7歳からピアノ。13歳から打楽器。他にもテナーサックスや沖縄三線、合唱に挑戦し幅広く取り組む。現在は飲食店での接客調理、WEBライターや打楽器指導を行っている。 尚美ミュージックカレッジ専門学校打楽器専攻卒業。大阪芸術大学通信教育部音楽学科卒業。中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)取得。
目次
「ローランドのピアノはどのような特徴があるの?」
「ローランドとスタインウェイのレビューを聞きたい!」
ピアノの購入を考えている初心者のなかには、ローランドとスタインウェイにどのような違いがあるのか知りたい人が多いのではないでしょうか。
この記事では、音大卒業経験がある筆者がローランドとスタインウェイのピアノについてわかりやすく解説しています。
- ローランドとスタインウェイの歴史と特徴
- ローランドとスタインウェイの違いは?
- 【2大ブランド】ローランドとスタインウェイの選び方のポイントは?
- ユーザーレビューと体験談
ローランドとスタインウェイの特徴や選び方、ユーザーの声を知ると、自分に適したピアノを選べるでしょう。
ローランドとスタインウェイの歴史
出典元:CANVA
ローランドは約50年、スタインウェイは約90年の歴史をもつピアノメーカーです。
ここでは、ローランドとスタインウェイの歴史と特徴を解説します。
ローランドとスタインウェイの歴史を知ると、どのようなブランドか理解できるでしょう。
ローランドの歴史年表
ローランドは国産初の電子ピアノを生み出した、ピアノブランドです。
創業当時から電子楽器を開発・販売をし「電子楽器といえばローランド」といわれるほど、有名な電子楽器メーカーです。
ローランドの歴史を以下の表でまとめています。
1972年 | 大阪で創業。リズムマシンを販売 |
1973年 | シンセサイザーSH-100を発売し、国内の 楽器イベントや海外のショーに出展 |
1974年 | 世界初、鍵盤で音の強弱がつけられる電子ピアノEP-30を販売 |
1970年 代後半 |
ギターのアンプやコンパクト・エフェクター
を販売。 オーストラリアやアメリカに販売会社を設立 |
1981年 | イギリス、ドイツ、カナダ、デンマークに販売会社設立 |
1982年 | ベルギーに販売会社設立 |
1983年 | 世界初のMIDIシーケンサーMSQ-700が誕生 MIDI(注1)に対応したシンセサイザーも誕生 |
1984年 | DTMの世界を切り開く、パソコンとMIDI機器を接続する インターフェースを生み出す ヨーロッパにも販売会社を設立 |
1985年 | セット式電子ドラム「a-DRUM」を販売 東京にローランド・ミュージック・スクールを開設 |
1986年 | 世界初のデジタル合成方式で、電子ピアノRD-1000を販売 |
1987年 | リニア・シンセサイザーD-50を販売し、操作性と 音質の良さを理由に世界的なベストセラーとなる |
1988年 | 自動伴奏の機能が付いた、アレンジャーキーボードE20が販売 |
1990年 | アドバンストSA音源を使用し、自宅の家具に 馴染むデザインをしたHP-3700が販売開始 |
1991年 | 東京のサントリーホールにて、 ローランド製電子ピアノHP-7700で演奏し大成功を収める |
1994年 | MUSIC ATELIER AT-70/AT-50といったローランド初の ホーム・オルガンが誕生。 |
