が故に、フランス人家庭では、自分の子供たちに「何があっても、自分の意見ははっきりと主張すること」が大事だと幼少期から教えます。

自分の意見や感情をはっきり意思表示することは、自分を守る術であり、時と場合によっては相手のためでもあるからです。

ただ、フランス人の良いところは「裏表がない」ところです。
あまりにも感情をストレートに正直に表現するため、そのあまりにもの無邪気さ、自由奔放さにとても感動してしまうこともあるぐらいです。

嬉しいことがあったら、急に道端で歌い出したり、踊り出してしまったり、でも誰も引いたりしません。
むしろ一緒になって喜んでくれるのです。

悲しいことがあって泣いていたら、「どうしたの?何があったの?」と、まるで自分のことのように声をかけてくれて、一緒に悲しんでくれたりします。

そして、体の弱い方やご老人の方には、真っ先に電車やバスの席を譲ります。
急に具合が悪くなりしゃがんでいる人を見かけたら、人目を気にせず真っ先に助けに行きます。
そんなふうに、「自分のことをさておいても、他人を大切にする」「誰かの喜びは自分の喜びであり、誰かの悲しみは自分の悲しみでもある」という素晴らしい精神に、私はフランスで何度も出会ってきました。

その度に感動して、日本ではあまり出会わなかった光景だったので、涙して心がとても動かされました。

外国人は特に表現力が豊かだと昔から言いますが、フランス人は特に素直にストレートに感情を表現する人種だと思います。

だからこそ、嫌なことがあったら「私はここが嫌なんです」と主張することが大事なんです。
その大切さをわかっているからこそ、共感できる部分があったら共感し、一緒に助け合い、笑い合い、協調性を養っていくことができるのです。

フランス人は本当に、常に自分の心の声に素直に生きているなと思います。
そういった点では日本よりも行きやすく暮らしやすい、良い意味で自由な国なのかなとも思います。

日本とフランス、どちらの国も一長一短あります。
でも、だからこそ双方の国が、それぞれの良いところをさらに伸ばして、良い部分をお互いに取り入れていけたら良いなと思います。

音楽、言語、文化、フランスで学んだ全てが人生の宝物になる

音楽、言語、文化、フランスで学んだ全てが人生の宝物になる

日本にずっと住んでいても分からなかったこと、フランスに行って初めて分かったことは本当にたくさんあります。
その全てが後になってかけがえのない素晴らしい人生の経験になることは間違いないです。

特に下記に当てはまるような人にはおすすめです。

  • 日本でやりたいことが見つからない
  • 人目が気になる
  • 日本の窮屈なシステムや暮らしが少し息苦しい時がある
  • 日本とは違う文化に触れてみたい
  • 違った角度から物事を考えられるようになりたい

このような方はぜひ、フランスに留学してみることをおすすめします。

フランス人は小さいことは気にしない人が多いので、日本人にありがちな「他人からどう思われているのか気になる」「人目を気にしてしまう」という人には特に合っていると思います。

今までとは違った角度から物事を見ることができるようになり、「こういう考え方もあるんだ」と視野が広がります。
そして人目が気にならなくなり、広い観点で物事を見ることができるようになり、より多くの意見を聞くことができるようになります。

音楽を通して、またフランスという異国の地に住むことで人間的にもとても成長できるようになります。
今までとは違った自分に出会ってみたい方には、ぜひフランス音楽留学はおすすめです。

今回執筆しました留学についての情報が、留学を検討されている方の参考になれば幸いです。

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