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【元音大生が解説】音大に入るには?高校は普通科でも入れる?受験期の1日を大公開◎

Written by
2024.06.27
どれみ
【執筆・監修】どれみ

音楽大学を卒業しました。現在は自宅でピアノ教室を開いており、4歳から大人まで幅広い年齢層の生徒さんを教えております。 また、ピアノと合わせて文章を書くのも好きです。ピアノの魅力を多くの皆様にお伝えできる記事をお届けしたいと考えております。

ピアノを本格的に勉強して海外で活躍できるようになりたい、声楽を極めてオペラ歌手になりたいなど、それぞれの夢や希望のために音大進学を考える人がいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな皆様に、元音大生の筆者の経験から有益な情報をお届けしますので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

そもそも、音大ってなに?

そもそも、音大ってなに?

音楽大学は、その名称でもわかるように音楽全般を学ぶ大学なので、楽器演奏や声楽実技のみでなく、座学も学びます。
例えば、和声学やソルフェージュ、音楽史などの専門科目の他、一般教養として、英語やイタリア語などの語学、文学、体育もカリキュラムに組みこまれています。

音大が他の大学と異なるのは、個人レッスンがあるところで、他大学より学費が高いのも、個人レッスン費用のためでしょう。
ピアノを専攻している場合、個人レッスンが週に1回1時間ほどあり、他は専門科目や一般教養の科目を受けるため、教室で講義を聞きます。

筆者は、東京音楽大学の音楽教育専攻に通っておりました。
その時は、声楽とピアノのレッスンが30分ずつ週に1回あって、他は講義を受けたり、3年になるとオーケストラや指揮法の授業を受けたりしていました。

音大には個人レッスンがある!

筆者が思うに、音大生が他大学の学生と異なる部分は個人レッスンがあることです。
音大生は個人レッスンがあるため、あまり羽目を外して遊ぶ人はいませんでした。

筆者が大学生だった頃は、女子大生ブームで大学生というと自由で華やかなイメージ。
そんな女子大生に憧れていた筆者は、大学生になればバイトして、夜な夜な遊べると思っていましたが、音大生は全然違っていました。
何しろ、明日がレッスンというと練習をしなければならないため、合コンで羽目を外すなどできず、合コンを断ることも。

また、音大のレッスンでは弾けるのがあたりまえなので、当時はかなり厳しい注意を受けました。
音大なのであたりまえですが、とにかく通っている人全員がピアノを弾けて、皆が上手いのです。
なんという場所に来てしまったのだろうと思いましたが、今思えばいい刺激を受けました。

音大って簡単に入れる?

音大は簡単に入れるところではありません。
技術を修得するための日々の練習、さらに音楽的なセンスも必要です。
それに上手くいくときもありますが、いかない時もあり、つらいことだってあります。

そして、何より音楽が好きでないといけません。
そんな音大に向いている人についても考えてみます。

音大に向いている人の特徴

筆者の考えですが、大学時代の友人を思い浮かべながら音大に向いている人を挙げてみます。

  • 熱くなれる
  • 集中力がある
  • どちらかというと神経質
  • 音楽はもちろん、あらゆるところにセンスがある
  • 自分の世界がある
  • 本やドラマなどストーリー性のあるものが好き
  • どちらかというと真面目
  • ポリシーがある
  • 優しい心がある
  • 涙もろい

少しでもあてはまるところがある人は、音大に向いているかもしれません。

音大受験の際の大学選びについて

音大受験の際の大学選びについて

音大受験の大学選びについて、当時の状況と現在を比較していきます。
当時と現在ではかなり異なるので、その辺りにも注目してみましょう。

当時の大学選び

当時、受験校選びの決め手はレッスンの先生の意見でした。
筆者の場合もレッスンの先生の意見が主流でしたが、自分としても行きたいと思っていた大学だったので、勧めてもらえてうれしかった思い出があります。
ただし、実力的にピアノ科は厳しいから、教育にするよう指示されました。
大学をワンランク落とせばピアノ科も可能と言われましたが、親子で考えた結果、大学のランクは落とさずに教育専攻で頑張ることにしたのです。

音大受験の場合、課題曲があるため、苦手なテクニックが主流になる曲が課題曲になると、かなり不利になります。
その点、教育専攻であれば自由曲なので、苦手なテクニックを避けられます。
このような理由で音大の教育専攻を選びました。