1995年 | 世界初のモデリング・ギターが販売され、1本のギターで 多彩な音を作り出せるようになる |
2009年 | よりアコースティックピアノに近い音を 再現したピアノ「V-Piano」が誕生。 |
(注1)MIDIは、Musical Instruments Digital Interfaceの略で、1981年に策定された電子楽器同士を接続するための世界共通規格のこと。
(注2)DTMは、Desk Top Musicの略で、音楽の作曲や、歌・楽器などを録音し、ゼロから曲を作り上げていくこと。
スタインウェイの歴史年表
正式名称「スタインウェイ&サンズ」は世界3大ピアノメーカーの1つで、数多くのピアニストに愛されているピアノメーカーです。
主にコンサートホールや音大で多く見かけるでしょう。
スタインウェイの歴史は以下の表にまとめています。
1835年 | 後の創業者ハインリッヒ・エンゲルハート・スタインヴェグが 自宅でピアノの製造を開始 |
1850年 | ドイツの経済状態を理由に家族でアメリカに移住 ニューヨークのピアノ製造会社で3年間勤務 |
1853年 | マンハッタンにスタインウェイ&サンズ社を設立。 家族で手作りのスクエアピノを製造 |
1855年 | ニューヨークで開催された世界博覧会でスクエアピアノが ゴールドメダル受賞 |
1856年 | グランドピアノの製造開始 |
1858年 | 従業員が増え、ピアノを年間700台以上製造 |
1863年 | ピアノを年間1600台以上製造 創業者の息子ヘンリー・ジュニアにより、グランドピアノの 一体鋳造の金属フレームなどスタインウェイ・システムを導入 |
1866年 | 四男ウィリアムはニューヨークで「スタインウェイ・ホール」を建設 当時のニューヨークでは2番目の規模になるホール |
1867年 | パリ万国博覧会で最高金賞を受賞 ピアノメーカーとしての知名度が上がる。 また、ピアニストのコンサートツアーのマネジメントにも 関わり、世界的な評価が高まる |
1868年 | アップライトピアノに関する特許を取得 |
1869年 | グランドピアノの金属製アクション台の特許を取得 |
1873年 | クイーンズ工場を建設 |
1873年 | イギリスに支店とホールをオープンさせ、ヨーロッパ進出を果たす |
1875年 | グランドピアノの礎になる特許を取得。 スタインウェイ・グランドピアノが完成 |
1880年 | ドイツにハンブルグ工場を設立 |
1923年 | 第一次世界大戦後のアメリカでピアノブームが起き、 国内で36万台製造される |
1939年 | 第二次世界大戦によりピアノ製造を中断 |
1960年代 | アメリカの制作によりピアノの需要が急増。 天才ピアニストがスタインウェイピアノを使用し、有名 ピアノブランドとして知名度・評価ともに上がる |
1972年 | 製造に時間がかかる割に生産数が少ないため、経営難に陥る。 家族経営を諦め、CBSに買収される |
1995年 | 複数の個人投資家への売却を経て、 セルマー・インダストリーズの傘下に入る |
2013年 | 楽器製造業界には厳しい状況が続き、アメリカの投資家 ジョン・ポールソンへの身売りを発表 |
2021年 | 北青山にスタインウェイ国内唯一の直営店を移転オープン |
現在 | 世界最高峰のハイレゾリューション自動演奏ピアノ 「Steinway & Sons SPIRIO」を販売 |
ローランドとスタインウェイの違いは?
