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ソナチネレベルって?学ぶ目的やおすすめの曲・練習法をご紹介◎

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2024.04.17
syotata
【執筆・監修】syotata

ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。

ピアノ学習者が必ず通る道と言っても過言ではないソナチネは、初級から中級レベルの教本に掲載され、ピアノの基本を学ぶ課題としても最適です。

有名な『ソナチネアルバム』には、主にクレメンティやベートーヴェンといった古典派の作品が多く取り上げられています。

また、ソナチネには親しみやすい短い曲からソナタに通ずる難しい曲まで、難易度が幅広く練習量も必要です。

とはいえ、なぜソナチネが良いのか、練習することで得られるテクニックは何かなど疑問点も多いと思います。

今回の記事では、ソナチネのレベルや学ぶ目的、効果的な練習方法と筆者おすすめの曲をご紹介します。

ソナチネとは?

ソナチネとは?

ソナチネとは、クラシック音楽における形式やジャンルの総称です。
また、ソナタよりも規模が小さい楽曲をソナチネと呼ぶケースもあります。

ちなみに、ソナタとは複数の楽章で構成される楽曲形式の1つで、ソナチネは「小さなソナタ」とも称されます。

ソナチネも第1楽章から第3楽章といった複数楽章で構成されますが、ソナタよりもコンパクトにまとまっている楽曲と言えますね。

ソナチネの代表的な作曲家といえば、クレメンティ、クーラウ、カバレフスキーが挙げられますが、ラヴェルのソナチネのように演奏技術が高い曲もあります。
そのため、ソナチネの難易度は作曲家や時代によって多種多様です。

ソナチネで何が学べる?

ソナチネは、ソナタに進む前の大切な課題と言っても過言ではありません。
また、楽曲構成を理解するための第1段階とも言えます。

ソナチネを学ぶ目的としては、主に3つのポイントが挙げられます。

  • 音階やアルペジオの応用力
  • 音楽的な表現力
  • 楽曲形式の基本を学ぶ

ここからは、具体的に解説していきますね。

音階やアルペジオの応用力

ソナチネには、ピアノの基本である音階やアルペジオがたくさん出てきます。
しかも、ハノンのような訓練性がある音階ではなく、メロディとしての要素が強いです。
そのため、さまざまな音階に臨機応変に対応できる能力が必要になります。

例えば、ハ長調の音階が第1音のドではなく第3音のミからスタートする場合は、弾きやすいように指使いを工夫します。

さらに、黒鍵が増えていくと弾きにくい箇所が多くなるので、より指使いを工夫しなければなりません。

そして、アルペジオ(分散和音)も上行や下行といったスタイルから左手の伴奏形など、ソナチネでも多用されています。

ハノンで練習した音階やアルペジオを、ソナチネで実践的に弾くことで応用力が身につくのです。

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音楽的な表現力

ソナチネには、ピアノの基本テクニックとともに豊かな表現力を習得するための要素が含まれています。

例えば、メロディと伴奏が明確に分かれている曲は、左右のバランスに気をつけてメロディを強調して弾きます。
伴奏の方が目立ってメロディが美しく聞こえない演奏は、とても残念ですよね。

