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【天才作曲家J.S.バッハ】人気名曲ランキング7選|生涯についても解説◎

Written by
2024.03.01
ナイス
【執筆・監修】ナイス

私は、小学校2年生から5年生までピアノ教室に通ったのがピアノとの出会いです。その後、高校2年生のときに保育士を目指し、再び子どもの頃に通っていた教室で短大卒業まで習いました。保育士になってからは毎日ピアノを弾きながら子ども達と歌ったりポピュラーピアノを習ったり、自作の曲でピアノの弾き語りをして活動していた時期もあります。現在は音楽教育であるリトミック講師の資格を持ち、ライターのほかにリトミック講師としても仕事をする毎日です。

こんにちは。元保育士Webライターのナイスです。
バッハと言えば、クラシック音楽に興味がなくても名前を知らない人はいないほどの大作曲家です。
学校の音楽室に飾られていた肖像画を覚えている人も多いでしょう。
しかし、名前は知っていても生涯や代表曲については意外に知られていません。
今回は、“音楽の父”と呼ばれる大作曲家バッハの生涯や代表曲について解説します。
最近クラシック音楽に興味をもった人やピアノを始めた人、バッハの曲を聴いてみたいと思う人はぜひ参考にしてください。

〜音楽の父〜J.S.バッハの生涯

バッハの本名はヨハン・セバスチャン・バッハで、1685年3月31日に神聖ローマ帝国アイゼナハ(現在のドイツ・アナゼナッハ)で誕生しました。
バッハの生涯を、年表で見てみましょう。

年齢 出来事
1685年 0歳 3月31日 ドイツ・アイゼナッハで誕生。
生まれた家は音楽一家で、8人兄弟の末っ子だった。
1692年 7歳 ラテン語学校に入学する。
家族を支えるために合唱団でアルバイトをしていた。
1695年 10歳 2月 前年に亡くなった母親に続き父親も亡くなる。
父親の死後、長兄に引き取られて音楽を学ぶ。
1700年 15歳 リューネブルクの教会の聖歌隊に給費生として入隊。
1703年 18歳 ワイマールの宮廷楽団のヴァイオリニストに
就任し、代役としてオルガン演奏も担当。
アルトシュタットの教会にオルガニストとして就職。
1707年 22歳 ミュールハウゼンの聖ブラジウス教会でオルガニストに転任。
又従妹のマリア・バルバラと結婚。マリアとの間に
7人の子どもが生まれた。
1708年 23歳 ワイマールの宮廷楽団楽師に転任。
1710年 25歳 宮廷礼拝堂のオルガニストになる。
オルガン曲の名作を次々と生み出し始める。
1714年 29歳 ワイマール宮廷の楽師長に任命される。
1717年 32歳 ケーテン宮廷の楽長に転任。
1720年 35歳 領主に付き添いカルルスパートに
旅行中に、妻マリア・バーバラ死去。
バッハは旅先で妻の死を知らされる。
1721年 36歳 16歳年下の、宮廷のソプラノ歌手アンナ・マグダレーナと再婚。
1723年 38歳 ケーテン宮廷楽長を辞め、ライプツィヒの
聖トーマス教会のカントルに就任。
(カントルの仕事内容はオルガン演奏家、作曲家、合唱指揮者、
小学校教諭を兼ねたもの)
1736年 51歳 宮廷作曲家の称号を受ける。
1747年 62歳 フリードリヒ2世に招待され、長男と共に宮殿で
オルガンやチェンバロの演奏を披露。
1749年 64歳 5月 脳卒中を患い倒れる。
その後白内障のため視力が急速に低下し、病床に伏す。
1750年 65歳 手術に失敗し、完全に失明する。
その後再び脳卒中を起こし、7月28日に
神聖ローマ帝国ライプツィヒ(現ドイツ・ライプツィヒ)にて逝去。
聖トーマス教会に埋葬される。

バッハってどんな人だったの?

