私は、小学校2年生から5年生までピアノ教室に通ったのがピアノとの出会いです。その後、高校2年生のときに保育士を目指し、再び子どもの頃に通っていた教室で短大卒業まで習いました。保育士になってからは毎日ピアノを弾きながら子ども達と歌ったりポピュラーピアノを習ったり、自作の曲でピアノの弾き語りをして活動していた時期もあります。現在は音楽教育であるリトミック講師の資格を持ち、ライターのほかにリトミック講師としても仕事をする毎日です。
目次
こんにちは。元保育士Webライターのナイスです。
ピアノが弾けるようになるとピアノソロを演奏するだけではなく、ピアノを弾きながらかっこよく“弾き語り”をしたいと思う人も多いことでしょう。
中学生や高校生はバンドのメンバー募集を見てキーボードとして加入したり、社会人になると結婚式の余興などで歌の伴奏を依頼されたりする機会もあるかもしれません。
同じピアノ演奏でも、ピアノソロと歌の伴奏とでは違いがあるのをご存じでしょうか?
今回の記事はピアノ伴奏未経験の初心者やコードについて理解を深めたい人に向けて、ピアノで伴奏をする際のコツを解説します。
伴奏の楽譜を見て演奏するだけではなく、コードを理解すると自分でアレンジをして弾けるようになるのでおすすめです。
ぜひ、ピアノのコードについての理解を深めてください。
曲ってどうやって構成されているの?
まず、曲の基本的な構成を理解しましょう。
音楽は基本的に次の3つの要素で構成されています。- メロディー(旋律)
- ハーモニー(和音)
- リズム(律動)
3つの要素の中のメロディーとハーモニーは、ドレミファソラシドの音階で作られています。
そして、今回解説するコードとはハーモニーに当たり、2つ以上の複数の音を同時に鳴らしたものです。
コードの基準となる音を、「ルート音」と言います。
ルート音は「根音」とも呼ばれ、コードを構成する和音の中の1番低い音です。
ドからシの音階は白鍵と黒鍵を合わせると全部で12の音がありますが、ルート音も同じ12音あります。
和音はルート音を基準に、別の音を重ねて作られるのです。
ピアノ伴奏では、左手でルート音だけを演奏する場合も多くあります。
伴奏の役割とは?
曲の主役がメロディーだとしたら、伴奏は脇役です。
同じ曲でも、伴奏のアレンジによって印象が変わると感じたことがある人は多いでしょう。
優れた脇役が主役を引き立てるので、伴奏は非常に重要な役割を担います。
伴奏の役割や意識しなければならないことについて解説します。
伴奏とは?
伴奏とは、メロディーに合うコードにリズムやニュアンスを加えて演奏するもので、伴奏によって曲の雰囲気が大きく変わります。
伴奏には和音を弾くシンプルなものから和音をリズムで刻んで弾くもの、和音を分解して弾くもの(アルペジオ)、装飾音やメロディーと対になる副旋律を弾くものなど種類は豊富です。
オーケストラやバンドであれば、さまざまな楽器がパートごとに異なる演奏をして伴奏を作り上げますが、ピアノ1台で演奏する場合は10本の指だけで伴奏を表現しなければなりません。
しかし、同じ曲でも伴奏を弾く人の力量によって高度な伴奏にも簡易伴奏にもできるので、必ずしも難しい伴奏を弾く必要はありません。
伴奏の役割
伴奏には、厚みを持たせたり飾りを施したりして曲の主役であるメロディーを引き立てる役割があります。
曲やアレンジにもよりますが、基本的にはメロディーよりも伴奏が目立つのはNGです。
そして、メロディーだけでは表現できない曲のイメージを、伴奏によって表現できます。
伴奏を演奏する際には、曲の世界観に合わせたアレンジや弾き方を心掛けることが大切です。
右手と左手の役割
ピアノソロを弾く場合は、右手でメロディーを弾き、左手1本で伴奏を担いますが、歌や他の楽器の伴奏を務める場合、右手はフレーズやコードを弾き、左手はベース(ルート音)を演奏するのが一般的です。
伴奏の主な形態には「右手でコード(和音)を弾き、左手でベースを弾く」「 右手でフレーズを弾き、左手でコード(和音)を弾く」「右手でフレーズを弾き、左手でベースを弾く」などさまざまな例があります。
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1番最初に覚えるべきコードは?
