音楽大学を卒業しました。現在は自宅でピアノ教室を開いており、4歳から大人まで幅広い年齢層の生徒さんを教えております。 また、ピアノと合わせて文章を書くのも好きです。ピアノの魅力を多くの皆様にお伝えできる記事をお届けしたいと考えております。
目次
ピアノを弾いていると、ピアノって弦楽器なのか、打楽器なのか疑問に思いませんか?
あの繊細で美しい音色は弦から響いているので、弦楽器のようにも感じますが、指で鍵盤を打鍵しているので、打楽器ともいえるような気もします。
記事では、このような皆様のお悩みに答えられるよう、ピアノが何楽器にあたるのか、構造や機能、音の出方から説明します。
また、ピアノ以外の身近な楽器である電子ピアノ、バイオリン、フルートなどについても、何楽器に分類されるのか紹介します。
音楽の知識理解のためにお役立てください。
ピアノの基本的な構造と機能
ピアノの基本的な構造と機能について説明します。
まずは、どんな構造と機能があるのか知っておきましょう。
日頃、演奏を楽しむピアノの構造と機能を知ることで、よりいっそう演奏に磨きがかかるでしょう。
基本的な構造
ピアノの基本的な構造を説明しましょう。
ピアノは以下に挙げる部品でできています。
- 鍵盤(88鍵)
- アクション(ハンマーとダンパー)→音の鳴るしくみで説明
- 弦
- ペダル
- 響板
- ブリッジ(弦の振動を響板に伝えるための駒)
- フレーム
鍵盤
ピアノの鍵盤は88鍵あるのは、人が聴き取れる音の範囲が20ヘルツ〜20,000ヘルツだからです。
ピアノの最低音のラは約27.5ヘルツ、最高音のドは約4,186ヘルツです。
この数値は、人が音を区別して聴きとれる範囲内とされています。
しかし、ベーゼンドルファーの「インペリアル」は97鍵のピアノです。
最高音域は他のピアノと同じですが、低音域が9鍵盤だけ増えています。
弦
ピアノの弦はモデルによって異なりますが、230本前後あります。
以下は弦の特徴です。
- ピアノの中音と高音の弦:1つの鍵盤に対して3本の弦→低温になるにしたがって、弦が3~1本に減っている
- 低音から高音になるに伴い、弦が短くなる
- 高音になるにしたがって、弦が細くなる
- 低温は巻き線弦
- 中音と高音は銅線を伴わない裸線
ペダル
ピアノには3本のペダルがあります。
それぞれの役割を説明しましょう。
①右側にあるラウンドペダル
フォルテペダル、ダンパーペダル、サスティニングペダルとも呼ばれる、一番よく使うペダルです。
ここを踏むと、弦の響きをおさえているダンパーが弦から離れます。
よって、弾いた音のみでなく、他の弦の共鳴音も加わり、豊かな響きが生まれます。
②中央のペダル 中央のペダルはグランドピアノとアップライトピアノでは構造が異なります。 それぞれの機能を説明しましょう。
グランドピアノの場合、ソステヌートペダルと呼ばれます。
このペダルの役割は鍵盤を押している鍵盤のダンパーのみが弦に降りなくなり、指を離しても音が伸びます。
しかし、あまり使用することはありません。
アップライトピアノの場合はマフラーペダルと呼ばれます。
ハンマーと弦の間にフェルトが入り、使用すると音量が小さくなります。
右か左にずらして固定できるので、マンションなどにお住まいの方が、お隣やご近所への配慮で使用することが多いです。
③左側のペダル
このペダルは、響きをおさえる役割があり、ソフトペダル、シフトペダルと呼ばれます。
ドビュッシーの曲などで、踏むように指示されていることが多いです。
グランドピアノの場合、ハンマーアクションが右にずれ、88鍵すべての響きが変化します。
筆者は優しく美しい響きを感じます。
ハンマーの位置がずれるため、叩く弦の数が減るしくみです。
本来は3本のところが2本になり、2本のところが1本になります。
アップライトピアノの場合は、ハンマーが弦に近付き、お互いの当たりが弱くなるしくみです。
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響板
響板はグランドピアノの場合、フレーム(隅の穴の開いている部分)の下にあります。
画像を参考にしてください。
アップライトの場合は、ピアノの裏側にある縦棒で囲まれた木の部分です。
以下の画像でご覧ください。
響板は弦を豊かな響きに変化させる役割を持っています。
木でつくられているのは、低音の響きを豊かにし、高音のノイズをカットできるからです。
それによって、心地よい音を作り出すことができるのです。
つまり、響板はピアノの音をより美しく響かせる特性があります。
