ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。
目次
- ペダルの種類や記号の意味とその重要性
- ペダルとは?
- ダンパーペダル
- ソフトペダル
- ソステヌート/マフラーペダル
- ペダル記号の基礎知識
- ペダル記号が楽譜にない理由
- 楽譜に表記がない理由
- 作者の意図とペダルの自由
- ペダルを使うタイミング
- ダンパーペダル
- ソフトペダル
- ソステヌート/マフラーペダル
- 【練習方法】ペダルを踏むタイミングを身につける
- ブルグミュラー18の練習曲より「つむぎうた」
- シューベルト即興曲Op.90-4変イ長調
- モシュコフスキー15の練習曲より第11番Op.72-11
- 濁る?ペダルを踏みすぎる問題とその対処法
- ペダルを踏みすぎる原因
- 指の動きとペダルを踏むタイミングがずれている
- 椅子の高さが合っていない
- ペダルを踏み換えるスピードがコントロールできない
- 音の濁りを抑えるためのテクニックや練習方法
- ペダルを下まで踏み込まない
- 足の指先を使う
- 音を出した後にペダルを踏む
- 〜ペダルを上手に使って華やかな演奏を目指そう〜
ピアノを習い始めると、いつかペダルを使って美しい曲を弾いてみたいと思いますよね。 私も、まだ足がペダルに届かない幼少期に「早くペダルを使いたい」と憧れました。
しかし、ペダルを使うと演奏が華やかになる一方で、踏みすぎやタイミングのミスで演奏を台無しにしてしまうことも。
そこで今回の記事では、ピアノのペダルについて種類や記号の意味を解説するとともに、ペダルの使い方やタイミングを身につける練習方法をご紹介します。
ペダルの種類や記号の意味とその重要性
まず、ピアノのペダルの種類や効果、ペダル記号について解説いたします。
ペダルとは?
ピアノのペダルは演奏のクオリティを上げる効果があり、アコースティックピアノには必ず備え付けられています。 ちなみに、ペダルを使うことやテクニックのことをペダリングと呼びます。
最近のピアノは3本ペダルが主流ですが、古い年代のピアノは2本ペダルの機種が多いです。 ここでは、3本ペダルのそれぞれの名称や効果をご紹介しますね。
- ダンパーペダル
- ソフトペダル
- ソステヌート/マフラーペダル
ダンパーペダル
3本ペダルの右側がダンパーペダルまたはサスティンペダルと呼ばれ、ピアノ演奏において最も使用回数が多いペダルです。
ダンパーペダルを踏むとピアノ内部のダンパーが弦から離れ、指が鍵盤を押えていなくても音を持続させられます。
ちなみに、ダンパーとは弦の振動を止めて音を消す装置。 ペダルを踏むとダンパーが弦から離れるので、音が豊かに響きます。
ソフトペダル
左側にあるペダルはソフトペダルと呼ばれ、グランドピアノとアップライトピアノ共通の効果があります。
ソフトペダルを踏むと、音量が抑えられやわらかく繊細な音色に変わります。 グランドピアノでは、通常3本の弦を打つハンマーが移動して打たれる弦が減ることで音が小さくなります。
例えば、ピアニッシモのような静かな音で弾きたい時や強弱の差をダイナミックに表現したい時に使われます。 ただし、アップライトピアノは構造が異なるため、グランドピアノより音質が劣る点がデメリットです。
ソステヌート/マフラーペダル
3本ペダルの真ん中にあるのは、グランドピアノではソステヌート、アップライトピアノではマフラーと呼ばれ、名称だけではなく役割も異なります。
グランドピアノのソステヌートペダルは、持続させたい音だけを残せますが、ダンパーペダルよりも使い方が難しく使用頻度も高くありません。 稀に、ドビュッシーやラヴェルなどペダリングが複雑な曲に登場します。
一方アップライトピアノのマフラーペダルは、音量を半分以下に下げる効果があり、防音対策の一つとして使われるケースが多いです。 ペダルを踏み左側にスライドすると固定できるので、踏んだまま練習する必要はありません。
ペダル記号の基礎知識
ピアノの楽譜には、五線譜の下にペダルの使用を指示する記号や音楽用語が表記されています。
引用元:ブルグミュラー18の練習曲(全音楽譜出版社)
引用元:ブルグミュラー18の練習曲(全音楽譜出版社)
引用元:ドビュッシー練習曲集(全音楽譜出版社)
引用元:ドビュッシー練習曲集(全音楽譜出版社)
Ped. | ダンパーペダル(右側)を踏む |
---|---|
senza Ped | ダンパーペダルを離す |
sempre con Ped. | 常にペダルを使って |
una corda(u.c) | ソフトペダル(左側)を踏む |
tre corda(t.c) | ソフトペダルを離す |
pedale.sostenuto(p.s) | グランドピアノのソステヌートペダル(真ん中)を踏む |
ペダル記号が楽譜にない理由
ペダル記号はすべての楽譜に書かれているわけではなく、ペダル記号の表記がなくても使用することが多いです。