現在の大学選び

現在は、自分で情報収集をしている人が多いです。
簡単に調べられるようになったからですかね。
まずは通える範囲で、どのような音大があるか調べてみましょう。
遠方の音大を希望する場合は、学費のみでなく生活費もかかってしまうので、親の了解をきちんと取る必要があります。
音大生が一人暮らしとなれば、ピアノが置ける部屋を探さなければならないので、家賃は安くありません。
他大学より高い音大の学費&生活費となれば、親にとってはかなりの出費です。

オープンキャンパスに行こう

行きたい音大をいくつか考えたら、オープンキャンパスに行ってみてください。
また、夏季講習や冬季講習等があれば参加して、個別レッスンがあれば受けてみるのもおすすめです。
どのようなレッスンを受けられるか、レべルはどのくらいかなどがわかります。

このようにして、自分の希望がはっきりしたら、レッスンの先生にも相談しましょう。
もし、レッスンの先生が希望する音大の卒業生だったら、大学の先生を紹介してもらえるかもしれません。
行きたい音大の先生にレッスンしてもらえると、入試の傾向がつかみやすいのではないでしょうか。

国立音楽大学のオープンキャンパス

一例として、国立音大のオープンキャンパスを紹介します。
行われている内容は以下の通りです。

  • 入試の説明
  • 各コースの説明
    ・学生による専攻・専修紹介
    ・教員による体験授業
  • 楽典・ソルフェージュの勉強法
  • レッスン、コンサートの見学(声楽・ピアノ)
  • 在学生によるキャンパス見学&交流
    ・録音スタジオ紹介等
  • 教職員による個別相談&学生生活相談コーナー

このように、1日でさまざまなことを体験でき、現役の音大生の話も聞けます。
音大の雰囲気を味わいたいと思う人、音大に興味のある人におすすめです。
親御さんと一緒に行っても良いですし、友人同士で行くのもOKです。

ここでは国立音大を紹介しましたが、他の音大でもこうしたオープンキャンパスは開催しています。
日程をチェックして行ってみてください。

参考:公式HP「国立音楽大学」

武蔵野音楽大学の夏期講習

武蔵野音大の3日間に渡る夏季講習会を紹介します。

夏期講習の日程(8時50分〜16時50分迄)

1日目:コンサート、レッスン、楽典、小論文について
2日目:レッスン、楽典、小論文、専攻別説明会
3日目:公開レッスン、楽典の実力認定試験、小論文

このように、講習会は教えてもらう勉強会のようなもので、朝からお昼をはさんで夕方まで。
3〜4日間行われます。

筆者は昔、洗足学園大学の講習会に参加しました。
やはり同じように授業を受けるような形で、お弁当を持って行ったのを覚えています。
かなり疲れましたが、その場で出会った受験生たちと仲良くなり、おしゃべりできたのが楽しかったです。
希望の音大があれば、講習会を調べて参加してみましょう。

参考:公式HP「武蔵野音楽大学」

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音楽大学の入試科目

音楽大学の入試科目

ここからは、国立、私立音大の入試科目(コース別)を紹介します。
国立は東京芸術大学、私立は東京音楽大学を参考にしていますので、一例として把握しておいてください。

国立の場合

東京芸術大学の例です。

以下は各専攻で共通する課題です。

  • 大学入学共通テスト
  • 大学が実施する個別学力検査
  • 実技検査
  • 小論文
  • 面接や出身学校長から提出された調査書などの資料
  • 英語・国語の学科試験(楽理科のみ)

以下はその他の入試科目です。

学科 科目
作曲科 専攻実技、聴音書き取り、楽典、新曲視唱、リズム課題、副科ピアノ、ピアノ新曲
声楽科 専攻実技(新曲視唱・リズム課題・コールユーブンゲンを含む)、新曲視唱・リズム課題、聴音書き取り、楽典、副科ピアノ
器楽科
(ピアノ)
専攻実技、聴音書き取り、楽典、新曲視唱、リズム課題
器楽科
(オルガン,弦楽,管打楽)
専攻実技、聴音書き取り、楽典、新曲視唱、リズム課題、副科ピアノ
器楽科(古楽器) 専攻実技、聴音書き取り、楽典、新曲視唱、リズム課題
指揮科 専攻実技、楽典、副科ピアノ、和声
邦楽科 専攻実技、楽典
楽理科 聴音書き取り、楽典、新曲視唱、リズム課題、副科実技、和声
音楽環境創造科 実技検査なし

