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【経験者が語る】ピアノのアルペジオのコツをご紹介!パターンも丁寧に解説します!

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2023.10.16
syotata
【執筆・監修】syotata

ピアノ歴20年以上のWEBライターです。コンクールや受験、さらにピアノ指導経験を活かした記事作成を行っています。

ピアノ演奏の基本となるアルペジオとスケール。 特にアルペジオは、演奏を華やかにする効果もあり、幅広いジャンルのピアノ音楽に使われています。

アルペジオのパターンによって弾き方や難易度が異なり、私自身もアルペジオの練習には手こずった経験があります。

しかし、アルペジオがスムーズに弾けるとレパートリーも広がり、ピアノのテクニックが上達するメリットも!

今回の記事では、ピアノのアルペジオを弾くコツやパターンに加えて、おすすめの楽曲と練習方法もご紹介します。

アルペジオとは?

アルペジオ
アルペジオとは?
アルペジオとは分散和音のことで、例えば「ド・ミ・ソ・ド」や「レ・ファ・ラ・レ」といった音形の総称です。

また、上行または下行すべての分散和音をアルペジオと呼び、ピアノ演奏において基本となるテクニックのひとつです。

さらに、和音奏法の一つをアルペジオと呼ぶケースもあり、楽譜上の指示記号も存在します。

アルペジオが弾けるとどんなメリットがある?

アルペジオは、スケール(音階)と並びクラシックやジャズなどピアノ音楽の土台です。 ちなみに「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」のように等間隔で音が並ぶことをスケールと呼びます。

和音奏法や分散和音のアルペジオがスムーズに弾けると、レパートリーが増えたり上級のかっこいい楽曲が弾けるようになります。 また、音と音が離れているので指を開いて弾く必要があり、運指や各指の強化に効果的です。 アルペジオを練習をする時は、指や手首の脱力も重視してみましょう。

楽譜上での表記は?

アルペジオ 楽譜上での表記

引用元:ツェルニー50番練習曲

楽譜上で和音のアルペジオ奏法を指示する場合、和音の横に波線が書かれています。

基本的には和音の一番下の音から弾きますが、稀に最高音から弾くケースもあります。その場合の表記は、下を向いている矢印の(↓)波線。

アルペジオのパターン(種類)は?

アルペジオ

アルペジオには、2つのパターンがあります。 楽譜上の表記や弾き方も異なりますが、どちらもアルペジオと呼ばれます。

  • 和音になっている
  • 分散和音になっている

和音になっているパターン

アルペジオ 和音

引用元:ショパン エチュード集

まずは、和音を下の音または上の音から順に弾くパターン。 楽譜上の表記でも解説した、波線のような記号で指示されていることが多いです。

バラードやノクターンのようなゆったりした曲調に使われる傾向があり、弾き方も難しくはありません。

ただし、アルペジオ奏法が指示されていると和音の音域が広いケースもあるので、指間の柔軟性が求められます。

分散しているパターン

アルペジオ 分散

引用元:ハノン(全音楽譜出版社)

一方、8分音符や16分音符に分散しているパターンもアルペジオと呼びます。 また、左手に多く見られる伴奏形もアルペジオの一つで、音形もさまざまです。

Allegro(快速に)やPresto(急速に)などの速度指定がある楽曲にも使われるので、すばやく弾くテクニックが必要とされています。

ツェルニーをはじめ、ショパンの練習曲にもアルペジオに特化した曲があり、実践練習におすすめです。

弾き方のコツは?