出典元:CANVA
ローランドは電子ピアノを販売し、スタインウェイはアコースティックピアノを販売するメーカーです。
ピアノの種類はもちろん、音色やタッチ感、価格帯が異なります。
ここではローランドとスタインウェイの特徴を解説し、表にまとめています。
ローランドとスタインウェイの特徴がわかると、自分がピアノを弾く目的に適したピアノが選べるでしょう。
ローランドの特徴
ローランドは日本で初めて電子ピアノを製造した電子楽器メーカーです。
創業以来、デジタル楽器の開発・改良を続けてきたノウハウを活かし、ローランドのピアノは進化しつづけています。
現在はアコースティックピアノのタッチや音色を再現した、アコースティックピアノとの差を感じさせないピアノが販売されるほどです。
ローランドの電子ピアノは5つのシリーズに分けられています。
- ポータブルピアノ(サイズがコンパクト。他のシリーズより価格と機能が抑えめ)
- ホームピアノ(キャビネット型。価格と機能の幅が多岐に渡る)
- プレミアムホームピアノ(ハイスペックな電子ピアノ。アコースティックピアノのような弾き心地と表現力)
- デジタル・グランドピアノ(最新技術が詰まった、グランドピアノ型キャビネット)
- ステージピアノ(ライブ演奏向けのステージピアノ)
種類豊富なピアノが揃っているので、演奏者の目的や練習環境に合わせて選べるでしょう。
スタインウェイの特徴
スタインウェイは世界3大ピアノメーカーの1つで、古くから多くのピアニストに愛用されています。
スタインウェイは濁りのない明るく華やかな音色で、演奏者の微妙なニュアンスを忠実に表現できるのが特徴です。
ピアニストのコンサートやコンクールなど、多くのプロの現場で使用されています。
スタインウェイのピアノは7種類のグランドピアノと1種類のアップライトピアノに分けられます。
- コンサートグランドピアノD(最高水準のグランドピアノ)
- スモールコンサートグランドピアノC(多彩な響きとタッチが特徴)
- ミュージックルームグランドピアノB(自宅や音楽教室での使用に最適)
- パーラーグランドピアノA(中型ピアノ。大型ピアノと同じように豊かな音)
- リビングルームグランドピアノO(小型ピアノの中で最大のモデル。自宅向け)
- ミディアムグランドピアノM(コンパクトで、音大や自宅向け)
- ベビーグランドピアノS(スタインウェイグランドピアノの中で最小モデル)
- K-132(スタインウェイ唯一のアップライトピアノ)
世界水準のピアノを揃えているので、本格的にピアノに取り組みたい人にはおすすめのメーカーです。
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ローランドとスタインウェイの比較表
ローランド | スタインウェイ | |
---|---|---|
設立国 | 日本 | アメリカ |
販売している ピアノの種類 |
電子ピアノ | 主にアコースティック ピアノ |
音色 | 伸びやかで、広がりの ある響き |
明るく華やかな音色。 濁りのないキラキラした音 |
タッチ | アコースティック ピアノに近い 弾き心地 |
軽やかなタッチ。 演奏者の微妙な ニュアンスを忠実に 表現できる |
アクション | ハンマー・レスポンス 機能を採用し、 アコースティック ピアノに近い システムを追及 |
アクションを細身に 仕上げていて、 鍵盤をたたく力が ハンマーに直接 伝わりやすい構造 |
デザイン | 自宅の家具に馴染む デザイン |
黒色で、高級感溢れる デザイン |
価格帯 | 約5~188万円 | 約500~2,200万円 |
調律 | 不要 | 必要 |
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【2大ブランド】ローランドとスタインウェイの選び方のポイントは?
出典元:CANVA
ピアノの購入を検討している人は、どのようなポイントを見て選んだら良いかわからない人が多いと思います。
ここでは、ローランドとスタインウェイの選び方のポイントを4つ紹介します。
- 音
- 鍵盤のタッチ
- 価格
- 練習環境
ローランドとスタインウェイの選び方のポイントを知ると、自分の目的や好み、予算に合ったピアノを購入できるでしょう。
音色
ピアノを選ぶ際に重要なのが音色です。
ピアノはメーカーやモデルによって音色が異なります。
例としてはローランドは伸びやかで広がりのある音色、スタインウェイは濁りのない華やかな明るい音色が特徴です。
どの音色が良い・悪いかではなく、演奏者の好みで選びます。
