比較・検討

お子様のお習い事でも定番中の定番であるピアノ。
最近では、大人になってからも趣味として始める方も結構いらっしゃるかと思います。
ですが、始めたはいいもののピアノを習い始めた方々が一番最初につきあたる壁……「自宅での練習どうするか問題」です。
ピアノがなくてレッスンの時にしか弾けない状況では、個人練習の時間で貴重なレッスンの時間が食われてしまうという本末転倒なことになってしまいますよね。

そこで、自宅練習用のピアノの購入を検討される方も多くいらっしゃるのではないしょうか?
練習用とされるピアノはアコースティックピアノ電子ピアノの大きく2種類に分けられます。まずはそこで迷われる方もいらっしゃるでしょう。
どちらにも長所と短所があり、ご家庭の状況にどのピアノが合うかは人それぞれです。
また、大きく二分されたところから、さらにピアノの種類が分けられます。

この記事では、それぞれのピアノの特徴を詳しく紹介していきます!
どんなピアノがあるかを知り、ご自身のお家の状況や経済性と合うピアノを見つけましょう

アコースティックピアノか電子ピアノか?

ご家庭用のピアノは、まず大きな分岐点として、いわゆる「生ピアノ」と呼ばれるアコースティックピアノと、スピーカーを使用して音を出す電子ピアノの2つに分けられます。
まず、アコースティックピアノから詳しく紹介していきます!

アコースティックピアノ

アコースティックピアノは、主にグランドピアノアップライトピアノのことを指します。(ヴィンテージやアンティークピアノなどもありますが、今回はご家庭用ピアノについてですので割愛します。) この2つの大きな違いは、弦とハンマーの位置関係が平行か、垂直かです。
これだけでは具体的に何が違うのか分かり辛いため、さらに詳しくご説明していきます!

グランドピアノの長所

グランドピアノ  

さまざまな音色・演奏表現ができる、音楽的センスを養える

グランドピアノは大きな造りであるため、アップライトピアノよりも弦が長いです。この長い弦のお陰で、のびのびした音色の響きや低音の重厚さを生み出せます
ピアノ全体が共鳴して深いニュアンスを生み出しながら、こまかな音色の変化を常に自分の耳で直接確かめながら練習・演奏できる点が最大の魅力です。
この感覚は音感や演奏感覚を磨く上でも大変有利です。その上、良い音を聞き続けることで聴覚が研ぎ澄まされ、演奏能力をあげる一因にもなります。
ピアノに対して本気志向なのであれば、グランドピアノはマストと言っていいでしょう!

グランドピアノの短所

グランドピアノ  

場所をとる、アップライトピアノと比べて高額である

グランドピアノの大きさをわかりやすくすると、約2~2.5畳ほどの大きさに換算できます。
ピアノ単体だけでこの広さが必要ですから、椅子や座るスペース、音も響かせられるほどのゆとりなども余裕がある防音のお部屋となると、用意するのもなかなか難しいところです……。

お値段もなかなか手が出しにくいですよね。中古でも安くて100万は必要になってきます。
また、長く使うためには調律が必要不可欠です。
1年間で大体15,000円程度をランニングコストと考えてください。

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プロ志向だけど、大きさも値段もうちには厳しい……」という方でしたら、レンタルスタジオでグランドピアノを借りることも一つの手段でしょう。

(近所への騒音問題もありますが、アップライトにも共通するため後ほど詳しく記述します。)

グランドピアノの参考データ

 

大きさ:幅150cm前後 奥行150~250㎝程度 高さ100cm前後 約2~2.5畳程度(種類による)
重さ:255~410kg
値段
<国内メーカー>100~300万前後(新品)、50~150万(中古)
<海外メーカー>1100万~(新品)、600万~(中古)
調律費:15,000~20,000円/回

 

アップライトピアノの長所

アップライトピアノ  

生ピアノならではの音・タッチ、経済性、デザイン

打弦することで音が鳴る」感覚を身に着けられます。
かつ、電子ピアノでは再現できないタッチの重さがあることで、手・指の筋肉など、演奏するにあたって必要な筋力をつけることができます。

また、グランドピアノと比較すると、アコースティックピアノにしてはお安く手に入れることができます。
中古であれば、高級な電子ピアノよりも安いものもあります。調律費もグランドピアノより少し安いです。
アップライトピアノの名前の由来、「直立」であることも、お部屋に置く上ではかなり省スペースになりますよね!
グランドピアノと比べたら、かなり導入しやすい大きさです。

 

アップライトピアノの短所

アップライトピアノ  

繊細な演奏表現ができない点、グランドピアノより音色が劣る

弦とハンマーの位置関係が垂直で、ハンマーはバネの力を利用して打鍵する仕組みです。
このことからグランドピアノと比較すると連打が難しいです。
グランドピアノでは一般的に1秒間14回以上の連打ができることに対し、アップライトピアノ1秒間に7回と2倍以上の差があります。

ペダルに関しても、グランドピアノのような繊細なペダルコントロールができません
また、多くの人は壁にくっつけて配置するため、響板の前後や壁がケースで塞がれ、音がこもりがちになってしまうパターンが多いです。
つまり、常にケース越しの音を聞いて練習することになるため、音楽的センス・音感を磨くという観点においてはグランドピアノに及ばないということは避けられません。

アップライトピアノの参考データ

 

大きさ:幅150cm前後 奥行60~80cm程度 高さは121cmタイプと131cmが主 約1畳程度
重さ:210~275㎏
値段
国内メーカー 50~120万(新品)、25~80万(中古)
海外メーカー 400万~(新品)、250万~(中古)
調律費 11,000~16,000円/回

 

