クラシックピアノをこよなく愛するフリーライター。子どものころピアノを習うも挫折。それでもピアノへの愛着は捨てられず、ピアノ曲を聞いたりコーラスを通してピアノと関わっています。一人でも楽しめるだけでなく、オーケストラの代役にもなるピアノの魅力を、記事を通し伝えたいと奮闘中。
目次
ピアノを始めるなら、自宅にピアノが必要です。
しかし、ピアノは決して安い買い物ではありませんので
どんなピアノを買ったらいいのかは、悩むところです。
せっかくピアノを始めるのですから、ピアノの品質から値段まで、納得のいくピアノ選びをしたいですよね。
お気に入りのピアノなら、これからの練習のテンションも上がるもの。
そこで、今回は失敗しないピアノの選び方や値段相場、新品と中古ピアノのメリット・デメリットなども解説します。
品質から値段まで納得のいくピアノ選びで、あなたの生活に潤いをプラスしましょう。
まずはピアノの種類を簡単に解説!
ピアノといっても大きく3つの種類があります。
ピアノの種類
- グランドピアノ
- アップライトピアノ
- 電子ピアノ
この3種類のピアノは大きさも機能も違います。
家のスペースやライフスタイルによって自分に合ったピアノを選びましょう。
それぞれのピアノの特徴や仕様について解説していきます。
グランドピアノ
グランドピアノはピアノ本来の形をしているピアノです。
家庭用はもちろん、学校や施設、コンサートホールなどに置かれているのをよく目にしますよね。
- 弦が水平に張られている
- 音の響きが豊か
- 下からハンマーが弦を叩いて音を出す
- ハンマーの戻りが早く連打もスムーズ
サイズ
高さ:1m前後
幅:150cm前後
奥行:150~160cm(家庭用)~270cm以上のコンサート用など大きさはさまざま
重さ:300~420kgほど
グランドピアノのペダルは3つあり、それぞれ機能が違います。
グランドピアノのペダルの役割
ペダルの名前 | 位置 | ペダルの働き | 音の変化 |
---|---|---|---|
ソフトペダル | 左 | 鍵盤を右移動させ叩く弦を 3本から2本にする |
音量調整、音色を変える |
ソステヌートペダル | 中央 | キーを弾いた後ペダルを踏むと ダンパーがあがったまま戻らない |
ひとつの音や和音を 響かせたまま演奏ができる |
ラウド(ダンパー)ペダル | 右 | ペダルを踏むと ダンパーが弦から離れる |
長く音を振動させる 直接音と反射音を響かせる |
グランドピアノは、弦が水平に張られ響板も奥にあり音がクリアに響くように作られています。
ハンマーも重力によって戻るので、連打をしても音がとぶこともなく豊かな表現ができる構造になっています。
本格的にプロを目指すなら、グランドピアノがおすすめです。
グランドピアノは大型の楽器なので、家庭で使うなら奥行170cm以下のものがよいでしょう。
アップライトピアノ
アップライトピアノは、家庭用として普及しました。
グランドピアノの水平に張られている弦を鉛直方向に配置し、奥行を短くすることで、場所を選ばずピアノを楽しめる形になっています。
- 弦が鉛直方向に張られている
- ハンマーが弦を横から叩いて音を出す
- ハンマーが戻りにくい形のため連打すると音が抜けることもある
- 響板が背面にあるため音がこもりがち
サイズ
高さ:112~130cm
幅:140~155cm
奥行:50~60cm
重さ:175~300kg
アップライトのピアノのペダルはグランドピアノのペダルと少し役割が違います。
グランドピアノほどの豊かな表現は難しいですが、家庭用として十分な機能があります。
アップライトピアノのペダルの役割
ペダルの名前 | 位置 | ペダルの働き | 音の変化 |
---|---|---|---|
ソフトペダル | 左 | ハンマーレールを押し上げて 弦との距離を縮める |
音量を弱める |
マフラーペダル | 中央 | 弦とハンマーの間にフェルト の幕をおろす |
音量を下げる |
ラウド(ダンパー)ペダル | 右 | 踏むとダンパーが 弦から離れる |
長く音を振動させる |
アップライトピアノは場所をとらず、値段もグランドピアノほど高くありません。
ピアノを始めたばかりの人や趣味として楽しみたい人には最適なピアノといえるでしょう。
電子ピアノ
電子ピアノは、鍵盤の動きをセンサーで読み取って合成もしくは録音された音を出すピアノです。
コンパクトなので、気軽にピアノを楽しみたい方に向いています。
- コンパクトでアップライトピアノのようなものから持ち運び可能なものまでさまざま
- ヘッドホンをつければ夜でも演奏が可能
- 消音して弾ける
- 録音機能や自動演奏機能がある
- 調律の必要がない
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【保存版】スタインウェイの特徴をご紹介|値段の相場は?誕生までの歴史も解説!
