• 比較・検討

ピアノの移動は自分でできる?業者に依頼する?安全に移動させるためのコツを解説!

Written by
2024.01.18
山崎由芽
【執筆・監修】山崎由芽

3歳から12歳までピアノ教室に通っていました。その後は中学・高校でコンクールや行事で伴奏をしていました。現在は趣味で弾き語りや基礎練習を続けて、兄弟に教えています。 音楽の楽しさと壁の乗り越え方を、経験をもとに伝えていきます。

ピアノの移動は、模様替えやほんの少しだけずらしたい場合なども含まれます。
出来るだけ費用を減らし、安全に移動させたいと考える人も多いです。

今回はピアノを自分で移動するメリット・デメリットから業者との費用を比較、安全対策までお話しします。
移動したいピアノの環境と照らし合わせて見ていきましょう。

ピアノの種類によって難易度は変わる?

ピアノの種類によって難易度は変わる?

ピアノはグランドピアノ・アップライトピアノ・電子ピアノの3種類があります。
まずは、最も大変な部分に絞ってその違いを頭に入れておきましょう。

総重量

ピアノの重さは種類によって倍以上の違いがあります。
また、同じ種類でもモデルによって大きさや重量も変わります。
これからお話しする重量の差が大きいのはそのためです。

  • グランドピアノ
  • 約260〜490kg。
  • アップライトピアノ
  • 約200〜280kg。
  • 電子ピアノ
  • 約40〜90kg。

移動途中で動かせなくなる可能性

移動途中でピアノを動かせなくなる話は、よくあることです。
ピアノの幅を測ってから廊下に出しても、曲がり角はその1,5倍で見ておかないと嵌ってしまいます。

では、自分で移動した場合の割合でお話ししていきます。

  • グランドピアノ
  • 3種類の中で最も大きいピアノですので、家の広さによってはほとんどの人が動かせなくなると思った方が良いです。
  • アップライトピアノ
  • グランドピアノよりも奥行きが少ないので、明らかに狭い曲がり角でなければ広さは問題ない場合が多いです。
    そのため、5人に1人程度の確率で動かせなくなると思っていれば大丈夫です。
  • 電子ピアノ
  • 電子ピアノは最も軽くてコンパクトなので、鍵盤の幅を計算していれば持ち方次第である程度の廊下は通れます。
    また、分解して運び出せるので、多く見積もっても10回に1度程で動かせなくなると思っていれば大丈夫です。

ピアノの移動は自分でできる?業者に依頼する?

ピアノの移動は自分でできる?業者に依頼する?

自分で頑張る場合と業者に依頼する場合の違いを見ていきましょう。
メリット・デメリットや費用を照らし合わせて、検討してみてください。

自分で移動させるメリットとデメリット

メリット

まずは、ピアノを自分で移動させるメリットからお話しします。

  • 費用がほとんどかからない
  • 費用はほとんどかかりません。
    挙げるならば、安全対策や運びやすくするための道具を購入する場合のみ、費用が発生します。
  • 自分の都合に合わせられる
  • 作業をするのは自分や家族、知人のため、予定に縛られすぎずに移動できます。
    特に同居をしている人ならば、予定の確認もしやすいです。

デメリット

続いてデメリットを見ていきましょう。

  • ピアノや自分がケガをする可能性
  • 自分側は最悪の場合、骨折や腰痛となります。
    軽く済んでも、打ってしまえば簡単に痣として残ってしまいがちです。
    ピアノ側は音や響き、いわゆる調律がくるってしまったり、音に変化がなくとも内部の寿命が短くなってしまいます。
  • 移動途中で動かせなくなる可能性
  • 自分で動かす場合は、廊下の曲がり角や段差など、どうしようも出来なくなる可能性があります。
    特に部屋移動や階移動はほとんど動かせない場合が多いので、おすすめできません。
    その他、グランドピアノやアップライトピアノに多い、想像以上の重量で中途半端な所で止まってしまう場合です。

