7歳からピアノ。13歳から打楽器。他にもテナーサックスや沖縄三線、合唱に挑戦し幅広く取り組む。現在は飲食店での接客調理、WEBライターや打楽器指導を行っている。 尚美ミュージックカレッジ専門学校打楽器専攻卒業。大阪芸術大学通信教育部音楽学科卒業。中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)取得。
目次
「防音マットって必要?効果はあるの?」
「防音マットの選び方を教えて!」
自宅でピアノを練習する人のなかには、防音対策の1つとして防音マットが気になっている人が多いのではないでしょうか。
この記事では音楽大学卒業の経験をもつ筆者が、防音対策について悩んでいる人に向けて防音マットの効果と選び方を解説しています。
- 防音マットって必要?
- 防音マットで得られる効果は?
- ピアノのタイプ別防音マットの選び方
- 防音マット2つの注意点
- 騒音の確認方法
- 防音マット以外にできることは?
防音マットの効果や選び方の十分な情報が得られると、自分の環境に合った防音マットが選べるでしょう。
防音マットって必要?
防音・防振対策の1つとして、防音マットは重要です。
防音と聞くと、壁や窓の対策を考える人が多いでしょう。
しかし、ピアノは鍵盤を弾いたときの打鍵音とペダルの振動は床に伝わるため、床への防音・防振対策が必要です。
特にマンションやアパートでは、近隣トラブルにつながる可能性があるため、注意しましょう。
ここでは、ピアノ音の伝わり方と防音マットの経験談を紹介します。
ピアノ音の伝わり方や防音マットの経験談を聞くと、防音マットの必要性が理解できるでしょう。
ピアノ音の伝わり方
音の伝わり方には「空気伝搬音」「固体伝搬音」の2種類があります。
空気伝搬音と固体伝搬音がどのような性質をもっているのかは以下のとおりです。
空気伝搬音
空気伝搬音とは、音源から空気を伝って耳に届く音です。
壁や窓などがあれば大半の音は遮断できますが、窓やドアのすき間を通って外部に音が漏れていきます。
ピアノは音量が大きく、想像以上に外部に音が漏れていくので入念な防音対策を行いましょう。
固体伝搬音
固定伝搬音とは、床や壁などに振動や衝撃として伝わる音です。
ピアノは鍵盤を弾く音やペダルを踏む振動が、床や壁を通して外部に伝わっていきます。
防音マットは、主に固体伝搬音を防ぐための防音グッズです。
固定伝搬音はピアノと接している部屋だけでなく、建物の広範囲にわたり音が伝わっていくため、しっかりと防音対策をする必要があります。
防音マットの経験談
防音マットは床への防音・防振対策に最適で、最近筆者の親もアップライトピアノ購入時に防音マットも併せて購入しました。
楽器店スタッフの話だと、100%防音・防振ができるわけではないですが、かなり効果はあるとのことでした。
しかし不安な方は、インシュレーターと防音マットを併用するのがおすすめだそうです。
筆者はコストを抑えたくて、ピアノの下に絨毯を敷いて防音対策をしています。
絨毯を敷くだけでも変わりますが、防音を強化するには衝撃吸収素材や振動を和らげる素材を使用した、防音マットを敷くのがよいでしょう。
防音マットで得られる効果は?
防音マットは効果的です。
床への防音対策ができるため、近隣への配慮ができます。
ここでは防音マットで得られる効果を2つ紹介します。
- ペダルの振動音を軽減する
- 打鍵音を軽減する
防音マットで得られる効果を知ると、安心して購入できるでしょう。
ペダルの振動音を軽減する
防音マットは、ペダルの振動音を軽減します。
ピアノのペダルは床に近い距離にあるので、マンションやアパートに住んでいる人は対策が必須です。
防音マットを敷いておくと、安心して練習できるでしょう。
しかし、防音マットには防音だけで防振がないタイプのマットもあるので「防振」の表示が記載してある防音マットを選びましょう。
打鍵音を軽減する
防音マットは打鍵音を軽減する効果があります。
打鍵音とは、ピアノの鍵盤を弾いたときに生じる「コトコト」という音や振動のことです。
イメージが湧かないという人は、電子ピアノで電源を切った状態で鍵盤を弾いてみるとわかるでしょう。
ピアノを弾いている本人はあまり気にならない音ではありますが、打鍵音は床に振動として伝っていきます。
防音マットは厚く、硬い素材なので打鍵音を軽減できるので効果的です。
ピアノのタイプ別防音マットの選び方
防音マットはピアノのタイプごとに、サイズや必要な性能など選び方が異なります。
ここではピアノのタイプ別に防音マットの選び方を解説します。
- アップライトピアノ用マットの選び方
- グランドピアノ用マットの選び方
- 電子ピアノ用マットの選び方
ピアノのタイプ別防音マットの選び方がわかると、自分に合った防音マットを選べるでしょう。
グランドピアノ用マットの選び方
グランドピアノは弦が水平に張られ、ハンマーが下から弦を叩くと音が出るシステムです。
グランドピアノはサイズが大きく、より音が響くので入念な防音・防振対策が必要です。
大きいサイズで、多重構造の厚みがある防音・防振マットを選ぶとよいでしょう。
おすすめのグランドピアノ用マット
おすすめのグランドピアノ用マットは、東京防音株式会社が販売している「グランドピアノ用防音防振ステージ」です。
特徴は以下のとおりです。
- 多重構造と高重量で、安心の防音・防振機能