「ピアノの王者」と呼ばれる高級ピアノのスタインウェイについて、お値段の相場や特徴から誕生までの歴史などを解説します!
電子ピアノのサイズは、各メーカーの機種によってもさまざまあります。
テーブルの上において弾けるものから、アップライトピアノのような大きさのものまで多岐にわたります。
高価格帯では最新のデジタル技術により生ピアノの弾き心地にかなり迫るものもあるので、音色にこだわって選ぶことも可能です。
軽いものでは40kg弱、大きなものでは100kg前後です。
ピアノの音量も調節でき、ヘッドホンをつけて夜でも演奏できることから、大人になって楽しみとしてピアノを始める方や忙しくて夜しか弾けない方に向いています。
音量が調節できるので、ご近所との騒音トラブルになるリスクも減らせるのは、電子ピアノならではの便利なところです。
小型の電子ピアノはピアノを始めたいけど続けるかどうかわからないという方の間で人気があります。
【新品と中古を比較】ピアノの値段相場
それでは、実際にピアノを購入するにあたって、新品と中古のどちらのピアノを購入したらよいのかを以下のポイントにしぼって比較していきましょう。
- ピアノの種類ごとの値段
- 新品ピアノと中古ピアノの値段
- ブランド別のピアノの値段
それぞれの値段を比べながら、あなたに合うピアノ選びの参考になさってくださいね!
グランドピアノの新品・中古の値段は?
グランドピアノの値段相場は、メーカーや機種によって変わってきます。
新品のグランドピアノの値段相場は以下のとおりです。
- 家庭用のコンパクトなもの 100万円~300万円
- コンサート用の大きなもの 1,000万円~数千万円
売れ筋のグランドピアノの値段は、家庭用 200万円前後
家庭用であれば、奥行170㎝以下のものがよいでしょう。
中古のグランドピアノの値段相場は以下のとおりです。
- 新品の値段の40~60%
人気のメーカーや型番によっても値引き率が変わってきます。
製造年の新しいものやメンテナンスが行き届いているもの、部品の劣化が進んでいないものを見極めて購入しましょう。
アップライトピアノの新品・中古値段は?
アップライトピアノを新品で購入した場合の値段相場は以下のとおりです。
- 新品の値段:40万円程度から数百万円
売れ筋は、家庭用70万円前後
グランドピアノより価格が低めです。
アップライトピアノもメーカーや型番によって値段に幅があります。
中古のアップライトピアノの値段相場は以下のとおりです。
- 中古品の値段:新品の半額ほど
中古の値段相場は25~100万円
中古ピアノについてもメーカーや機種によって幅があります。
あまりに安い中古ピアノは、メンテナンスが行き届いていない可能性がありますので、慎重に選びましょう。
電子ピアノの新品・中古の値段は?
電子ピアノの値段相場は以下のとおりです。
- 卓上に置けるタイプ:1~10万円
- 電子ピアノタイプ:5万円前後~40万円前後
卓上に置けるコンパクトなものから、ステージでの演奏もできるタイプまで電子ピアノの形、種類はさまざまです。
高額の価格帯の電子ピアノは、鍵盤が木製だったりピアノ本体の仕様に高級感があります。
音質も生ピアノに近く、表現の幅も広がるので本格的にピアノを始めたいなら、20万円以上のピアノがおすすめです。
中古電子ピアノの値段相場は以下のとおりです。
- 卓上に置けるタイプ:数千円~3万円前後
- 電子ピアノタイプ:新品価格の半額程度
フリマアプリでは2万円前後~10万円前後
ブランド別ピアノの値段を比較!