業者に依頼するメリットとデメリット

メリット

ピアノの移動を業者に依頼するメリットからお話しします。

  • ピアノの組立や分解も安心
  • ピアノの移動は、家の構造によって吊り上げや組立、分解など特殊な方法が必要になります。
    自分では出来ない状態になっても、専門業者なら傷つけることなく安全に移動してくれます。

  • セットプランもある
  • ピアノの移動や引越しを依頼すると、セットプランを利用できる場合があります。
    移動後に調律をしたいという人は多く、単品で依頼するよりもお得です。

デメリット

続いてデメリットを見ていきましょう。

  • スケジュールが限られがち
  • 業者だと、どうしても予約が思うようにいきにくいです。
    今月中や毎週この曜日なら空いていても、希望の業者以外になってしまう可能性もあります。
  • 追加料金がかかる
  • 段差や階段、エレベーターなど作業の難関箇所に合わせて追加料金がかかります。
    最安の業者でも1か所2,000円程度かかってしまうので、多めに伝えて見積もると安心です。

移動費用はどれくらい?

移動費用はどれくらい?

ピアノの移動にはどうしても費用がかかります。
どのくらい費用に差が出るのかを見ていきましょう。

自分で移動させる場合の費用相場

先程の通り、ほとんどかかりません。
細かく言うと、毛布や軍手など必要な物が家にあり、力に任せられる人は一切かかりません。
軍手が無く、少しでも楽になるよう道具を使いたい人はその分の費用がかかります。

楽に運ぶための道具ならミニ台車、いわゆるキャスターが売っています。
こちらの値段はかなり幅があり、ネット通販なら3,000~40,000円です。
軍手などは100~500円程度で購入できます。
特にワークマンなら、作業服専門店なのでコンビニの半分以下の金額で手に入るんです。
自分が足を運べる範囲で、是非お得に道具を集めてみてください。

業者に依頼する場合の費用相場

業者に依頼する場合は、ピアノの種類家の構造によって費用が変わります。

  • グランドピアノは9,000~20,000円
  • アップライトピアノは7,000~10,000円

アップライトピアノに関しては、大きさに合わせてC1X・C2X・C3X・C5X・C6X・C7Xの6種類に分けられる場合が多いです。

上記の基本料に加えて、家の構造ごとに費用が発生します。

  • 段差の数
  • 床の種類
  • 室内移動や別部屋、階移動

各追加費用は会社によって変わり、ホームページではなかなか公開されていません。
実例を見ると大体3,000円からが多いようですが、直接問い合わせるのが確実です。

費用を節約させるコツとは?

できるだけ費用を節約する方法は2つです。
特に室内移動やほんの少し動かしたいだけなのに、何万円も支払うのは少し気が引けます。

  • 見積もりをできるだけ多く出す

業者に依頼する場合、多く出すほど費用に差があります。
実例を見ると5社分の見積もりを出したところ、最大11,000円もの差があったそうです。
凄く安い業者でも会社から自宅までの移動費が加算されてしまう場合もあるので、確定前に不安要素をしっかりと問い合わせておきましょう。

  • 力に自信のある家族や知人に頼む

業者に依頼するよりも節約するのなら、力に自信のある家族や知人に頼むことです。
シニア世代の場合は自力で運ぶとなるとかなり厳しいので、力に自信のある男性2人以上が望ましいです。
キャスターを購入しておくなど、相手が少しでも楽に移動できる工夫とお礼の費用なら、業者よりは少なく済みます。