私立の場合

東京音楽大学の例です。

  • 声楽、器楽、作曲、指揮、吹奏楽アカデミー
    ・大学入学共通テストで外国語を選択するか英検などの資格の提出
    ・一般選抜の個別学力検査の英語のいずれかを選択
  • 音楽文化教育、リベラルアーツ
    ・大学入学共通テストで英語を選択するか英検などの資格の提出
    ・一般選抜の個別学力検査の英語のいずれかの選択
  • ミュージックビジネス・テクノロジー
    ・大学入学共通テストで任意の1科目
    ・英検などの資格の提出
    一般選抜の個別学力検査(英語、数学のいずれかを選択)

その他の入試科目は以下です。

専攻・コース名 科目
声楽芸術 専攻実技、副科ピアノ、コールユーブンゲン、聴音か新曲視唱のいずれか、楽典
器楽科
(ピアノ、
ピアノ演奏家コース)
専攻実技、新曲視唱、聴音、楽典
器楽科
(ピアノ創作)
専攻実技、新曲視唱、聴音、楽典、創作
器楽科
(チェンバロ)
専攻実技、新曲視唱、聴音、楽典
器楽科
(オルガン)
専攻実技、聴音、楽典、新曲視唱、副科ピアノ
弦・管・打楽器 専攻実技、楽典、楽典、新曲視唱、副科ピアノ
作曲「芸術音楽コース」 専攻実技、新曲視唱、聴音、楽典、副科ピアノ
作曲
「ミュージック・
メディアコース」
専攻実技、聴音、楽典、新曲視唱、
指揮 専攻実技、新曲視唱、聴音、楽典、副科ピアノ
音楽文化教育 専攻実技、小論文、音楽基礎、面接口述試問
ミュージック・
リベラルアーツ
専攻実技、面接
吹奏楽アカデミー 専攻実技、面接口述試問、副科ピアノなどの選択、楽典
ミュージックビジネス・
テクノロジー
小論文、面接

参考:「試験科目一覧」東京音楽大学HPより

参考:「試験科目一覧」東京音楽大学HPより

課題曲について

課題曲は年によって異なるものですが、各音大によって傾向が見られます。
東京芸大の場合は、1回目、2回目があるので2回弾くことになるでしょう。
ソナタは1楽章のみでなく、他の楽章も指定される場合もあります。

東京音大の場合はバッハの平均率から任意の1曲、練習曲*、5分以上8分程度の自由曲が出ることが多いです。
*ツェルニー50番、モシャレス、クレメンティなど

大学によっては推薦制度があり、ある程度の基準に達していれば、学科を受けずにすむ場合があります。
詳細は希望する大学に問い合わせてみてください。

参考:試験科目一覧「東京藝術音楽大学HPより」

音大に入るためにやるべき準備は?

音大に入るためにやるべき準備は?

音大に入るための準備として、ピアノと声楽のレベルや入試に備えてすべきことをお伝えします。

ピアノはどれくらいのレベルが求められる?

ピアノのレベルは、受験する専攻や音大のレベルにより異なるので、一般的に考えられている基準として参考ください。

ピアノ科の場合は以下のレベルです。

  • バッハ平均律が弾ける
  • ツェルニー50番以上が弾ける
  • ショパンのエチュードが弾ける
  • ベートーヴェン、モーツァルト、ハイドンのソナタを何曲か弾ける

声楽科等でピアノを副科として受ける場合は、ソナチネや、やさしめのソナタが弾けるレベルです。
ただし、希望する学科によっては、実技なしで入学できる場合もあるので、希望する大学の入試を調べてみましょう。

いずれにしても、音大に入るには、レベルに合うレッスンを受ける必要があります。

声楽はどれくらいのレベルが求められる?

レベル的には、イタリア歌曲等の音大入試の課題曲が歌えるか否かが目安でしょう。
しかし、声楽のレベルはピアノと違い、教則本で線引きができないので、何とも言い難いです。
なぜならば、声楽は年齢に応じてのびるので、入試で見られるのは現状の実力よりのびしろと言われているからです。

ただ、言えるのは音程が取れる、ある程度の声量がある、何より歌が好きということが大事になります。
声楽の場合も、専門の先生についてレッスンを受け、その人の声量や声質に合う練習方法を教えてもらいましょう。

普通科高校から音大に入るのは難しい?

普通科の高校から音大に入るのは難しい?