実際に楽器店で試奏するだけでなく誰かに弾いてもらい、離れた場所から音色や響きを聞いて好みのピアノを選ぶのもおすすめです。
鍵盤のタッチ
鍵盤のタッチもピアノを選ぶポイントの1つです。
鍵盤のタッチはアコースティックピアノと電子ピアノで異なります。
筆者はピアノを始めた頃、ローランドの電子ピアノを愛用していましたが、ピアノ教室にあるアコースティックピアノと鍵盤のタッチが異なり、苦労しました。
電子ピアノはアコースティックピアノの鍵盤のタッチを追及しているとはいえ、少し軽めのタッチです。
ピアノを本格的に学びたい人はアコースティックピアノがおすすめです。
また、ピアノはモデルによっても若干鍵盤のタッチが異なります。
楽器店で実際に弾いてみて、選びましょう。
価格・予算
ピアノは価格に大きな差があります。
ローランドは5〜188万円、スタインウェイは500〜2,200万円と価格に大きな差があります。
差が生まれる理由としては以下5つが考えられるでしょう。
- ピアノの種類(アコースティックピアノか電子ピアノ)
- ピアノのサイズ
- 機能の多さ
- 素材の品質
- ブランドの相場
高価格は機能が多く、音の響きへのこだわりが強い印象があります。
しかし、価格が低くても基本的な機能は十分にあります。
「ピアノでプロを目指す」「ピアノを趣味で楽しみたい」などピアノを弾く目的や予算を踏まえ、ピアノを選びましょう。
練習環境
ピアノを選ぶ際、自身の練習環境に合わせて選ぶのもポイントです。
スタインウェイは世界3大メーカーといわれるほど世界から高い評価を得ています。
しかし、防音室がない自宅に設置するには音量やサイズなど練習環境にデメリットが多いです。
一方ローランドは電子ピアノのため音量調節ができ、サイズもコンパクトなので自宅で練習しやすいです。
デメリットとしては、アコースティックピアノのような響きや指のタッチを得られないことでしょう。
ピアノを選ぶ際には自身の練習環境に適したピアノを選ぶのがおすすめです。
ユーザーレビューと体験談
出典元:CANVA
ピアノを選ぶ際に気になるのが、ユーザーレビューと体験談です。
実際に弾いた経験がある人の感想を聞くと、購入後のイメージができます。
ここでは、ローランドとスタインウェイのピアノを弾いた経験がある人のレビューや体験談を紹介します。
ユーザーレビューと体験談を知ると、購入後のイメージができ、ピアノ選びの判断材料になるでしょう。
ローランドユーザーの声
ピアノを始めた頃はローランドの電子ピアノを使用していました。
ローランドは比較的柔らかい音の印象があります。
また、ローランドは家具に馴染むデザインなので、自宅に設置しても違和感がありません。
デメリットとしては、当時鍵盤のタッチがアコースティックピアノに比べて軽かったので、ピアノのレッスンに行くと、思うように弾けず苦労しました。
YAMAHAはどちらかというとポップス向けに感じたので、ローランドのピアノを愛用していました。
ローランドは柔らかく、伸びやかな音だったので、クラシック系の曲を弾くにはよかったです。
「電子ピアノといえばローランド」と聞いていたので、ローランドを選びました。
音の響きが好きで、ローランドの電子ピアノを20年ほど愛用していました。
音とは関係ないですが、家具に馴染むデザインもよかったです。
スタインウェイユーザーの声
初めてスタインウェイのピアノを弾いたのは音楽学校です。
それまで「スタインウェイのピアノは素晴らしい」と聞いていましたが、透き通るキラキラした明るい音に感動したのを今でも覚えています。
ローランドやYAMAHAのピアノを弾いてきた筆者にとって衝撃的でした。
価格が非常に高いため、家庭用としては購入できませんが、一度楽器店やホールなどで弾いてみるとスタインウェイの音色の素晴らしさがわかるでしょう。
ピアノの発表会でスタインウェイのピアノを弾いた経験があります。
華やかで明るい音が印象的です。
家庭用としては到底手が届かない金額ですが、素晴らしいピアノに間違いないです。
まとめ
この記事では、国内電子楽器メーカー「ローランド」と世界3大ピアノメーカー「スタインウェイ」について解説してきました。
ローランドとスタインウェイは販売しているピアノの種類、価格が大きく異なります。
各メーカー優れた特徴があるので一度楽器店で試奏してみるのがおすすめです。
各メーカーの特徴を理解し、ピアノを試奏して自分の目的に合ったピアノを選びましょう!
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