下記の動画でも響板について解説している動画を添付してますので、ご覧になってください。
フレーム
画像の金の部分がフレームです。
鋳物製のピアノのフレームは、約16~20トンある弦の張力を受け止め、美しい音を長く響かせる役割を果たしています。
つまり、フレームは適度に振動しながら、音色を美しく整えるので丈夫なだけでなく弾性も必要です。
したがって、金属部品である鋳物が縁の下の力持ちのような役割を担っています。
ピアノの機能|グランドピアノとアップライトピアノの違い
ピアノの機能をグランドピアノとアップライトピアノで説明します。
アップライトピアノの重量は、200〜300kgですが、グランドピアノの場合は300kgを超えます。
重量がある分グランドピアノの方が音量が豊かです。
また、どちらも連打はできますが、回数が異なります。
- アップライトピアノ:7~8回
- グランドピアノ:14~18回
そして、音の出方や音量に異なりがあるため、アップライトピアノではテンポの速い曲を表現豊かに弾くことはできません。 アップライトピアノは、構造上の違いから、グランドピアノのように鍵盤を下げた瞬間に音が出ないからです。
さらにグランドピアノは、(*1)倍音が豊かで優しい音や、キレのある音などさまざまな音色を表現できます。
さらに、響板から直接耳に入る音なので、細かい部分も聴きとることが可能です。
それに比べ、アップライトピアノは箱型の限られたスペースなので、響板の位置が異なり、後ろ側にあります。
そのため、グランドピアノに比べるとこもったような音ですが、弦が共鳴して*倍音が鳴る点では同じです。
(*1)倍音:基音の整数倍の振動数の音。たとえば、ドを基音とすると、一緒に響くミやソが倍音です。倍音が響くことで、基音であるドの響きがより豊かになります。
ピアノは弦楽器?打楽器?
ピアノは弦楽器の一種ですが、内部構造の面では、ハンマーが弦を叩いて音を鳴らすので打楽器と同じしくみです。
このように、打楽器と弦楽器両方の特徴があるため、打弦楽器に位置づけられます。
★弦楽器の特徴
弦楽器は、弦に刺激を与えて弦の振動を音にする楽器です。
振動を得るためには、弦を張る装置が必要なので、多くの弦楽器は弦を共鳴させる装置を備えています。
★打楽器の特徴
打楽器は、打つ、こする、振るといった動作で音を出す楽器です。
弦楽器や管楽器と比較すると原始的な楽器で長い歴史があります。
つまり、ピアノは弦楽器の特徴も、打楽器の特徴も兼ね備えているので、弦楽器であり打楽器でもあるのです。
ピアノの音域は、オーケストラの全音域より広いので、非常に豊かな表現ができます。
オーケストラの曲を、ピアノ用に編曲しやすいところからもうなずけるでしょう。
そんなピアノは演奏以外に、音楽教育、作品研究、作曲などにも使われます。
ピアノの内部を説明している下記の動画も参考にしてください。
また、ピアノ以外の楽器についても言及してみましょう。
ここでは、電子ピアノ、バイオリン、フルート、アコーディオン、鍵盤ハーモニカといった皆様に馴染み深い楽器を紹介します。
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電子ピアノは何楽器になるの?
電子ピアノは電子楽器です。
電子楽器とは、どんな特徴があるのか下記に挙げます。
- 電子回路で音の波形をつくる
- 実際の楽器の振動をサンプリングしている
- センサー・スイッチを操作して保存されたサンプリングの音を再生する
- 電気信号の組み合わせで音をつくる
電子ピアノはアコースティックピアノのサンプリング(録音)を再生しています。
電子ピアノのグレードが上がれば上がるほど、グランドピアノなど、より性能の高い楽器の音を再現していると考えられます。
質の高い電子ピアノを紹介している下記の動画も参考にしてください。
バイオリンは何楽器?
バイオリンは弦楽器の一種で、(*2)バイオリン属で最も高い音域を奏でる高音楽器です。
(*2)バイオリン属:バイオリンの他、ビオラ、チェロ、コントラバスなど
弦は完全5度で調弦され、基本的に4弦です。
ただし、低音域に弦を足して5弦や6弦ある楽器も存在します。
そして、音を出すために弦にあてるのは、馬のしっぽの毛が使われている弓です。
バイオリンのサイズ 全長:約60 cm 胴部の長さ:約35 cm 重量:300 - 600 gほど
材料 ・木材 ・表板:スプルース ・裏板・側板:メイプル
バイオリンソロで、音色を聴いてみましょう。
石田泰尚さんの演奏でピアソラの「リベルタンゴ」をお楽しみください。
フルートは何楽器?