バッハの人柄については記録に残っている言葉や手紙などの資料が多くないため、わかっていないことも多いです。
しかし、真面目で頑固な性格で、非常に勤勉な人だったことがわかっています。
真面目さや勤勉さは悪いことではありませんが、バッハは極端すぎたようで「勤勉が洋服を着て歩いているような人物」だと評する学者もいます。
真面目で頑固なバッハは音楽に妥協を許さず、納得のいく演奏ができない走者に対して厳しく当たることが多かったようです。
そのため、バッハがアルンシュタットの教会でオルガン奏者と聖歌隊の指揮をしていた20歳当時、バッハに演奏を批判されたことを根に持ったファゴット(木管楽器の一種で低音部を担当する)の奏者に、街中で後ろから切りつけられる事件が起こりました。
年を重ねても真面目で頑固な性格は変わらず、仕事でのトラブルが絶えなかったとも言われています。

家族構成は?

バッハは2度の結婚歴があり、最初の妻マリア・バルバラとの間に5人の息子と2人の娘、合わせて7人の子どもが生まれました。
しかし、7人中3人の子どもは若くしてこの世を去っています。
残った3人の息子は音楽家として活躍しました。
マリアについての詳しい記録は残されておらず、2人の間の次男カール・フィリップ・エヌマエルが残した父バッハの伝記「故人略伝」には、「最初の妻と13年間満ち足りた結婚生活を送った」との記述があるのみです。
バッハとマリアは同い年であったことから2人の関係は対等なもので、性格的にも共通することが多かったのではないかという説があります。
マリアが亡くなった翌年には、ソプラノ歌手アンナ・マグダレーナと再婚しています。
アンナはバッハよりも16歳年下で、結婚当時は20歳でした。
バッハとアンナの出会いについての記録はありませんが、出会ってから短期間で結婚したと見られています。
バッハとアンナの間には13人の子どもが生まれましたが、先妻同様13人中7人が若くして亡くなり、成人したのは6人でした。
バッハと2人の妻との間には20人の子どもが生まれ、そのうち成人したのはちょうど半分の10人ということになります。

バッハの音楽の特徴は?

「音楽の父」と呼ばれるバッハは、クラシック音楽に大きな影響を与えました。
しかしバッハの音楽は、当時としてはそれほど先鋭的でも斬新でもなく、ごく普通の音楽スタイルでした。
音楽一家の家系に生まれたバッハは先祖代々続くルター派のキリスト教会の信仰に基づいた音楽性を受け継ぎ、神の福音を表現し続けたためだと考えられています。
「音楽の母」と呼ばれるヘンデルが祖国のドイツからイギリスに帰化したり、オペラ人気にかげりが見えるとオラトリオを制作し始めるのと比較すると、バッハの普通さがよくわかるでしょう。
そのため、今でこそ偉大な音楽家としてその名が知られるバッハですが、当時は作曲家としてよりもオルガン奏者として有名で、死後はすぐ忘れられてしまうような音楽家でした。
そのバッハが一躍脚光を浴びたのは、メンデルスゾーンが『マタイ受難曲』をベルリンで上演したことがきっかけです。
『マタイ受難曲』とは、1727年4月11日に聖トーマス教会にて、聖金曜日の典礼として初演されたと言われています。
しかしバッハの曲は当時から古臭いとされていたため、バッハの死後約100年にわたって演奏されることはありませんでした。
メンデルスゾーンは14歳のときに『マタイ受難曲』の自筆譜を入手したことから研究を始め、1829年3月11日に復活上演を行って大成功を収めたことからバッハが再評価されるようになりました。
メンデルスゾーンが『マタイ受難曲』を復活上演した1829年と、バッハが作曲した1727年では時代がかなり違い、使われている楽器も変わっています。
そのためメンデルスゾーンはその時代に合ったオーケストラ編成に変え、アレンジを加えて上演しました。
バッハの再評価はメンデルスゾーンのアレンジが功を奏したとも言えます。
しかし、現代では原曲に近い楽器編成で演奏されることが多くあり、楽器編成にかかわらずバッハの作曲の素晴らしさが高く評価され続けているということにほかなりません。
今ではバロック時代末期に活躍した作曲家として、バロック音楽の様式を統合した功績も高く評価されています。
そして、ドイツの音楽にイタリアとフランスの音楽様式を合わせ、ヨーロッパ音楽の統合までも実現しました。
バッハの音楽はロシア音楽にも大きな影響を与えたことも、評価が高い要因です。

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バッハの名曲一覧表

数多いバッハの名曲の中から、ピアノの名曲を10曲ピックアップして紹介します。

バッハの名曲を7選ご紹介!