- フローリング調のシートのため、部屋に馴染む
- 消音ユニット付きのグランドピアノにも対応
グランドピアノ用 防音防振ステージ – 東京防音オンラインストア (piano-bouon.jp)
アップライトピアノ用マットの選び方
アップライトピアノは弦が垂直に張られ、ハンマーが横から弦を叩くと音が出るシステムになっています。
アップライトピアノは一番音が出るのが背面で、防音パネルや防音壁を設置するのが推奨されています。
しかし、ペダルの振動や打鍵音は床を伝って外部に響いていくので、特にマンションやアパートに住んでいる人は床への対策も重要です。
アップライトピアノ用防音マットは、ピアノと椅子全体にかけて敷くタイプとピアノの接地面だけに敷くタイプがあります。
いずれにせよ、床とペダルの距離が離れていると踏みにくいので、かかとが乗るサイズを選びましょう。
おすすめのアップライトピアノ用マット
おすすめのアップライトピアノ用の防音マットは、大建工業が販売している「防振ベース」です。
特徴は以下のとおりです。
- 耳に聞こえる音の大きさを約30%軽減
- 厚さが52.5cmで、6層構造
- ピアノの滑り止めにインシュレーターの使用が推奨されている
電子ピアノ用マットの選び方
電子ピアノは電気を通して音を鳴らすシステムになっています。
電子ピアノはヘッドホンや音量調節が利用できるため、アコースティックピアノほどの音漏れの心配はありません。
しかし、ピアノの鍵盤を弾く打鍵音やペダルの振動は床へ伝っていきます。
電子ピアノは防音より防振機能を重視して、選ぶとよいでしょう。
おすすめの電子ピアノ用マット
おすすめの電子ピアノ用マットは、島村楽器の限定商品「EMUL CPT300L 遮音カーペット」です。
特徴は以下のとおりです。
- 電子ピアノと椅子が置ける大型の防音・防振マット
- JIS規格で定めるL-35で安心性能
- 部屋に馴染むベージュカラー
EMUL CPT300L 電子ピアノ用 防音/防振/防傷マット ベージュカラー エミュール 遮音 防振 カーペット【島村楽器限定】 | 島村楽器オンラインストア (shimamura.co.jp)
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防音マット2つの注意点
防音マットを選ぶ際、注意点が2つあります。
せっかく購入したのに、自分のピアノには合わず、効果がなかったらもったいないです。
ここでは購入後に後悔しないように、防音マットの注意点を2つ解説します。
- 防音マットの性能
- 防音マットのサイズ
防音マットの注意点を知ると、後悔なく買い物ができるでしょう。
防音マットの性能
防音マットを選ぶ際の注意点の1つは「防音マットの性能」です。
防音マットには遮音等級(L値)が表示されています。
遮音等級とはJISに基づく方法で測定したデータから数値が算出されたものです。
高い防音効果を得たい人は△LL-6もしくはLL-35をおすすめします。
△LL-6とLL-35は静かな時に足音が聞こえる程度なので、アパートやマンションではほぼ気にならないレベルです。
防音マットのサイズ
防音マットを選ぶ際「サイズ」にも注意しましょう。
防音マットはピアノと椅子の全体にかけて敷くタイプとピアノの接地面だけに敷くタイプがあります。
後者の方が価格が安く、狭い部屋に敷きやすいです。
しかし、問題点が2つあります。
- ピアノの高さだけ高くなる
- ペダルに足を置いた際、床からペダルへの距離が離れて踏みにくい
演奏しづらいので、可能な限りピアノと椅子全体にかけて敷くタイプがおすすめです。
騒音の確認方法
ピアノを弾いている本人は、ピアノの音や振動がどのくらい外部に漏れているのかはわかりません。
実際に苦情がきてから気づく人が多いでしょう。
ここでは騒音トラブルになる前に、どのくらい外部に漏れているのかの確認方法を解説しています。
- 第三者に外で聞いてもらう
- 外に録音機を置いて確認する
- 近所の人に聞く
騒音の確認方法を知っておくと、苦情が来る前に防音対策を考えられるでしょう。
第三者に外で聞いてもらう
騒音の確認方法1つ目は「第三者に外で聞いてもらう」です。
家族や友達など第三者に外で聞いてもらう方法は、手軽にできる方法なのでおすすめです。
私も今までこの方法で騒音の確認をしていました。
やり方は、窓を閉めた状態で第三者にベランダや玄関前に立ってもらい、ピアノの音がどのくらい聞こえるか聞いてもらいます。
もし自分でも確認したい場合は、第三者にピアノを弾いてもらって自分が外で聞くとよいでしょう。
外に録音機を置いて確認する
家族や友達に来てもらうのが難しい、1人暮らしの人におすすめな方法が「外に録音機を置いて確認する」です。
スマートフォンでもいいのですが、ベランダや玄関前に一時的に録音機を置き、ピアノを弾いてみましょう。
録音を再生すれば、音が漏れているか確認できます。
風や車が走る音などの雑音が入ってしまうので、第三者に外で聞いてもらう方法よりは劣りますが、1人で確認する人にはおすすめです。
近所の人に聞く
騒音の確認方法3つ目は「近隣の人に聞く」です。
近隣との付き合いがないと聞きにくいと思いますが、騒音トラブルになる前に近隣の人に聞けば、未然に防げます。
もし近隣の人が不快に感じているのであれば、どのくらいの騒音・振動なのかを聞き、早急に対策をしましょう。
防音マット以外にできることは?