アルペジオ 弾き方

アルペジオをなめらかに弾くコツは、主に2つあります。

  • 親指や手首の柔軟性を強化する
  • アルペジオの指使いやポジションを覚える

まずは、アルペジオの基本的な弾き方から練習してみましょう。

親指や手首の柔軟性を強化する

1オクターブ以上の分散するアルペジオを弾く時は、親指をくぐらせなければなりません。 そのため、親指の付け根から手首にかけて無駄な力を抜くことがポイントです。

さらに、親指をくぐらせる際に肘が浮いてしまわないように注意しましょう。

アルペジオは、手首をリラックスさせできるだけ同じ高さのまま弾くと、なめらかで音の粒も揃いやすくなりますよ。

アルペジオの指使いやポジションを覚える

アルペジオの構成音と指使いは、調性ごとにほぼ決まっています。 そのため、最初に和音にして弾き、指使いやポジションを覚える方法が効果的です。

さらに、2オクターブ以上のアルペジオも、ハノンなどの教本に掲載されている基本的な指使いを習得していきましょう。

ただし、手の大きさには個人差がありますので、自分が弾きやすい指使いでも間違えではありません。

(例)ハ長調のアルペジオと指使い(指番号)

音名 指使い(指番号)
ド・ミ・ソ・ド 1・2・3・5
ミ・ソ・ド・ミ 1・2・4・5
ソ・ド・ミ・ソ 1・2・4・5

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アルペジオ 練習法

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片手ずつゆっくり練習する

最初は片手ずつゆっくり弾きながら、アルペジオのパターンごとの指使いやポジションを覚えていきましょう。

和音のアルペジオを弾く時は、タッチにムラがないか・音の強さは均一か・すべての音がバランスよく鳴っているかを確かめながら練習することが大切です。

一方、分散和音のアルペジオ練習は、ゆっくり弾きながら親指をくぐらせる動きに慣れていきましょう。 重視するポイントは、手首や肘が浮いていないか・しっかり打鍵できているかの2点。

可能ならば上半身が見える大きさの鏡をピアノの横に置いて、自分の弾き方をチェックできると改善点も分かりやすくなりますよ。

1オクターブから少しずつ音域を広げる

8分音符や16分音符などで構成される分散和音のアルペジオ練習は、1オクターブまたは2オクターブを繰り返し弾くことから始めると良いです。

慣れてきたら、2オクターブから3オクターブ・4オクターブに音域を広げていきます。 さらに、メトロノームを使って一定のテンポで練習するとより効果的です。

速いテンポの楽曲にもアルペジオはたくさん出てくるので、実践的な練習と言えます。 全24調のアルペジオが安定したテンポで弾けるように、目標を立てながら練習してみましょう。

リズムを変えて弾いてみる

リズム練習は、指先の瞬発力を鍛えるために必要な練習方法です。 これは、アルペジオにも必要な練習で、すばやいポジションの移動や親指の動きに注目しながら弾いてみましょう。

リズムの変奏パターンは、以下の画像を参考にしてみてくださいね。

アルペジオ ハノン

引用元:ハノン(全音楽譜出版社)

アルペジオを実践してみよう!

アルペジオ 練習曲

ここからは、アルペジオがたくさん含まれる曲や練習曲をご紹介しますね。 ピアノの発表会にもぴったりな曲なので、参考にしてみてください。

アルペジオの練習曲&かっこいい曲を5曲ご紹介!

アルペジオが特徴的なクラシックのピアノ曲から、中級〜上級レベルの楽曲を集めました。

ショパン~12の練習曲Op.25-12ハ短調・大洋~

「大洋」という表題通り、楽譜上では16分音符が波を打つ大海原のように動き回ります。 常に両手でアルペジオを弾き続けるため、すばやいポジション移動や上半身の使い方、ペダリングが重要。

さらに、力強いアルペジオの中からメロディラインを歌わせるテクニックも必要です。

ベートーヴェン~ピアノソナタOp.27-2嬰ハ短調・月光~

ベートーヴェンの3大ソナタの一つ「月光」は、第1楽章と第3楽章に特徴的なアルペジオが使われています。

第1楽章では、ゆったりしたテンポで3連符によるアルペジオが登場。 同時にメロディラインを聴かせなければならず、音量のバランスにも工夫が必要です。

第3楽章はPresto Agitato。 急速なアルペジオの上行形から始まり、クライマックスはユニゾンのアルペジオという劇的な曲調となっています。

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メンデルスゾーン~前奏曲とフーガOp.35-1ホ短調~

目まぐるしく動くアルペジオが特徴的な前奏曲。 流れるようなアルペジオと内声に現れる主旋律を同時に弾くテクニックが求められる難曲で、フーガの技法や転調、コラール風のメロディなど、いろいろな要素が入っています。