このように、音の響きのバランス感覚やメロディの歌い方を学ぶ曲としても、ソナチネは大切な課題と言えます。

楽曲形式の基本を学ぶ

ソナチネはソナタを小さくした曲と言われていますが、ソナタ形式に基づく構成は同じです。
つまり、ソナチネにも提示部・展開部・再現部で構成された楽章があります。

ソナチネを練習することでソナタ形式とは何かを理解するきっかけになり、ベートーヴェンやモーツァルトのピアノソナタにも繋がるのです。

ソナチネアルバムの種類

ソナチネアルバム』というピアノ教本には、代表的な作品が掲載されている曲集や作曲家別にまとめられている曲集など、さまざまなタイプがあります。

日本では、全音楽譜出版社や音楽之友社などの『ソナチネアルバム』第1巻または第2巻が有名ですね。

古典派の代表的なソナチネをはじめ、シューマンやメンデルスゾーンといったロマン派の小品も掲載されているピアノ学習者必修の教本と言えます。

国内版の『ソナチネアルバム』には、難易度の目安や練習方法などが記されている教本が多い傾向があります。

一方で、輸入版の楽譜は注意書きが原語であったり、ペダル記号がないタイプもあるため、あまりおすすめできません。

さらに、国内版には模範演奏を収録したCDつきや大人向けの『ソナチネアルバム』、ミッキーマウスが描かれている子ども向けの教本など、種類も多様化しています。

ソナチネを練習する段階に入ったら、レベルや年齢、練習環境に適した教本を選んでみてくださいね。

以下が、筆者のおすすめの教本です。
ぜひ参考にしてください。

『ソナチネアルバム第1巻』

『ミッキーといっしょはじめてのソナチネアルバム』

『大人のための独習ソナチネアルバム』

ソナチネのレベル(難易度)はどのくらい?

ソナチネのレベル(難易度)はどのくらい?

ここでは、ソナチネのレベルについて具体的に解説いたします。

ソナチネが弾けたらピアノ中級者?

ピアノのレッスンにおいて『ソナチネアルバム』は、中級レベルの教本と言えます。
しかし、初級レベルで弾きやすいソナチネもあるため、一言で判断することは難しいです。

目安としては、クレメンティやクーラウといった中級レベルのソナチネが弾けるようになれば、ピアノ中級者と言えますね。

ちなみに、フランス印象派の作曲家ラヴェルや室内楽曲に『ソナチネ』と名付けられた作品がありますが、古典派のソナチネとは難易度や特徴が異なります。

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ソナチネを難易度別にご紹介

ここでは、『ソナチネアルバム』に掲載されている曲の一部を難易度別に分けていますので参考にしてください。

初級 ・クレメンティоp.36-1
・クレメンティоp.36-2
・クーラウоp.55-1
・ベートーヴェン ソナチネ第5番
初級〜中級 ・クーラウоp.20-1
・クレメンティоp.36-3
・クレメンティоp.36-4
・ディアベリоp.151-1
中級 ・クーラウоp.55-3
・クレメンティоp.36-5
・クレメンティоp.36-6
・ディアベリоp.151-3

ソナチネとの併用におすすめの教本は?

ソナチネを学ぶ時期に併用すると効果的なピアノ教本を、カテゴリー別にご紹介しますね。
中級レベルのソナチネと難易度が同じ曲から筆者おすすめの教本をピックアップしました。

【練習曲】モシュコフスキー20の小練習曲оp.90

ピアノ中級レベルの練習曲として最適なモシュコフスキーは、音階やアルペジオなどの基本に加えて、音楽的なアプローチが強い練習曲集と言えます。

さらに、各練習曲の目的が明確なので、特定のテクニックを重点的に鍛えたい時にもぴったりです。

【練習曲】ブルグミュラー18の練習曲оp.109

ピアノ教本の定番であるブルグミュラーの練習曲も、ソナチネと併用すると効果的です。
ブルグミュラーは、ハーモニーやメロディが美しく、ペダルの使い方も習得できます。
ソナチネはペダルの使用が少ないため、ブルグミュラーを併用することでピアノテクニックがバランスよく身につきます。

【バロック音楽】バッハ『2声のインヴェンション』

バッハの曲は、古典や近現代、ロマン派音楽とは異なる特徴があります。
代表曲の『2声のインヴェンション』は、左右で同じ旋律を弾き分けたり、一定のテンポ感が求められる楽曲です。

ソナチネと併用する場合は、まず『2声のインヴェンション』をおすすめします。

【近現代音楽】ピアノのための近・現代名曲集(上巻)

カバレフスキー、ハチャトゥリアン、ドビュッシー、ショスタコーヴィチといった近現代音楽の作品が学べるピアノ教本です。

各曲のタイトルからイメージを膨らませることで、ソナチネとは違う角度でピアノ演奏の表現力が身につきます。
小品が多いので、飽きずに練習できるのもおすすめポイントです。