ゴルトベルク変奏曲 BWV988

難易度:★★★★★

1741年に作曲されたこの曲は、元々チェンバロのために作曲されました。
しかし今ではたくさんのピアニストに愛される曲となっています。
この曲が作られた背景には、宮廷鍵盤楽器奏者のヨハン・ゴットリーブ・ゴルトベルクが不眠症に悩むヘルマン・カール・フォン・カイザーリンクのために演奏する目的で書かれたという説があります。
アリアと30の変奏曲の計32曲で構成され、3曲ごとにカノンの変奏が出てくるのが特徴です。
最初の第3変奏では1度、次の第6変奏では2度、第9変奏では3度というように音が徐々にずれていく作りになっています。
冒頭と最後のアリアは難易度が低く初心者でも演奏できますが、そのほかの30曲はかなり難易度が高く、しかも全部演奏すると90分ほどになるため体力も必要な難曲です。

G線上のアリア

難易度:★★★☆☆

バッハの代表曲であると同時に、クラシック音楽を代表する1曲と言っても過言ではないほどの名曲です。
バッハの曲とは知らなくても、メロディーを聴いたことある人はたくさんいるでしょう。
元々はバッハが作曲した『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の第2曲『エール』を、バッハの死後19世紀になってからヴァイオリン奏者のアウグスト・ヴィルヘルミがヴァイオリンとピアノのために編曲した曲のタイトルです。
タイトルのG線とは、ヴァイオリンの4本の弦のうち1番低い弦のことで、G線だけで演奏できることからタイトルがつけられました。
シンプルな構成ながら美しい旋律は、数多くの映画やテレビで使用され、リラクゼーション効果もあるためヒーリングミュージックとしても使われることが多くあります。
とても有名な曲のため数多くの楽譜が出版されており、簡単にアレンジされている楽譜もありますが、原曲の難易度もそれほど高くはありません。
シンプルでゆったりと優しい雰囲気を大切に、丁寧に演奏しましょう。

主よ、人の望みの喜びよ

難易度:★★★☆☆

『G線上のアリア』と同じく有名な、バッハの代表曲です。
結婚式や卒業式などのお祝いの席で演奏されることも多くあるため、この曲も多くの人にとって聴き覚えがあるでしょう。
最近では、アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン』でも使用されています。
1723年に教会カンタータとして作曲された『心と口と行いと生活によって BWV147』の中の1曲で、詩人マルティン・ヤーンの詩を基にして作られました。
イエス・キリストへの深い信仰心を表現した詩にバッハが感銘を受け、作曲したと言われています。
メロディーの複雑な対比やハーモニーなど、バロック音楽の特徴が数多く取り入れられた曲調が特徴です。
『G線上のアリア』と同じく、ゆったりとしたテンポの曲なので難易度はあまり高くない印象を持つかもしれませんが、決して簡単な曲ではありません。
この曲もいろいろなアレンジの楽譜が出ていますので、自分に合ったレベルの楽譜を選びましょう。