まずは「三和音」を覚えましょう。
3度とは、鍵盤で見ると白鍵3つ分を指します。
ドを基準となるルート音とした場合、ド=1度、レ=2度、ミ=3度となります。
したがって、ドから3度ずつ音を重ねると「ドミソ」の和音ができますが、これが「C」のコードです。
「ドレミファソラシ」の音名はイタリア語ですが、英語では「CDEFGAB」となります。
コード名は、英語の音名が使われているので合わせて覚えてください。
同じように、以下の7つのコードができます。
- 「レファラ」=「Dm(ディーマイナー)」
- 「ミソシ」=「Em(イーマイナー)」
- 「ファラド」=「F(エフ)」
- 「ソシレ」=「G(ジー)」
- 「ラドミ」=「Am」エーマイナー)」
- 「シレファ」=「Bm(ビーマイナー)」
以上の7つが、基本のコードです。高度な曲になると、数々の複雑なコードが出てきますが、最初はこの7つのコードを覚えましょう。
3度の中には「長3度」と「短3度」の2種類があり、コードには「メジャーコード」と「マイナーコード」があります。
長3度の和音がメジャーコード、短3度の和音はマイナーコードです。
メジャーコード(長3度)とマイナーコード(短3度)の違いは、ルート音と2番目の音の間の黒鍵の数の違いです。
メジャーコードはルート音と2番目の音の間に黒鍵が2つ入りますが、マイナーコードには黒鍵が1つしかありません。
したがって、メジャーコードの2番目の音を半音下げるとマイナーコードになり、マイナーコードの2番目の音を半音上げるとメジャーコードにできます。
メジャーコードは明るい響きの和音で、マイナーコードは悲しそうな響きの和音です。
先ほどの7つのコードの中で、アルファベット1文字のコード名の和音がメジャーコード、アルファベットの後にマイナーとつくコード名の和音がマイナーコードです。
実際にピアノで弾いて響きを聴いてみると、違いがわかると思います。
ピアノの鍵盤には白鍵と黒鍵があるので、同じ3度ずつの和音でもメジャーコードとマイナーコードの2種類ができるのです。
コードのパターンとは?
曲によってとてもたくさんのコード進行のパターンがありますが、基本的なコード進行は次の4つのコードでできています。
C→G→Am→F(1度→5度→6度→4度)
基本的な弾き方としては以下のように左手でルート音を弾き、右手で和音を弾きます。
- C … 左手=ド・右手=ドミソ
- G … 左手=ソ・右手=ソシレ
- Am … 左手=ラ・右手=ラドミ
- F … 左手=ファ・右手=ファラド
実際に弾いてみるとしっくりきて、よく知っている曲が何曲か浮かぶのではないでしょうか。
有名な曲ではザ・ビートルズの『Let It Be』が、このコード進行です。
スピッツの『チェリー』も、Emを1つ加えるだけで弾けるので、このコード進行を覚えるとほかにもいろいろな曲の伴奏ができるようになります。
まずは進行を覚えてみてください。
これはハ長調のコード進行ですが、「ヘ長調=F→C→Dm→B♭」「ト長調=G→D→Em→C」などいろいろな調に転調できます。
コード進行を覚えたら、曲に合わせて弾き方をいろいろとアレンジしてみましょう。
最も簡単なアレンジは「左手はルート音を全音符(4拍伸ばす)で弾き、右手で和音を四分音符で刻む」という弾き方です。
たったこれだけで、両手とも4拍伸ばすだけの弾き方に比べ、大分リズミカルに聴こえるので弾いてみてください。
また、右手は四分音符を弾き、左手で付点四分音符と八分音符を組み合わせて弾けば、『Let It Be』の伴奏が弾けます。
Cのコードの基本形は「ドミソ」ですが、それを「ミソド」(第1転回形)、「ソドミ」(第2転回形)というように転回して弾くこともできます。