ソナチネの練習方法

ソナチネの練習方法

ここからは、ソナチネの難しいポイントと効果的な練習方法をご紹介します。
ソナチネでつまずきやすい点は、主に3つです。

  • 一定のテンポで弾くこと
  • 音の粒を揃えること
  • 響きのバランスを整える

一定のテンポで弾く練習

古典のソナチネでは、指示がない限りテンポを揺らして弾くことはありません。
そのため、安定したテンポ感を身につける練習が不可欠です。

そこで、メトロノームを使った練習方法を試してください。
まず、表拍子に合わせる時は、1拍目をしっかり感じて弾いてみましょう。

片手ずつ練習する時は、メトロノームに合わせて空いている手で軽く身体を叩いてテンポ感を覚え込ませます。
指が回らない箇所は、リズム練習+メトロノームで強化してみてください。

テンポを上げてからは、メトロノームの合わせ方も変えてみると良いですね。
例えば、1拍目だけに合わせるなど。

常にメトロノームを動かすと耳障りになるかもしれませんので、練習中は適度な休憩を挟んでくださいね。

音の粒を揃えるための練習

5本の指は均等ではないため、ピアノの鍵盤を打鍵するスピードやタイミングにも影響します。
そのため、音色にムラがあって綺麗に聞こえないケースも。

そこで、特に弱い小指や薬指を中心に瞬発力を鍛える練習を試してみてください。

リズムを変えて弾いたり、すべての音を弱音で弾くなど、いろいろなパターンで練習すると効果的です。

この練習は、ソナチネに限らずハノンやツェルニーといった指の訓練に共通する練習方法と言えます。

しかし、ソナチネでは大きなフレーズの中で音楽的に弾くことが求められるので、強弱の付け方やペダルの使い方も工夫してみましょう。
ペダルを踏んだ時に埋もれてしまう音がないように、自分の耳でしっかり聞くことを意識してください。

響きのバランスを整える練習

ソナチネには、左手で伴奏、右手でメロディを弾くスタイルの曲がたくさんあります。
また、AllegroやAndanteといった曲の速さもさまざまです。

伴奏とメロディが明確に分かれている場合は、伴奏部分を弱く弾いてメロディを際立たせますが、このバランスが意外と難しいのです。
筆者もソナチネを練習していた頃、先生から何度も「左手がうるさい」と注意されました。

左右の音をバランスよく響かせる練習として、早い段階から自分の演奏を録音してみましょう。
全体ではなく部分的に録音して客観的に聞いてみると、弱点や練習すべき箇所を判断できます。

独学でソナチネを練習している方には、特におすすめしたい練習方法と言えます。

〈筆者おすすめ〉ソナチネで絶対に練習すべき曲は?

〈筆者おすすめ〉ソナチネで絶対に練習すべき曲は?

ここからは、ピアノを学ぶ方に絶対弾いてほしい筆者おすすめのソナチネをご紹介します。

ソナチネアルバムの中で有名な曲はこれ!

まずは、ピアノ教本の定番『ソナチネアルバム』から5曲をピックアップしました。

〜クレメンティ〜ソナチネハ長調оp.36-3

【難易度】初級〜中級

『ソナチネアルバム第1巻』に掲載されているクレメンティのソナチネоp.36-3は、シンプルな構成で弾きやすいので、大人のピアノ初心者の方にもおすすめです。
第1楽章は、軽快な第1主題とやさしいメロディの第2主題のコントラスト、スタッカートの弾き方など、シンプルながらも練習ポイントはたくさんあります。
そして、第1楽章が仕上がったら第2、第3楽章も練習してみると良いですね。

〜クレメンティ〜ソナチネニ長調оp.36-6

【難易度】中級

クレメンティのソナチネの中でも、テクニックや音楽性に優れた作品です。
特に、左手のなめらかなアルペジオの伴奏と伸びやかなメロディで始まる第1楽章は、さまざまな感情表現ができる劇的なソナチネと言えます。
また、ソナタ形式を学ぶ第1歩と言える構成になっているので、じっくり取り組んでほしいソナチネです。

〜ディアベリ〜ソナチネト長調оp.151-1

【難易度】初級〜中級

『ソナチネアルバム第2巻』に掲載されているディアベリのソナチネト長調は、これまでのソナチネの構成と異なる作品です。
例えば、第1楽章がAndantino Cantabileで第2楽章がAllegroという速度指示。
一般的には、第1楽章は速いテンポの曲が多いですよね。
このように、ソナタ形式のルールに基づかないソナチネを練習してみるのも良い勉強になります。