あまり演奏される機会がない曲ですが、私にとっては思い入れの深い楽曲。 前奏曲のアルペジオが綺麗に弾けず、さまざまな練習方法を取り入れた思い出があります。

バッハ~平均律クラヴィーア曲集第1巻No.15ト長調プレリュード~

音楽の父と呼ばれるバッハの平均律クラヴィーア曲集には、アルペジオが使われている曲がたくさんあります。

その中の一つ「第1巻の15番ト長調プレリュード」は、左右交互に出てくる3連符によるアルペジオが特徴的な曲です。 左右にバランスよくアルペジオが使われるため、練習曲としてもおすすめ。

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経験者の筆者がおすすめしたい教材3冊をご紹介!

ここからは、私自身がアルペジオの練習に使った教本も含め、おすすめのピアノ教材をご紹介しますね。

ピアノのテクニック

ピアノ演奏の基本が学べる教本で、初級者はもちろん上級者でも練習前のウォーミングアップにおすすめです。

リズム変奏やアクセントの位置を変えていく練習曲など、アルペジオやスケールをはじめ、指の強化を目的とする曲も入っています。

また、初見で弾ける内容ですので、ピアノ初心者の方にもおすすめできる教本です。

ツェルニー

ツェルニー

引用元:ツェルニー40番練習曲(全音楽譜出版社)

ハノンよりも実践的な教本といえばツェルニーの練習曲です。 難易度別に、100番・30番・40番・50番・60番に分かれていますが、ここでは40番と50番のアルペジオに特化した練習曲をご紹介します。(中級~上級)

40番は反復運動のような練習曲が多いですが、50番のアルペジオ練習曲には音楽的で美しい曲もありますよ。

(例)ハ長調のアルペジオと指使い(指番号)

40番 50番
  • No.3ハ長調
  • No.10ヘ長調
  • No.12ヘ長調
  • No.19ヘ長調
  • No.30ハ長調
  • No.32ハ長調
  • No.39変ニ長調
  • No.2ト長調
  • No.6変イ長調
  • No.12ニ短調
  • No.18変イ長調
  • No.21ニ長調
  • No.26イ長調
  • No.28ロ短調
  • No.31イ短調
  • No.43ニ長調
  • No.45変イ長調
  • No.46ヘ長調
  • No.47変ト長調
  • No.50ト短調

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バッハ・平均律クラヴィーア曲集第1巻

バッハ・平均律クラヴィーア曲集第1巻

引用元:バッハ平均律クラヴィーア曲集第1巻(ウィーン原典版)

バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻は、アルペジオの実践練習にもおすすめできる教本です。 シンプルなアルペジオで構成されるプレリュードは、比較的弾きやすいので練習曲としても最適。

ここでは、全24曲の中からアルペジオの練習に効果的な曲をピックアップしました。

  • 第1番 ハ長調プレリュード
  • 第6番 ニ短調プレリュード
  • 第11番 ヘ長調プレリュード
  • 第15番 ト長調プレリュード

アルペジオの実践練習に加えて、余裕があればフーガも弾いてみると良い勉強になると思います。

まとめ~アルペジオを習得してレパートリーを広げよう~

アルペジオ まとめ

今回は、ピアノ演奏の基本となるアルペジオについて解説してきました。 弾きやすい和音のアルペジオに対して、コツが必要な分散形のアルペジオの2つのパターンがあり、いろいろなピアノ音楽に使われています。

難しいパターンのアルペジオを習得できるとレパートリーが広がりますので、ぜひ挑戦してみてください。

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