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安全にピアノ移動をするためのポイント

安全なピアノ移動をするためのポイント

自力で移動するなら、人もピアノも安全第一です。
移動中の安全対策から道具、保護対策をお話しします。

移動中の安全対策

移動中にできる安全対策は3つです。

  • キャスター(ミニ台車)を使用する

キャスターに各脚を乗せ、ゆっくり押すと楽に移動ができます。
「少しなら持ち上げられるけど、移動は無理」という人におすすめです。
しかし、あくまで脚部分に小さな車輪を付けるだけなので、バランスを考えずに押すと転倒してしまいます。
また、最後の脚にキャスターを付けようと持ち上げた際、他の車輪が動いてケガをしてしまう可能性もあります。
使用する際は、安全に行える3人以上にしてください。

  • 毛布などの布で覆う

ピアノや曲がり角の壁を毛布や布で覆いましょう。
持ち手まで毛布で覆ってしまうと滑ってしまいますが、壁に擦れる可能性のある外側は保護する必要があります。
少しの衝撃でも、意外と簡単に小さな凹みや塗装の剝がれに繋がってしまいます。

  • 軍手と安全靴でケガ防止

軍手は滑り止めがあるので、力の底上げをしてくれます。
そして軍手と安全靴に共通するのは、切り・擦り傷から守ることです。
素手や安全靴で行うと、少し物を落としただけでもより濃い痣や出血を伴う傷が出来てしまいます。

必要な道具は?

安全・保護対策に必要な道具を紹介します。

【必須】

  • 軍手

ピアノ移動におすすめなのは、引越しや運送会社に多い背抜き軍手です。
手の甲側は薄い生地のみで、掌(物を掴む側)はゴム素材になっているのが特徴です。
芋掘りでよく見かけるタイプだと着用時の余裕が多いので、物の移動に使用するとずり落ちやすいのでおすすめできません。
特に重い物を移動する際は背抜き軍手を選びましょう。

  • 覆う用の布

ピアノと壁で用意する布の種類を変えられると、移動も楽になります。
ピアノ用なら、毛布や厚手の布がおすすめです。
最もおすすめなのは、引越し会社で使用される「ジャバラ」です。
もこもこした青い布で、両側の口部にゴムが入っているので伸縮性も優れています。
私も実際に引越し会社で使用していたので、素人でも簡単な使い勝手や丈夫さ、衝撃の吸収性をかなり信頼しています。
壁用なら、ちょっとしたひざ掛けや手を拭くタオル程度の厚さがあれば十分です。
壁側を厚く保護してしまうと、通れなくなり結局外さなければなりません。

【あると良い物】

  • キャスター(ミニ台車)

ネット通販や専門業者で購入できます。
一括りにキャスターと言っても形や車輪の数が違うので、ケガをしないためにしっかり調べてから購入しましょう。
形が違うという事は、ピアノの乗せ方も変わるので当日の作業人数なども把握していると尚良いです。

  • 安全靴

初めて重い物を持ったり移動する人は、あった方が安心です。
学校で使うような上履きではなく、足先に鉄板が入っている物がおすすめです。
普通の靴でも良いですが、ピアノは最大500kgにもなり、それが1点に集中すると骨折では済まない可能性があります。
同じ骨折でも、後遺症や瞬間の痛みを少なくするのなら、鉄板の入った安全靴を選びましょう。

移動中のピアノの保護対策

移動中にできるピアノの保護対策は2つです。
素人が移動する際は「いつどんな風に」ぶつけてしまうか分からないので、細部までしっかり保護しましょう。

  • ペダルカバーを付ける

ペダルも傷や塗装剥がれが起きてしまうので、カバーを付けると安心です。
ペダルカバーは、口部にゴムが入っている布袋なので、被せるだけで保護できます。
あくまで擦った程度の傷から守れるというものなので、がっつりペダルを下にして落としてしまった場合などは業者に修理を依頼してください。
このペダルカバーは、普段の演奏時でも使用できるのでわざわざ片付ける必要もありません。

  • ピアノカバーをかける
  • 毛布と役割はほとんど同じです。
    ピアノカバーを購入しておけば、常に日焼けや湿度、傷、汚れから保護できます。
    ピアノを置く環境によって使用するカバーの素材が変わるので、下調べをしてから購入しましょう。
    こちらも普段から使用できるので、保管場所を考えずに取り入れられます。

