• 比較・検討

ピアノが上手い人を徹底分析|ピアノが上手い人は頭もいい?

Written by
2024.04.17
山崎由芽
【執筆・監修】山崎由芽

3歳から12歳までピアノ教室に通っていました。その後は中学・高校でコンクールや行事で伴奏をしていました。現在は趣味で弾き語りや基礎練習を続けて、兄弟に教えています。 音楽の楽しさと壁の乗り越え方を、経験をもとに伝えていきます。

ピアノが上手い人は、頭も良くて秀逸なイメージを持ちます。
それに引き換え、自分はピアノもなかなか上達しないし頭も良くない、何て落ち込んでいませんか。
ピアノが上手い人には、共通する特徴や練習方法があるんです。

今回は、ピアノが上手い人と下手な人の基準から共通している技術、練習方法を徹底的に見ていきましょう。
ほんの小さな意識が、上達への大きな1歩となるのです。

そもそもピアノが上手・下手の基準とは?

ピアノが上手いとされる基準は、一般的に中級からです。
普段の楽譜やピアノ教室のコースが中級以上であれば、「上手い人」に分類されます。
しかし、それでは中級の楽譜を練習しているだけでも、上手い人に分類されてしまいます。

ピアノが上手い基準となる、詳しい技術面を見ていきましょう。

ミスが少ない・カバーできる

本当に上手い人は、ミスをカバーしてそのまま続行できます。
ミスをカバーするというのはただ繋げるだけでなく、ミスとして聞こえないことです。
ミスを減らしたり、綺麗にカバーをするには2つの能力が必要です。

  • ある程度演奏に慣れており、冷静な判断ができる
  • 分かりやすい部分でミスをしない

分かりやすい部分でミスをしないというのは、主にメロディや重要な音を指します。
転調のカギとなる音や、アクセントとして強く出す音でミスをすると、カバーをしても目立ちやすいです。
こういった音は伴奏(左手)に多いので、苦手な人は若干多めに練習をしておくと安心です。

音楽の流れが自然

自然な流れを作ることは、経験と研究を続けた人にしかできません。
適切なテンポや自然な呼吸、程良い緩急がポイントです。

呼吸というのは、フレーズの区切りのことです。
ペダルを踏んでいる間は滑らかですが、変な部分で離してしまうとブツっと途切れてしまいます。
ピアノに歌詞はありませんが、メロディの区切りを把握して演奏することで聞き心地も良く「上手い」と言えます。

楽曲の伝えたいものを汲み取る力

楽譜の指示通りに演奏しつつ、楽曲の伝えたいものを汲み取る力も必要です。
特にテンポは、最も印象が変わる部分です。
音の伸ばしや響き、バランスが変わると、全く違う曲のように聞こえます。
ピアノでは指示通りに演奏しつつ、作曲者の特徴や時代背景を想像することで、同じ業界の人から支持されるようになります。

アレンジはこの基盤ができてから挑戦するものです。

高低音のバランスが良い

低高音のバランスは、両手の指圧や癖に関係します。
基礎練習の時に、苦戦している方の手だけ少なくなっていませんか。
ピアノが「楽しい」と思っている人ほどやりがちですが、これを続けると自然と手の使い方に差が出てきます。

「メロディは軽やかで粒のような音を出せるのに、伴奏は何だかのっぺりしてしまう」のはこれが原因です。
両手の使い方が上手いと、出したい音を表現できて和音もより綺麗に聞こえます。

同時に、ペダル操作も重要になります。

身体の使い方が良い

正しい姿勢や関節の動かし方をしていると、演奏が格段に上手くなります。
反対に、歪んだ姿勢や悪い癖が付いていると、ピアノの出せる表現ができなくなるんです。
手首や指だけで演奏をするのではなく「手を動かすなら肩から、肩を動かすなら肩甲骨と背中を意識して」のように、身体の全体を使うようにします。
身体の使い方が良くなるとタッチや強弱、滑らかさなどが上達し、聞き心地が良くなります。

ピアノが上手い人と下手な人の違いは?

ピアノが上手い人と下手な人の違いはなんでしょうか。。
ピアノが上手い人の技術と性格を知って、自分に必要な練習を見つけましょう。

ピアノが上手い人に共通している技術は?