また、ペダル記号が記されているのはクラシックの楽譜に多く、ポップスではほとんど記載されていません。
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楽譜に表記がない理由
バッハやモーツァルトなどのバロックから古典派の作品では、楽譜にペダル記号が表記されていません。 なぜなら、当時のピアノにはペダルがなかったからです。
また、ピアノの発展とともにペダルの使い方も多様化し、演奏者が自由な解釈で弾けるようにペダル記号の表記がない楽譜もあります。
作者の意図とペダルの自由
ピアノの楽譜には、作曲家が意図的にペダル記号を書いた作品もあります。 例えば、ドビュッシー「喜びの島」「12のエチュード」など。
一方、ペダリングは演奏者の自由な表現方法でもあるので、ペダル記号を細かく記載しない楽譜も多いのです。
ペダルを使うタイミング
楽譜によっては、ペダル記号の表記が少なかったり書かれていないこともありますよね。 そんな時は、自分でペダルを使うタイミングを考えて弾いてみましょう。
ダンパーペダル
最も使用頻度が高いダンパーペダルは、目的によって踏むタイミングが微妙に異なります。 ただし、ペダリングは個人の感覚や癖も影響するので、明確な正解はありません。
音を持続させたい | 指で残したい音を弾いた直後にペダルを踏みます。 早すぎると、他の音が混ざって濁るリスクが高いです。 |
---|---|
音と音をきれいにつなぎたい | 指だけできれいなレガートが弾けない時は、 ペダルを後踏みして音をつないでいきます。 ただし、ペダルに頼りすぎないように注意してください。 |
躍動感を表現したい | 16分音符や32分音符といった細かいフレーズに勢いをつけたい時は、 最初の音と同時に踏みます。 ポイントは、すばやく浅く! |
和音を豊かな音量で響かせたい | 響かせたい和音を弾いた直後に、ペダルを深く踏みましょう。 フォルテ以上の音量を出したい場合は、 ペダルの下まで踏み込もう。 |
ペダリングは、ピアノを弾く場所によって臨機応変に対応しなければなりません。
例えば、普段ピアノの練習をするお部屋と大きなコンサートホールとでは、音の広がり方が違いますよね。 さらに、ペダルの重さや硬さも微妙に異なります。
そのため、広いホールでピアノを演奏する場合は、自分の音をしっかりと聞いてペダルの踏み方を微調整する必要があります。
ソフトペダル
ソフトペダルは、基本的には楽譜に表記されている部分にだけ使うことが多いです。 もちろん演奏者自身の判断でも使用できますが、多用は避けましょう。
ソフトペダルを踏むタイミングは、音と同時または少し遅らせるといいです。 ただし、遅すぎると意図しないタイミングで音色が変わってしまうので要注意。
さらに、ダンパーペダルと一緒に踏む場合は両足を使うので、かかとでしっかり支えて姿勢が崩れないように気をつけてください。
ソステヌート/マフラーペダル
グランドピアノのソステヌートペダルは、残したい音を指で弾いた直後に踏むといいでしょう。 応用としてダンパーペダルと併用する方法もありますが、かなり難しいので上級者向けと言えます。
一方、アップライトピアノのマフラーペダルは、周囲に音が漏れたくない時に使うことが多いです。 音がこもってきれいに響かないので、練習も退屈になりがち…。
しかし、このマフラーペダルは指の強化に役立つのです。 マフラーペダルを踏むとピアノ内部の弦とハンマーの間にフェルトが入り込み、鍵盤がいつもより重たくなります。
その状態でハノンやスケールを練習してみてください。 指先の瞬発力や支える力が強化され、軽快に弾けるようになりますよ。ただし、指を傷めないように注意してください。
【練習方法】ペダルを踏むタイミングを身につける
ここからは、ペダルの練習に効果的な楽曲を例に挙げて、タイミングや練習方法を解説しますね。
ブルグミュラー18の練習曲より「つむぎうた」
右手の3連符とメロディラインを左手の伴奏にのせて弾く練習曲。 終始ペダルを使って、響きが途切れないように弾くことが大切です。
楽譜では、左手の伴奏形をベースにペダルの指示記号が表記されています。 基本的には1拍めと3拍めでペダルを踏み換えますが、難しいのは9小節〜10小節。
左手で旋律を弾く時に、メロディラインが途切れず音が濁らないよう細かくペダルを踏み換えなければなりません。 まずは、左手とペダルだけを弾いて、踏み換えるタイミングを見極めてください。
右手3連符のアルペジオは、一度和音にして弾いてみましょう。 ペダルを踏みながら弾き、音がきれいに響く箇所や濁ってしまう部分に印をつけておくといいです。
引用元:ブルグミュラー18の練習曲(全音楽譜出版社)
シューベルト即興曲Op.90-4変イ長調
アルペジオや多声部構成など、ペダルの使い方を学ぶ曲としておすすめです。 ペダルを使ってスタッカート(音を短く切る)を弾いたり、左手のメロディラインをきれいにつなぐなど、ペダリングの応用練習になりますよ。