イタリア協奏曲 BWV 971

難易度:★★★★☆

『クラヴィーア練習曲集』の第2部に収められた曲です。
ピアノやチェンバロでよく演奏される独奏曲ですが、イタリアの協奏曲を1台のチェンバロで表現しようとしたため協奏曲という曲名がつけられました。
イタリアのバロック音楽から影響を受けたバッハが、イタリアの作曲家の技法やスタイルを参考にしながらバッハ自身のそれまでの作風とブレンドして作られた曲だと言われています。
第1楽章のアレグロ、第2楽章はアンダンテ、第3楽章はプレストといったようにそれぞれ異なる3楽章で構成されています。
全体的な曲の印象は明るく軽快で、中でもアレグロの第1楽章は活気に満ち溢れた印象を持つ人が多いでしょう。
続くアンダンテは旋律の美しさ、最後のプレストはテンポの速さなどそれぞれ異なる雰囲気を持つのも特徴です。
全部演奏すると12分ほどかかり、全体的にテンポが速いためかなりの練習が必要でしょう。

フランス組曲第5番 ト短調 BWV 816

難易度:★★★★☆

イタリア協奏曲同様、バッハがフランスの音楽の影響を受けながら作曲した曲です。
バッハが異なる国の音楽的様式を取り入れる探求心の強い音楽家だったことがわかります。
フランスの舞曲の形式を参考にし、アルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、ブーレ、ルール、ジーグの7つの舞曲が取り入れられた構成です。
各楽章ともに華麗さや複雑な音楽的対比、美しい旋律が特徴で、情熱的な雰囲気を感じる人が多いでしょう。
異なる印象を持つ7つの舞曲からなるこの曲の演奏時間は、イタリア協奏曲よりも長い約17分です。
中級から上級者向けで難易度も高い曲のため、よく練習してマスターしてください。

イギリス組曲第2番 イ短調 BWV 807

難易度:★★★★☆

バッハはイタリア、フランスのみならずイギリスの音楽様式も取り入れていました。
フランス組曲と同じようにイギリスの舞曲を取り入れ、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレⅠ‐Ⅱ、ジーグの6つの舞曲で作られています。
演奏時間はさらに長く約19分の大作です。
イギリス組曲というタイトルは後年になってつけられた通称で、バッハ自身がつけたものではありません。
イギリスの貴婦人のために作曲したという説に由来してつけられたタイトルです。
かなり長い大曲ですが、それぞれの舞曲の特徴を捉え、丁寧に演奏しましょう。

ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 BWV 1052

難易度:★★★★★

作曲された当時(1738年から1739年にかけて)はチェンバロ協奏曲として誕生しましたが、1832年にメンデルスゾーンがピアノ協奏曲として演奏して以来、ピアノ協奏曲として親しまれています。
数多いバッハのピアノ(チェンバロ)協奏曲の中でも人気が高く、シューマンが高く評価するなど特に完成度が高いと評判です。
ドラマ『のだめカンタービレ』の劇中で、玉木宏演じる千秋真一がピアノを弾きながら指揮をするシーンを覚えている人もいるでしょう。
全3楽章から構成され、全部演奏すると23分にも及びます。
指使いが複雑で、バロック音楽特有の装飾や速いパッセージなどかなりのテクニックが必要な難曲です。
まずは1楽章ずつ練習して、3楽章制覇を目指してください。

【番外編】バッハにまつわるエピソード

バッハはルター派のプロテスタント信者だったことから、質素な暮らしぶりだったと言われています。
しかし食欲は旺盛で、一食で2,000kcalも消費するほどよく食べるため金銭的に苦しい生活を送っていました。
そのため少しでも生活の足しになるように作曲や演奏の依頼を多数引き受け、毎日多忙でした。
また、家族を愛していたバッハにとって家族の存在が多忙な毎日の支えとなり、妻や子ども達のためにたくさんの練習曲も作曲しています。

まとめ

「音楽の父」と呼ばれる偉大な音楽家のバッハは数多くの名曲を残していますが、ベートーヴェンやモーツァルトなどほかの有名な音楽家に比べると残されている語録や記録は多くありません。
しかし、勤勉で真面目な人だったということがわかっています。
その勤勉さゆえに1,000曲を優に超える曲を残したバッハの名曲は、今回紹介した曲のほかにも数えきれないほどあります。
バッハの幅広い音楽性を楽しむとともに、ぜひお気に入りの1曲を見つけてみてはいかがでしょうか。

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