アコースティックピアノの騒音問題

自宅で練習する以上、アコースティックピアノの音が原因でご近所トラブルになる可能性は捨てきれません
そのため、消音ユニット(サイレント機能)が搭載されたモデルがあります。
サイレント機能搭載モデルではヘッドホンをつけて練習することも可能です。
グランド・アップライトともに消音ユニットが別売りされており後付も可能です。

しかし、この消音ユニットはハンマーの打鍵を抑えることによって音を消す仕組みです。
つまり、シミュレートした音がヘッドホンから聞こえるということです。
本物のピアノの音とは違ってくるため、妥協するか、別で生ピアノを弾ける機会を設ける必要があります……。

また、一度消音ユニットを付けると音や表現の劣化は避けられないようです。
根本的な設定を変える必要があるため、連打や音の強弱の面においては問題が発生する可能性があります。
それを最小限に抑えるのは、調律師の腕前にもよるそうです。
消音ユニットの価格はアップライトだと10~15万程度、グランドだと20~30万程度です。

電子ピアノ(デジタルピアノ)

電子ピアノ  

電子ピアノはコンピュータの数字で制御されるデジタル楽器です。
この時点で、先述したアコースティックピアノ2種とは全く違う楽器だということを認識してください!
電子ピアノのメモリには生ピアノの音が録音されていて、鍵盤を押すと同時に再生することで音を出す仕組みです。その音源は、パソコンで使われるwavaiffmp3などのようなPCM波形データが使われています。

 

電子ピアノの長所

電子ピアノ  

経済性、デザイン、音量、多種多様な機能

まずはその値段です。
ピンキリではありますが、アコースティックピアノと比べると格段に安く手に入れることができます。
練習用ピアノと割り切って購入するのであればコストパフォーマンスはかなり良いですね。

アップライトと同じく省スペースなので、お子さんのお部屋に置くにもぴったりです。
できれば88鍵あるものが良いですが、小ささを重視するのであれば、76鍵・61鍵の造りもあります。
また、近所への騒音問題についての心配がほとんどありません
ヘッドホンを付けてしまえば、深夜にだって練習が可能です。そういった意味では、日中時間がない大人の方にもおすすめできますね。
※鍵盤やペダルを踏んだ際の物理的な鈍い音に関しては配慮が必要です。
メトロノーム機能様々な音の種類が出せることも、電子ピアノならではです。

 

電子ピアノの短所

電子ピアノ  

生ピアノより劣る音・タッチ

たったこれだけですが、ピアノを習う以上、この点はかなりのデメリットでしょう。
アコースティックピアノは音の強弱やテンポを変えたり、音を伸ばしたりし「自分で作り出した音」で演奏します。
対し電子ピアノはもともと録音された音しか鳴りません。最近ではタッチの加減で音量が変わる仕様になっている電子ピアノもありますが、「自分で作り出した音」と「すでに作られている音」では雲泥の差があります。
ピアノの生の音を聞くことによって、耳は音感やセンスを培われます。良いピアノの音を聞いて弾いていけば、その分実力もついていくことは断言できます。
その上、習い始めから電子ピアノを弾いていると、アコースティックピアノを弾く際に必要な手・指の筋肉がつきません。そのため、演奏の表現力も身に付きにくいでしょう。
アコースティックピアノを弾ける機会が定期的にあるのでしたら、練習用と割り切ってしまえば妥協できます。

ピアノを趣味程度でやりたい」という意向であれば全く問題ないでしょう。

電子ピアノの参考データ


大きさ:幅140~150cm 奥行40~60cm程度 高さ100cm前後 約1畳未満
重さ:40~80㎏程度
※メーカー、モデルによってかなり差異あり
値段:5万円~40万円 (高級モデルだと80万程度するものも……)
売れ筋価格帯:10~20万円

特例・ハイブリッドピアノ

最近では、ハイブリッドピアノと呼ばれるピアノが登場しました。

ハイブリッドピアノとは、鍵盤を本物のハンマーアクションにした電子ピアノです。
アコースティックピアノと電子ピアノの中間地点にあるものと考えていいでしょう。
その鍵盤は一般的な電子ピアノのものではなく、アコースティックピアノの鍵盤を使用しています。
タッチの面に関しては限りなくアコースティックピアノに近いです。
勿論ヘッドホンもつけられます。自宅練習において、タッチを重要視されるのであれば十分検討の余地はあるのではないでしょうか。

ただ、お値段が電子ピアノにしてはかなり高い! これが最大のデメリットでしょう。
アコースティックピアノは調律などのメンテナンスさえこまめに行っていれば、半永久的に弾けます。
対しハイブリッドピアノは、根本的には電子ピアノです。機械なので劣化は避けられません
また、音自体はスピーカーから発せられるものですので、アコースティックピアノに劣ります。
それらを踏まえて、選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

ハイブリッドピアノの参考データ

 

大きさ:幅150cm前後 奥行45~120cm 高さ100~180cm程度 1畳未満~約1.5畳程度
重さ:100~200㎏
値段:50万~180万程度

 

まとめ

ピアノと一口に言ってもいろいろな種類がありますね。
それぞれのピアノがどんな方々に合っているか、軽くまとめたいと思います!

  • グランドピアノ
    プロを目指している・コンクールに出場するような方、経済的・スペース的に余裕がある方
  • アップライトピアノ
    音感・センスは身に着けたいが経済的・スペース的にグランドピアノは厳しいという方
  • 電子ピアノ
    なるべく安く済ませたい方、自宅練習と割り切って練習用のピアノがほしい方、近所迷惑にならないよう消音機能が必要な方、趣味でピアノを弾きたい方
  • ハイブリッドピアノ
    アコースティックピアノのタッチで練習したい方、近所迷惑にならないよう消音機能が必要な方

ぜひ、ピアノ選びの参考にしてみてください!

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