    おすすめの業者を3選ご紹介

    おすすめの業者を3選ご紹介

    ピアノ移動におすすめの専門業者を3社紹介します。
    是非参考にしてみてください。

    日本ピアノ運輸株式会社

    半世紀にわたりピアノ運送のみを続けてきた会社で、その実力と安定感は格別です。
    ピアノ以外の大物家具や全国対応が可能なので、場所と導線確保の心配もありません。
    しっかり積み重ねてきたプロの知識で、自宅に訪問しなくても査定が可能です。

    圧倒的な安心感が欲しい人は、ここから査定してもらいましょう。

    北関東ピアノ運送

    私達の想いとチームワークを重視している会社です。
    ヤマハの楽器運送におけるエリア管理事業者に指定されているので、高品質なサービスが受けられます。
    ピアノのクリーニングも4段階に分けて丁寧に作業してくれます。

    大手も信頼する高品質なサービスを受けたい人は、下記から覗いてみてください。

    池田ピアノ運送

    ピアノ移動の作業に加えて、身だしなみにも気を使っています。
    「会社や人は良いけど、色んな汚れの見える作業服に抵抗がある」という声を聞いたことがあります。
    池田ピアノ運送はホームページにも公開されている、清潔感を意識したユニフォームで作業を行います。

    事前にどのような車、服装、作業様子なのか把握したい人は、下記から覗いてみてください。

    ピアノを移動させた後に調律は必要?

    ピアノを移動させた後に調律は必要?

    本来調律は、1年に1度行うのが良いといわれています。
    今回は、そもそもの調律が必要な理由から、移動後にする場合のタイミングまでお話しします。

    ピアノを移動したら調律をした方が良い

    ピアノを移動させた後の調律は「必要」ですが「必須」ではありません。
    また、調律が必要なのはグランドピアノとアップライトピアノです。

    まずは調律が必要な理由です。
    業者や自分かは関係なく、ピアノを移動するときには振動が加わります。
    その少しの振動が、繊細な内部を狂わせる原因になるんです。
    「少ししか狂っていないなら、先延ばしにしても大丈夫じゃない」という声も聞きます。
    私達で例えると、捻挫や骨にひびが入っている状態で走り続けなさいと言われている状態です。
    これを続けると当然悪化しますよね。
    調律が狂った状態で演奏をするというのは、ピアノにとっては常に負荷をかけ続けてしまいます。
    ピアノを長く楽しむためには、調律は必要です。

    とはいえ、移動をしてすぐに調律をすれば良いというわけではありません。
    最適なタイミングは、調律後1週間から1か月の間です。
    移動後1週間以内は、ピアノが新しい環境に慣れようとしているので、調律を急いでもすぐに狂ってしまいやすいです。
    環境というのは湿度や日の当たり方、室温を言います。

    しかし、移動中に落としたりぶつけてしまった、明らかに音がおかしいという場合は調律を急いだほうが良いです。

    ピアノの移動は自分でもできる!安全第一で楽しもう!

    ピアノの移動は自分でもできる!安全第一で楽しもう!

    ピアノの移動は自分でもできますが、少しでも不安があるなら業者に依頼することをおすすめします。

    自分で移動をする際に必要な人・物・対策をおさらいしましょう。

    【おすすめできる人】

    • 力に自信のある男性
    • しっかり計画や下調べができる人
    • ピアノがいかに繊細か理解してくれる人

    【必要な物】

    • 背抜き軍手
    • 覆う用の布(ジャバラや毛布)
    • キャスター(ミニ台車)
    • 安全靴

    【安全対策】

    • ペダルカバーを付ける
    • ピアノカバーをかける

    調律は、移動後1週間から1か月の間に行うと確実です。
    安全に移動して、代々受け継げるピアノにしていきましょう。

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