キラキラした美しい外観が特徴のフルートは金属でできていますが、意外なことに分類としては木管楽器です。
なぜ、フルートが木管楽器なのか説明します。
分類の仕方は以下の2つです。
①金管楽器以外の管楽器は木管楽器 ②唇を振動させないように吹く楽器は木管楽器
管楽器は数多くの指孔(穴)を開けたりふさいだりして音程を操作して演奏します。
その際に唇を震わせて演奏するのが金管楽器、なるべく唇を動かさないように吹くのが木管楽器です。
こちらはフルートの構造や音の出る仕組みをまとめた動画です。
アコーディオンは何楽器?
アコーディオンはリード楽器です。
鍵盤とジャバラでできている、ちょっと不思議な雰囲気の楽器。
小中学校の音楽の時間に、合奏で使ったことがある人が多いのではないでしょうか。
アコーディオンは、日本よりもヨーロッパではびこっている楽器です。
鍵盤を押すのみでは音が出ず、ジャバラの開閉によって音が出ます。
空気を送り込んで音が出るしくみです。
楽器の中にリードの組み合わせを切り替えるスイッチがあり、押すとさまざまな音色を奏でることができます。
下記はアコーディオンの弾き方を教えてくれる動画です。
鍵盤ハーモニカ
鍵盤ハーモニカはハーモニカの一種で、フリーリード楽器です。
金属のフリーリードを呼気で鳴らす仕組みになっていて、鍵盤と連動したパルプの開閉で演奏します。
鍵盤を使いますが、管楽器のように息を吹き込み、強さを加減して表情豊かな音を作り出すことが可能です。
メーカーによって、ピアニカ、メロディオンという商標名があります。
ここで、ピアノと鍵盤ハーモニカのアンサンブルの動画を紹介します。
演奏は「ハウルの動く城」よりピアニストの角野隼人さんです。
ピアノってどこから音が出てるの?
ピアノの音が出るしくみについて、動画と共に説明します。
ポイントになるのは、ダンパーとハンマーと弦です。
何気なく弾いているピアノですが、音の鳴るしくみを知っておくと、音の響きをより味わって弾けるのではないでしょうか。
ピアノの音の鳴るしくみ・音を止めるしくみ
上記の動画で説明しているピアノの音のしくみを詳しく説明します。
打鍵する ↓ (*3)ダンパーが上がり、(*4)ハンマーが弦を叩く ↓ 弦が振動する ↓ 振動が響板に伝わる
次はダンパーペダルを使う場合です。
打鍵
↓
全てのダンパーがあげられる
↓
打弦されていない弦も共鳴
↓
音が響く
↓
鍵盤から指を離すとダンパーがおりる
↓
振動が止まる
(*3)ダンパー:かまぼこをスライスしたような形の鍵盤部品。踏むとダンパーが開き、打鍵した音を響かせるペダルがダンパーペダル。
(*4)ハンマー:ダンパーの下にある弦を叩いて音を鳴らす部品。ウッドにフェルトが巻かれている。
ピアノの鍵盤を押すと、ダンパーとハンマーが作動し、弦が振動して響板に音として伝わります。
★グランドピアノのハンマーとフェルト 黒い部分がダンパーでその下にある白い部品がハンマーです。
筆者撮影
ピアノの美しい音色を楽しもう
ご紹介したようなしくみで音を奏でるピアノは、独特の美しい響きがあります。
そんなピアノ独特の美しい音色を活かした曲を数多く作曲した音楽家といえばショパン。
最後に反田恭平さんによる「英雄ポロネーズ」をお届けします。
ピアノには幅広い可能性がある
ピアノは打弦楽器に位置付けられます。
なぜならば、弦楽器、打楽器両方の性質があるからです。
つまり、種類でいうとピアノは弦楽器の一種ですが、内部構造の面ではハンマーは弦を打つので、打楽器の特徴を反映しています。
そんなピアノには、幅広い可能性があります。
ピアノはオーケストラの曲、バイオリンソロの曲、声楽の曲、ポップな曲、ロックの曲など、幅広い曲を奏でることが可能です。
ピアノの幅広い可能性を楽しみながら、いろいろな曲に挑戦してみましょう。
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