ピアノはブランドによっても値段のバラつきがあります。
そこで、ここではブランドごとに新品の値段と中古の値段相場をみていきましょう。
グランドピアノの値段相場
ブランド | 新品 | 中古 |
---|---|---|
ヤマハ | 130万円~ | 100万円~ |
カワイ | 140万円~ | 100万円~ |
スタンウェイ | 1,300万円~ (2023.01新品価格一覧参照) |
700万円~ |
アップライトピアノの値段相場
ブランド | 新品 | 中古 |
---|---|---|
ヤマハ | 70~270万円 | 30~100万円 |
カワイ | 50~200万円 | 25~70万円 |
スタンウェイ | 750万円以上 (2023.01新品価格一覧参照) |
250万円~(z114) |
電子ピアノの値段相場
ブランド | 新品 | 中古 |
---|---|---|
ヤマハ | 17~45万円前後 | 30~50%引 |
Roland | 10~30万円前後 | 30~50%引 |
カシオ | 3~35万円前後 | 30~50%引 |
参照:ヤマハ公式、Roland(島村楽器オンラインストア)、カシオ公式
安いピアノと高いピアノ、価格の差があるのはどうして?
ピアノはメーカーや機種によって価格に幅があります。
ピアノの価格に差がでてしまう要因は、次の3つの違いがあるからです。
- 生産国が違う
- 素材や塗装が違う
- 工程が違う
順番に解説します。
生産国が違う
高価なピアノは、メーカーのある自国で作られています。
海外の生産拠点でも同様のピアノが製造されていますが、ピアノによっては、細かい部品の部分がプラスチックだったり、蝶番の形が違ったりしています。
そのため、同じメーカーであっても海外生産品のほうの値段設定が低めになっている場合があります。
素材や塗装が違う
高価なピアノは鍵盤やフレームの金属、木材などに厳選素材が使われています。
それに伴って外側の塗装も輝きのある丁寧な仕上げとなっています。
ヤマハのコンサートピアノ『CFX』の素材の一部をあげてみましょう。
- 曲線支柱はマホガニーとブナを使用。音に深みとぬくもりが感じられる
- フレームは自社工場で1台ずつ鋳造
- フェルトハンマーにはドイツ製の良質なフェルトを使用
マホガニーは世界3大銘木のひとつといわれる良質な木材です。
フレームも自社工場で鋳造するなど、部品にもこだわっています。
徹底的に良い音色を出すために最適な素材を取り揃えていることがわかりますね。
電子ピアノは高価格帯のものになればなるほど、鍵盤のタッチや音色が生ピアノに近くなります。
電子部品の耐久性や機能性も格段にアップするので、電子ピアノで本格的にピアノを楽しみたい方におすすめです。
工程が違う
一般的なピアノは、機械を使って大量生産されているため、値段が抑えられています。
一方、高価なピアノは製造工程も違います。
世界最高級のピアノとして知られるスタインウェイのピアノの工程を例にあげましょう。
スタインウェイのピアノは1853年の創業以来、経験豊富な職人が1万2千にも及ぶ部品の加工・組み立てを手作業で制作しています。
完成まで1年ほどかかるといわれる高品質のピアノです。
多くのピアニストに愛用される理由は丁寧な製造工程から生まれる高品質な音色なのでしょう。
新品か中古か?自分に合うピアノを選ぶポイント
ピアノの値段の目安がわかっても、新品は新品の、中古には中古の良さがあります。
新品の音色や響きをとるか、価格でお得な中古を買うかは悩みどころですよね。
優先すべきは今後、ピアノとどう向き合っていきたいのかが基準になります。
気軽にピアノを始めたいのか、本格的にピアノを学んでいきたいのかによってピアノを選ぶとよいでしょう。
長く楽しみたいならば長く使えるものを、とにかく始めたい、楽しみたいという方は、予算内で買える状態のよいピアノを選ぶのがおすすめです。
まずは、ピアノの寿命を知って値段に惑わされないピアノ選びをしましょう。
ピアノの寿命
購入したピアノが何年もつかを知らないと、自分にとって本当に価値があるのか、コストパフォーマンスがよいのかがわかりません。