普通科高校から音大に入るのは可能です。
ただし、学校の勉強とレッスンの両立には努力が必要です。
筆者の経験を書いてみましたので、少しでも参考にして頂ければと思います。

高校の勉強と受験勉強の両立のコツ

両立のコツは、頭の切り替えと1日のスケジュールです。

ピアノの場合、防音室がある場合は別ですが、弾ける時間に限りがあります。
そのため、〇時〜〇時まで練習、〇時〜〇時は勉強と決めておきましょう。

ただし、レッスン前や学校のテスト前等は時間を変更するなど、融通を利かせておくことも大事です。
何が何でもこのスケジュールにしようとすると、疲れてしまいます。
また、練習に集中できない時は勉強時間を多めに取るなどの工夫も必要です。
その逆として、勉強に集中できない時にピアノの練習をするのも、気分転換になります。
どんなことでも、集中が大事だからです。

音大受験の勉強は、いつから始める?

音大受験の勉強は、ソルフェージュをいつから始めるかがポイントです。
筆者の場合は中学生の頃からで、周囲の友人に聞いても、中学生からというパターンが多いです。

楽典は高校3年になってからで間に合うので、耳を鍛えるソルフェージュは、できる限り早い方が良いでしょう。
ただし、声楽志望の場合は、高校生で決断してレッスンを始める人が多いです。
そのため、ソルフェージュも高校生から始めることになります。

音大受験生の1日のスケジュール

音大受験生の1日のスケジュール

筆者の経験で、音大受験生の1日を平日と土日で一例として紹介します。
ただ、当時を振り返り、今だからわかる反省点があるので、それについても詳しく説明します。

平日の1日のスケジュール

筆者の高校時代のスケジュールです。
平日は16時〜16時半に帰宅していましたので、ピアノの練習は17時〜ピアノが弾ける21時までしていました。

その後、夕食やお風呂を済ませ、22時〜夜中1時近くまで勉強していたのです。
知識を飲み込むまでに時間がかかる方なので、とにかく必死でした。

時間 取り組んだこと
17時~21時 ピアノの練習
22時~25時位まで 学校の勉強

実は筆者の場合、音大のみではなく、もし音大に落ちたら浪人して英文科に行きたいと考えていたからです。
ピアノ科は厳しいと言われた時から、好きな英語で大学に入ることも考えましたが、音大への夢はあきらめきれなかったのです。
そのため、親に納得してもらい、落ちたら浪人して英文科を目指すことにしました。

そのような理由のため、ハードスケジュールで頑張りましたが、睡眠時間が少なくかなり大変でした。
あまりおすすめできるスケジュールではないので、これから音大受験生になる人はもう少し緩やかなスケジュールを考えましょう。
おすすめの時間配分は、練習が1日3時間目安、勉強は1〜2時間、テストがあれば3〜4時間ほどです。

ただし、声楽を志望する場合は、練習時間は1時間程度が良いとされているので、お気をつけください。
それ以上、続けて歌うと、声帯を痛める可能性があります。

土日の1日のスケジュール

土日はレッスンに通っていましたが、家では8時間練習しました。
午前4時間・午後4時間のハードスケジュールで、勉強は夜に3〜4時間はしていたと思います。

時間 取り組んだこと
8時~12時・13時~17時 ピアノの練習
19時~24時位まで 学校の勉強

ただ、この8時間練習は効果がなかったと振り返ります。
その理由について下記に挙げますので、参考にしてください。

  • 集中せずにただ指を動かしているだけ
  • 時間さえクリアすれば良いと思っていた
  • 指示された練習はしていたが、何のための練習か考えていなかった

今思うのは、身になる練習が大事であること、練習は時間ではなく中身が大切であることがわかりました。
集中できる時間は人によって異なりますが、せいぜい1〜2時間位だと思います。

受験生の皆様は1〜2時間ずつの集中できる練習を小刻みに行うようにしてください。

自分にあった練習時間の確保が合格の秘訣!

自分にあった練習時間の確保が合格の秘訣!

音大は簡単に入れないので、ピアノでも声楽でも質のいい練習が大事です。
そのためには、普段のスケジュール管理が必要ではないでしょうか。
日々の生活を効率よくこなしながら、集中できる練習時間をなるべく多く確保しましょう。
そのため、練習と勉強の時間を上手に切り分けて、日々の生活を送ってみてください。

ただし、筆者のように練習時間のみにこだわらず、練習の中身を大事にしましょう。
皆さまの成功を願います!

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