ピアノが上手い人に共通している技術は5つです。
反対に、これらができていないと「下手な人」に分類されかねないので注意しましょう。

ミスが少なく、自然なカバー

そもそもミス自体が少なく、起こってもあまり目立たない部分です。
また、ミスをしても止まってしまうなんてことは決してしません。

カバーの仕方も楽曲の流れを変えずに自然で、真剣に聞いていてもミスをしたと気が付きにくいです。
余裕を持って原曲通りに演奏できる人は、重要な音でミスをしてしまっても転調や装飾を付けてより華やかにこなします。
アレンジまでこなせるのは、よほど場慣れをしていたり普段から「中~上級」以上の楽譜を演奏している人に多いです。

一定のリズムを維持できる

指示通りのテンポで始めたら、最後までしっかり維持できます。
苦手な部分でゆっくりになってしまうことはありません。
強弱や緩急をつけたフリで誤魔化したりもせず、堂々とした演奏です。

ジャズや三連符のようにリズムの取りにくい部分、アップテンポでの連符、黒鍵や記号の多い楽曲、横幅いっぱいに動くなど、自分の苦手だと感じるポイントを見つけるのが大切です。
痛い部分ですがしっかりと向き合い、自分だけのテクニック強化計画を立てる人は確実に上達しています。

楽曲を理解して抑揚をつけられる

記号の指示がなくても、楽曲を理解して自然な抑揚をつけられると「上手い人」といえます。
楽曲を理解するには時代背景や作曲者の特徴、曲に込められた意味や気持ち、風景を追求することが大切です。
全てできるのが理想ですが、どれか1つでも意識すると演奏は格段に良くなります。
歌でいうサビはどこなのか、フレーズや1小節ごとの盛り上げ方など抑揚は想像以上に細かく分けられます。

音のコントロール

ピアノの音には種類があり、想像通りに奏でるにはコントロールが必要です。
柔らかい、鋭い、優しい、軽やか、暗い、怖いなど挙げればキリがありません。
言葉だけを見ると「高低やメロディの問題だろう」と思いがちですが、数音弾いただけでも表現できます。
これを実現するには日々の努力と集中力、想像力が必要不可欠です。

音をコントロールできるだけで、同じ曲を演奏しても雰囲気や伝わる空気感は大きく変わります。
即興演奏のように「次はこんなイメージ」と遊ぶこともできるので、より上手くなりたいなら習得したい技術です。

暗譜している

上手い人は、楽譜を持たなくても良い演奏ができます。
暗譜をしている人の多くは「覚えなきゃ」ではなく、気が付いたら譜面が無くてもできるようになっています。
理由は単純で、練習を毎日繰り返しているからです。
私も暗譜して演奏をするのですが、早く覚えたときの特徴を伝授します。

〜記号を意識してみる〜

楽譜全体ではなく、「この時にこういう表現をする」と毎回意識をしています。
そうすると、記号や楽譜が頭の中に映像として流れてくるんです。
記号を意識するだけで、演奏中に「次は何だっけ」と考えることは一切ありませんし、その思考は表現の妨げになると考えています。

ピアノが上手い人の性格の特徴3つ!

ピアノが上手い人には、性格も関係しているんです。
長く続いたり、上手くなる人の性格を3つ紹介します。
前提として、全ての性格に共通するのは「毎日練習する」ことです。
これが出来ているだけで十分努力する才能があり、スキマ時間を見つけて活用するのが上手い事でもあります。

マイペース

ピアノは本番も1人で演奏することの多い楽器です。
そうなると当然、レッスン以外の練習は1人で行います。
他人に流されず、自分のペースでコツコツと地道なメニューをこなせるマイペースさんは、上達しやすいです。
本番前の集中期間などはより孤独を感じやすいため、寂しさよりも「上手くなりたい」気持ちに意識を持っていけるのも強い部分です。

精神面が安定している

精神面が安定している人は、ピアノ演奏にも良い影響をもたらします。
音楽は、ちょっとした感情のブレに影響されやすいです。
感情や情緒が不安定だと、テンポや強弱、楽曲全体の世界観が崩れてしまいます。

一瞬の気持ちに流されない人は、日々の練習から本番までしっかり冷静にこなせます。
万が一ミスがあっても慌てずにカバーし、「その後もつられてミス連発」なんてことも起こりにくいです。

突き詰めるのが好き

趣味や気になった物を突き詰めるのが好きな人は、楽曲に対しても同じように追求できます。
ピアノの譜読みが終わっても曲の解釈や音の出し方、強弱、感情や雰囲気などを深く知ろうと努力します。

ピアノにおける表現は、その楽曲の背景を知ることが大切です。
追及が苦しく感じない性格は、才能の1つとも言えます。

ピアノが上手い人は賢い?

「ピアノをやっていると頭が良くなる」とよく聞きます。
脳は使うほどに発達する器官のため、頭が良くなるというのは「本当」です。

ピアノは楽譜を読んで鍵盤を把握、左右の手や足の動き、音を聞きながら確認するという5つの動きを同時に行います。
そのため、頭は演奏中ずっとフル回転し、脳の様々な分野が活性化します。
指先には神経が集中しており、脳の3~4分の1も使うんです。

ワーキングメモリを使い続けて4つの機能が発達

そもそもワーキングメモリとは、見たものを一瞬脳に記憶することです。
ピアノで言うと、楽譜を瞬時に記憶して動作(演奏)に反映させます。
このワーキングメモリを使い続けることで、4つの機能が発達します。

  1. 考える力
    前頭前野の発達で、脳の機能全体が向上。
  2. 記憶力
    海馬の発達で、記憶力が向上。
  3. 左右のバランス
    脳梁が太くなることで、脳の左右のバランスが良くなる。
  4. 運動・知的・感情的機能
    小脳の発達で、運動機能や知的機能、感情的機能が向上。

これらをより活かすなら、6~8歳までにピアノを始めると良いです。
色々な能力のベースが作れて、ピアノを辞めたとしても地頭が鍛えられます。
大人から始めるなら、老化防止や認知症予防です。
ピアノを始めて4か月あたりから変化し、2年以上継続すると脳の構造にも変化が現れます。

上手い・下手と頭の良い・悪いは関係ある?