たとえば、ハ長調で基本のコード進行を弾く場合、「C(ドミソ)」→{G(ソシレ)}と弾こうとすると、CからGにいくときは鍵盤が離れていて弾きにくいです。
しかし、Gを第2転回形にすると「シレソ」になるため、「ドミ」を「シレ」に1音ずつ下げるだけで弾けるので簡単に弾けます。
このように、スムーズに弾きやすいように展開形をうまく使うとよいでしょう。
和音を弾くだけではなく、少しアレンジを加えるだけでぐっとおしゃれな伴奏になります。
簡単にできるアレンジの例を、3つ紹介しましょう。
和音を分散する
1つ目は3音を同時に弾かず、分散する弾き方です。
和音を八分音符で刻み、1音目に2音、2音目に残りの1音を弾きます。
(例:Cのコードを展開して、1音目に「ドミ」、2音目に低い「ソ」を弾く)
1小節に1つのコードだとすると、4回弾くことになります。(ドミ→ソ、ドミ→ソ、ドミ→ソ、ドミ→ソ)
アルペジオ
和音を全て分解して1音ずつ弾く「アルペジオ」という弾き方もマスターしましょう。
たとえば、Cのコードを八分音符で「ド→ミ→ソ→(上の)ド→ソ→ミ→ド」というように弾きます。
1拍目は左手でルート音や和音を弾いて、右手は八分休符」「1拍目は和音を弾き、2拍目からアルペジオを弾く」など、さまざまなパターンがあります。
左手を「ドソミソ」というようにアルペジオで弾く伴奏も、聴き覚えがあるでしょう。
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右手と左手を交互に弾く
「左手でルート音を1拍目に弾き、右手で2~4拍目に弾く」「1拍目と3泊目に左手弾き、右手で2,4拍目に弾く」というように、右手と左手を交互に弾く方法もとても簡単にできる伴奏アレンジです。
慣れたら「右手を八分音符にする」「2拍目だけ八分音符にする」など、少しの工夫でリズミカルな効果を加えることもできます。
そのほかにも左手を細かく刻む、オクターブで弾く、少しリズムを複雑に変えたりと工夫次第でいろいろなアレンジができるので、ぜひ研究してみてください。
ピアノ伴奏のコツ5選!
基本的な和音やコード進行をマスターしたら、いろいろな曲の伴奏にチャレンジしましょう。
伴奏を弾く場合、どんな曲にも共通するコツやルールがあります。合わせてよく覚えておいてください。
テンポをキープする
曲の途中でテンポが速くなったり遅くなったりせず、一定のテンポをキープすることは音楽の基本です。
しかし、1人で演奏するピアノソロや弾き語りであれば、感情の高ぶりに合わせて少しテンポアップしてしまうことで、聴き手の感情も揺さぶる効果がある場合もあるでしょう。
しかし、歌や楽器を支える伴奏を弾く場合は、伴奏のテンポが速くなったり遅くなったりしてはなりません。
歌う人やメロディーを演奏する人が演奏しにくいのはもちろん、メロディーと伴奏が合わずバラバラになってしまうと、聴いている人は不快に感じてしまいます。
特に、弾いているとテンポが速くなってしまいがちなので、注意しましょう。
弾き直さない
伴奏が間違えたり止まったりしてしまうと演奏が台なしになってしまうので、できるだけ間違いがないようにしなければなりません。特に避けたいのは、演奏が止まってしまうことです。
しかし、緊張などから演奏が止まってしまうことは絶対にないとは言えません。
止まらないことよりも大切なことは、止まってしまったときに弾き直さないことです。
1人で練習しているときや演奏しているときは、間違えたところから弾き直せますが、複数で演奏している場合は伴奏が止まってもメロディーの歌や演奏は止まらずに進んでいきます。
そのため、伴奏はメロディーを無視して間違えたところから弾き直すことはできません。