防音マットは床への音や振動を対策できます。
しかし、ピアノは床だけでなく壁や窓を伝って外部に音が漏れていきます。
ここでは防音マット以外の対策方法を以下に3つ紹介します。
- 防音パネル
- 窓用防音ボード
- インシュレーター
防音マット以外の防音・防振対策方法を知ると、十分な対策ができるでしょう。
防音パネル
防音パネルは壁を通しての音漏れに効果があります。
防音パネルは遮音機能と吸音機能があるのが一般的なので、防音シートより効果があります。
おすすめの防音パネルは「ピアノ背面防音パネル ECOパネル」です。
ピアノ背面防音パネル ECOパネルは、アップライトピアノの背面から出る音を吸収してくれます。
吸音材と遮音シートで5層構造になっていて、強度が高いです。
また、背面防音パネルの弱点だった音のこもりは、2種類の吸音材で極力こもりを防ぐ工夫がされています。
ピアノを湿害から守る素材が使用され、湿度対策もできるので、おすすめです。
アップライトピアノ用防音装置 防音ECOパネル TSP-2100 – 東京防音オンラインストア (piano-bouon.jp)
窓用防音ボード
防音対策の1つとして、窓用防音ボードもおすすめです。
ピアノの音は窓を閉めていても、すき間から漏れていきます。
簡単に取り付けられるため、ピアノを弾くときのみの取り付けができます。
おすすめの窓用防音ボードは「窓用ワンタッチ防音ボード」です。
完全オーダーの商品なので、部屋の窓サイズに合う防音ボードの製作ができます。
効果としては、二重サッシと同じ効果が得られます。
設置方法は取手が付いているので、簡単に取り外しが可能です。
また、窓用ワンタッチ防音ボードは2種類の素材と計10色のクロスの色が用意されているので、部屋に合った色が選べます。
窓用ワンタッチ防音ボード|防音専門ピアリビング【公式】 (pialiving.com)
インシュレーター
インシュレーターは簡単にできる、床への防音・防振対策方法です。
インシュレーターは真ん中にくぼみがあり、ピアノのキャスターを乗せます。
主に防振に効果がありますが、防音効果も期待できます。
インシュレーターの素材は一般的にプラスチック製が多いです。
しかし楽器店スタッフの話によると、ゴム製は厚みと空気層があり、床への振動をより抑えるそうです。
おすすめのインシュレーターは「ピアキャッチ」です。
ピアキャッチは受けが深く、硬質合成ゴムを含む5層構造になっているため振動を強力に抑え、床からの音漏れを防ぎます。
また、床との接地面がカーペット貼りなので、フローリングの床であれば大人1人でピアノを滑らせながらの移動が可能です。
SUPER SAFETY INSU 防振・防音・耐震インシュレーター スーパーピアノストップ
まとめ
この記事ではピアノの防音対策について悩んでいる人に向けて、防音マットの効果と選び方を解説してきました。
防音マットの必要性
ピアノは鍵盤を弾いたときの打鍵音とペダルの振動は床に伝わるため、床への防音・防振対策が必要
防音マットで得られる効果
- ペダルの振動音を軽減する
- 打鍵音を軽減する
ピアノのタイプ別防音マットの選び方
グランドピアノ
大きいサイズで、多重構造の厚みがある防音・防振マットを選ぶ
アップライトピアノ
床とペダルの距離が離れていると踏みにくいので、かかとが乗るサイズの防音マットを選ぶ
電子ピアノ
電子ピアノは防音より防振機能を重視して選ぶ
防音マットの効果や選び方の十分な情報が得られると、自分の環境に合った防音マットが選べるでしょう。
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