ピアノの上手い、下手と、頭の良し悪しは関係ありません。
ピアノが上達しないのは、単純に練習の仕方や選曲が悪かったのでしょう。
先程お話したように、ピアノと脳の関係は続けることで生まれます。
そのためピアノが下手でも、脳は発達してくれます。
上手い人よりも効率は悪いかもしれませんが、ピアノを続けることで確実に発達するので信じて待ちましょう。

上手い人が実践してる、上達する練習方法◎

ピアノが上手くなりたいなら、上手い人と同じことを取り入れれば良いのです。
早速、上手い人が実践している練習方法を5つ紹介します。

練習でも本番を意識する

練習中でも本番を意識して演奏します。
観客の数や指揮者への目線、テンポ感などかなり詳細に想像するのが大切です。
1回以上本番を経験していれば、当時の様子を思い出してみてください。
本番の経験がないなら、YouTubeなどで研究すると良いです。
また、芸能人のInstagramやXでは、コンサートやイベントで演者目線の写真が上がっています。
その写真ならピアノの発表会の景色と似ているので、本番でもパニックになりにくいです。

ミスはその場で直す

ミスはその場、あるいはその日のうちに直します。
練習スケジュールは人によりますが、ミスを翌日に回すようなことは決してしません。
理由はミスを繰り返すほどに、脳が間違った感覚ばかりを記憶してしまうからです。
「その日のミスは、その日のうちに」を忘れずに、しっかり直しましょう。
たとえ翌日の練習で同じミスをしても、すぐに正しい感覚を思い出してくれます。

その日のうちに直せない場合は、ミスがなくなるまで重点的に、何日でも続けましょう。
ピアノはコツコツ続けることが1番の近道です。

タッチの種類

タッチの種類を増やす練習は、ピアノ演奏の底上げに直結します。
スタッカートやマルカート、重みのあるタッチなど書き出せばキリのないほどに種類があります。
「ペダルと合わせたら分からないじゃん」と思いがちですが、ペダルを踏むからこそより明確な区別が必要です。

普段の基礎練習やインターバルと一緒に行います。
同じメロディや音階を、様々な装飾記号で繰り返します。
この時、ペダルは踏まずに各特徴をより強調するように意識しましょう。

耳を育てる

音楽に特化した耳を育てると、表現の幅や和音のバランスがより心地良いものになります。
プロの演奏や好きな楽曲などを聞きまくると、耳を育てることに繋がります。
よくピアニストやアーティストが「小さい頃から家でクラシックが流れていた」と話すのを聞いたことはありませんか。
まさに、この何気ない習慣が耳を育てているんです。
「聞かなきゃ、聞こう」としなくても、ただ流しているだけでも大丈夫です。

定期的に聞いている楽曲の特徴や、専門家などによる高評価部分を調べると、より確実に上達します。

指に感覚を叩き込む

極論、目を瞑っていても演奏できるほど、指に鍵盤の感覚を叩き込みましょう。
場数を踏むほどに実感しますが、会場によって照明の色や強さが違うため、見えにくい部分も出てきます。
視覚で覚えるのも大切ですが、実践で最も頼れるのは自分の感覚だけです。
特に黒鍵を含んだ指ならしや、手や指のくぐりの練習に力を入れると安心です。

ピアノを続けるほど、上手くなって頭も良くなる!

「ピアノが上手いから頭が良い」というわけではありません。
実際は、ピアノを続けるから脳が発達するんです。
学校や会社にいる頭の良い人は、子供の頃からピアノを習っていたなど年単位で継続していたのでしょう。

ピアノが上手い人に共通している技術は5つです。

  • ミスが少なく、自然なカバー
  • 一定のリズムを維持
  • 楽曲を理解して抑揚をつけられる
  • 音のコントロール
  • 暗譜している

ピアノが上手い人の性格は3つです。

  • マイペース
  • 精神面が安定している
  • 突き詰めるのが好き

最後に、ピアノが上手い人の練習を5つおさらいします。

  • 練習でも本番を意識
  • ミスはその場で直す
  • タッチの練習
  • 耳を育てる
  • 指に感覚を叩き込む

これらを意識して、一緒にピアノが上手い人になりましょう。

この記事を友達にシェアしよう!

関連タグ

Category