間違えたり止まったりしたときはできるだけ早く、演奏に戻れるところから入ることが必要です。
尚、止まりそうになってしまったときは、片手だけでも弾き続けるようにするとよいでしょう。
目立ち過ぎない
伴奏には、曲の主役であるメロディーを引き立てる役割があると解説した通り、伴奏はあくまでも脇役です。
脇役に徹し、主役のメロディーを奏でる歌や楽器を引き立てるという意識が大切です。
演奏する際は、メロディーをよく聴きながら、寄り添って演奏する気持ちを忘れずに演奏してください。
メリハリを意識する
伴奏は目立ち過ぎてはいけないと言いましたが、目立たないようにずっと小さい音で遠慮がちに弾けばよいというわけではありません。
曲調や曲中の脅迫に応じて、メリハリのある演奏を心掛けましょう。
しかし、その際にもメロディーに合わせた表現を心掛けましょう。
また、メロディーと一緒に演奏する部分と、前奏や間奏などピアノだけになる部分とでは違いを意識し、変化をつけるとよいでしょう。
バリエーションを意識する
最初は楽譜を見ながら演奏することが多いと思いますが、慣れてくると自分で伴奏をアレンジできるようにもなるでしょう。
その際、伴奏が単調だと聴いている人が飽きてしまいます。
やりすぎると逆効果になることもありますが、適度なバリエーションを意識したアレンジに、ぜひチャレンジしてみてください。
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伴奏練習におすすめしたい曲をご紹介!
伴奏初心者の練習には、「コードが簡単」「コードの種類が少ない」「コードがこまめに変わらない」曲が向いています。
また、知らない曲よりも知っている曲のほうが練習しやすいでしょう。
前述した『Let It Be』と『チェリー』は、基本のコードで演奏でき、弾きやすいテンポなので伴奏初心者の練習には適しています。
そのほかにも、伴奏練習におすすめの曲を紹介するので、弾いてみてください。
童謡・こどものうた
童謡やこどものうたには、『ちょうちょう』や『おおきなくりのきのしたで』など「C」「F」「G」の3つのコードで弾ける曲がたくさんあります。
1番最初は簡単な童謡の伴奏を練習し、歌いながら弾いてみたり徐々にテンポを速くしたりする練習をすると効果的です。
慣れたら、自分でいろいろとバリエーションを試すのもよいでしょう。
『STAND BY ME』(ベン・E・キング)
同名映画の主題歌としても有名なベン・E・キングの『STAND BY ME』も、『Let It Be』と同じく4つの基本コードで弾けます。
ギターのイメージが強い曲なので、『Let It Be』とは雰囲気を変えてリズミカルに演奏してみてはいかがでしょうか。
『マリーゴールド』(あいみょん)
あいみょんの代表曲『マリーゴールド』は、前述した曲と比べると少し複雑なコードが登場します。
しかも原曲は「ニ長調」なので、ファとドの2音に#がつくので、今までの曲に比べて難易度は高いです。
しかし、伴奏やコード進行は弾きやすいので、伴奏に少し慣れたらぜひチャレンジしてみてください。
また、この曲に限らず弾きやすいようにハ長調にアレンジされた楽譜が出ていますので、最初はハ長調で練習を重ねるのも練習方法の1つです。
まとめ
ピアノ伴奏に当たり、コードや伴奏のコツを解説しました。
初めは楽譜を見ながら伴奏を練習し、伴奏のパターンやコードを理解できたら自分で伴奏をアレンジして楽しめます。
弾き語り、合唱、オーケストラ、バンドなどさまざまな場面や演奏形態でピアノ伴奏を弾きこなし、活躍の場を広げてください。
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