〜クーラウ〜ソナチネハ長調оp.55-3

【難易度】中級

ドイツの作曲家クーラウのソナチネоp.55-3は、『ソナチネアルバム第1巻』に掲載されています。
2楽章構成の短い作品ですが、リズミカルで軽快な曲調が親しみやすく弾きやすい曲です。
一方で、左右の掛け合いや華やかなパッセージなどの演奏技術も必要なので、じっくり取り組んでほしいと思います。

〜モーツァルト〜ソナチネ第14番 ハ長調

【難易度】初級〜中級

古典派音楽の巨匠モーツァルトが作曲したソナチネ第14番は、ピアノソナタK.545と表記されることも多い作品です。
『ソナチネアルバム第1巻』の中でも有名な曲の一つで、ピアノ学習者必修のソナチネと言えます。
第1楽章はソナタ形式、第2楽章は複合3部形式、第3楽章はロンド形式で構成され、楽曲形式を学ぶ第1歩としてもおすすめです。

発表会におすすめのソナチネはこれ!

続いて、ピアノの発表会にもおすすめのソナチネを3曲ご紹介します。
親しみやすく楽しく練習できるような作品をピックアップしました。

〜バルトーク〜ソナチネ

【難易度】中級

子どものためのピアノ曲を多数残しているバルトークは、民俗音楽をモチーフにしたノスタルジックな作品が多いです。
その1つである『ソナチネ』は、全3楽章で構成されています。
独特のリズムとハーモニー、ペダリングなど、古典派のソナチネと異なる曲調と構成で、ピアノ発表会にもおすすめです。

〜ハチャトゥリアン〜ソナチネ

【難易度】中級

「剣の舞」で有名な作曲家ハチャトゥリアンの『ソナチネ』は、全3楽章から成るピアノ曲です。
第1楽章または第3楽章を抜粋して演奏されることが多いですが、時間に余裕があれば全楽章を弾いても良いと思います。
軽快なリズムとハーモニーは現代音楽に通じる要素が強く、古典派よりもペダリングが難しいです。
しかし、発表会用のソナチネと言える華やかさがあるので、ぜひ練習してほしい一曲ですね。

〜湯山昭〜『日曜日のソナチネ』より「序曲音のデッサン」

【難易度】初級〜中級

日本を代表する作曲家、湯山昭さんのピアノ曲『日曜日のソナチネ』の一曲目が「序曲音のデッサン」です。
軽妙な曲調と何かが始まるワクワク感など、古典派のソナチネとは違う雰囲気で発表会でも聴き映えする一曲と言えます。
「序曲音のデッサン」に続いて月曜日から日曜日までのソナチネがあり、それぞれ複数楽章で構成されます。
各曲の雰囲気から想像力を働かせて弾くことができるので、子どもの生徒さんにおすすめしたいですね。

ソナチネは習得までに何年かかる?

ピアノの習得度には個人差があるため断言はできませんが、中級レベルのソナチネが弾けるようになるまで4〜5年が標準的ではないでしょうか。

もちろん、ピアノを習い始めてから2年程度でソナチネに進む生徒さんもいますし、5年以上かかるケースもあります。

また、ソナチネ1曲を仕上げる期間も人それぞれです。
例えば、ソナチネ全楽章を暗譜で弾けるまで時間をかけて取り組んだり、1楽章だけを練習して短期間で終了など。

さらに、ピアノの練習時間やモチベーションによっても習得度が異なるため、個々のペースで無理なく続けることが大切ですね。

まとめ

まとめ

今回は、ピアノ学習者必修と言えるソナチネについて解説してきました。
ソナチネはピアノソナタに通じる大切な段階で、楽曲構成を学ぶためにも必要な曲と言えます。

やや退屈に感じるかもしれませんが、ソナチネはピアノの演奏技術はもちろん表現力を身につけるためにも必ず練習してほしい曲の1つです。

ぜひ、お気に入りのソナチネに時間をかけて取り組み、曲の魅力や奥深さを感じてみてください。

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