特に中古を購入する場合、あと何年もつのかを知った上で購入しないと後悔する可能性があります。
そこで、アコースティックピアノと電子ピアノそれぞれの寿命について解説しましょう
アコースティックピアノの寿命
- 適宜にメンテナンスを行った場合50年といわれている
- 買取できないボーダーラインは30年
グランドピアノやアップライトピアノのようなアコースティックピアノの寿命は、メンテナンスを適宜行えば、数十年持つといわれています。100年持つという説もあるほどです。
ただし、弦やハンマーなどは劣化してくるため新品に交換する必要があります。
電子ピアノの寿命
電子ピアノは部品が故障しない限りは使用可能です。
電子ピアノの寿命
- 10~15年ほどといわれている
- 生産終了した機種の部品保存期間は7年
電子ピアノは新製品が次々に発売されています。
すでに生産終了となってしまった機種は、生産終了から7年過ぎてしまうと部品保存期間も終了してしまいます。
このタイミングで故障してしまった場合修理ができませんので、製造年と生産終了品なのかどうかは買う前に確認しておきましょう。
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新品・中古ピアノのメリット、デメリットは?
それでは、新品と中古のピアノそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
新品のピアノを選ぶメリット・デメリットは以下のとおりです。
- 音色がよく見た目が綺麗
- 長く使える
- 気に入った機種を選べる
- 価格が高い
新品のピアノは、自分の好みに合ったピアノを長く使えますし、部品も新しいため部品交換や故障の心配もありません。
ピアニストを目指したい、本格的にピアノを習得したいなら、新品のピアノがおすすめです。
中古のピアノのメリット・デメリットは以下のとおりです。
- 価格が安い
- メンテナンスに費用がかかる
- 大幅な修理が必要になる場合がある
中古ピアノは、とりあえずピアノを楽しみたい、趣味として学びたい方に向いています。
中古のピアノは価格が安く抑えられる一方で、ピアノによっては音が狂いやすかったり、部品が劣化することもあります。
電子ピアノの場合は、生産終了によって修理が不可能になってしまうことも。
中古品を選ぶ際は、メンテナンスが行き届いているピアノであるか、年式などをチェックして慎重に選びましょう。
実際にピアノを弾いてみて音色を確かめてから買うのがおすすめです。
中古ピアノを選ぶ際の注意点
中古品の値段は、グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノそれぞれの型番や年式によって価格が変わります。
また、同じ型番、年式のピアノであってもピアノ自体の状態によって値段が変わってきますので、価格だけで選ぶのは危険です。
中古ピアノの値段に差が出るのは次のような理由があります。
- 人気のメーカーや型番
- ピアノの状態
- 製造年
人気のメーカーであり、ピアノの状態が良く製造年が新しいものほど、値段が高めになります。
中古ピアノを買う際は製品の状態をよく確かめて信頼のおける販売店で購入しましょう。
できたら試弾させてもらって納得のいくピアノを選ぶのがおすすめです。
ピアノの値段は新品・中古品それぞれの良さを知ろう!
ピアノを購入するなら、新品と中古品、それぞれのメリット・デメリットを押さえた上で選びましょう。
新品のピアノは、高品質のピアノを長く使えるメリットがありますので、本格的にピアノを習得したい、将来的にプロを目指したい方に向いています。
中古のピアノは、価格が安く抑えられるメリットがあり、定価では買えない機種も購入できる可能性があります。
ピアノを楽しみたい、趣味としてやってみたいという方には中古のピアノでも十分でしょう。
しかし、メンテナンスにお金がかかったり、大幅な修理が必要な場合もありますのでピアノは慎重に選ぶ必要があります。
ピアノのある生活は毎日に潤いをもたらします。
自分に合ったピアノを選んで、思いきり楽しみましょう。
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