さらに、中間部分の重厚な和音と旋律をバランスよく弾くためには、ペダルを踏み換えるタイミングが重要。 指のハーフタッチやペダルを踏み込む深さを工夫して、より細かい使い方を身につけられます。
引用元:全音ピアノピース「シューベルト即興曲Op.90-4」
モシュコフスキー15の練習曲より第11番Op.72-11
指の強化だけではなく音楽的にも美しい練習曲。 特に11番変イ長調は、ペダリングを習得するための練習曲として最適です。
アルペジオの左手和音とペダルのタイミングが重要で、低音の響きが乏しくならないように踏み換えなければなりません。
さらに、右手の流れるような16分音符がきれいに響くように、音の粒を揃える練習をしましょう。
ペダルの練習とお伝えしましたが、常にペダルを使って練習するとリズムや音色が不安定になりますので、ペダルを使わずに一通り弾く練習も取り入れてみましょう。
引用元:モシュコフスキー15の練習曲(音楽之友社)
濁る?ペダルを踏みすぎる問題とその対処法
ピアノのペダルは演奏をより華やかにする効果がありますが、踏むタイミングを間違えたり踏みすぎると音が濁ってしまいます。
ここでは、ペダリングが上手くいかない原因と対処法をご紹介します。
ペダルを踏みすぎる原因
ピアノのペダルを踏みすぎたり、音が濁る主な原因は3つあります。
- 指の動きとペダルを踏むタイミングがずれている
- 椅子の高さが合っていない
- ペダルを踏み換えるスピードがコントロールできない
指の動きとペダルを踏むタイミングがずれている
基本的には楽譜に書かれている通りのタイミングでペダルを踏みますが、音が多かったりテンポが速い曲では、混乱することも珍しくはありません。
指の動きが先行してペダルが追いつかない、音が残ったままペダルを踏み換えてしまうなど、指と足が上手く連動していないと音も濁ってしまうのです。
椅子の高さが合っていない
私もピアノの先生からよく言われた「良い音を出すには良い姿勢で」は、どの楽器にも共通する大切な事です。
特に、座って演奏するピアノは椅子の高さが重要で、足とペダルの距離感にも影響します。
例えば、椅子が低すぎると足に体重がかかりやすく、ペダルを深く踏みすぎてしまいます。 一方、かかとが床につかないほど椅子が高いと、ペダルの踏み方が浅く効果が現れません。
ペダルを踏み換えるスピードがコントロールできない
ピアノのペダルの硬さは、楽器によって微妙に異なります。 そのため、ペダルの踏み換えが臨機応変にコントロールできなくなるのも、音が濁る原因の一つです。
では、なぜコントロールができないのでしょうか? それは、自分の耳で自分が出す音を確認する力が弱いからです。
しかし難しく考える必要はなく、ペダルを踏みすぎた時に音が濁っていると感じられればペダリングは上達しますよ。
音の濁りを抑えるためのテクニックや練習方法
ピアノのペダルを踏んでも音が濁らない弾き方のコツは、主に3つ。 練習方法も合わせてご紹介しますね。
- ペダルを下まで踏み込まない
- 足の指先を使う
- 音を出した後にペダルを踏む
ペダルを下まで踏み込まない
ピアノのペダルは、深く踏めば踏むほど音の響きが豊かになります。 そのため、音が濁っていると感じたら、ペダルを少し浅く踏んでみましょう。
練習方法として、まずはペダルを一切踏まずに弾いてみます。 すると、どの部分でペダルが必要か見極められます。
その後、どのくらいまで踏み込めば音が濁らずきれいに響くか、自分の耳でよく聞きながら練習してみてください。
足の指先を使う
ペダルは足全体ではなく、足の指先を使うとコントロールもしやすくなります。 ピアノを弾く時は、かかとを床につけ足の先だけをペダルに乗せてみましょう。
足全体に無駄な力を入れずリラックスした状態を保てる位置が、ペダルと足の理想的なポジションと言えます。
音を出した後にペダルを踏む
ペダルを使う際に音が濁る原因は、踏み換えるタイミングが合わないこと。 前の音が残ったままペダルを踏み換えると、音が混ざってしまいます。
そこで、持続させたい音だけが残るように、音を出した直後にペダルを踏んでみましょう。 慣れるまでは、ペダルを使いながら片手ずつ練習してみてください。
特に、伴奏形を弾くことが多い左手は、ペダルのタイミングが重要です。 メトロノームに合わせて、左手とペダルのタイミングが安定するように練習を続けてみましょう。
〜ペダルを上手に使って華やかな演奏を目指そう〜
今回は、ピアノのペダルについて詳しく解説してきました。 ペダルを使うと音が豊かに響くので、心地よく聞こえますよね。
一方で、ペダルを踏みすぎると音が濁ってしまうので、本当に必要な部分でペダルが使えるように練習してみてください。
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